価値創造の知・第8夜 「わかる」ことは「かわる」こと

2016年12月17日 「知」の本質

更新・刷新・一新・革新と「変わる」言葉が多くあります。
数年前に、どの言葉が「イノベーション」と「リノベーション」と符合するのかを調べていた時に出会った感動した本(対談:佐治晴夫・養老孟司)がありましたのでご紹介します。

それは、佐治晴夫さんが高校で理科を担当しているエリートの先生たちの研修会に呼ばれての話です。

そこで宇宙の始まりから人間に至るまでの話しをされた時に、国立大学のドクターで立派な業績を持って高校の先生になっている人が佐治さんのところにきて、

「今日先生がお話しされたようなことは、私は全部知っています。ビッグバンが起こる前に、どういうゆらぎがあったか、そこのところの数学的な話が聞きたかった」というわけです。そこで僕は彼に言ったんですよ。
「先生がそういうことをよく知っていらっしゃるということは僕にも想像できるけれど、僕から言わせていただくと、宇宙のことをあなたが勉強して知ることによって、あなたの人生がどう変わったかということをもって、知る、ということなのです。
あなたは生徒に、授業を通して彼らの人生をどのように変えられるかということを念頭において、地学の講義をしていますか?」

そう言ったら、彼は黙りましたね。
一番そこが問題ですよね。だから僕は「わかる」ということは「わ」と「か」を入れ替えて「かわる」ということだと思っています。

当時の自分(橋本)は、革新(イノベーション)で世の中を「変える」ことばかり考えていたのでその内容に衝撃を受けました。いまは、「価値創造」を通して、人・社会・企業のさらなる「かわる(更新・革新)」に貢献してゆきたいと思います。

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