2016年12月18日 心のエコロジー
25年前の自分の人生に大きな影響を与えた本をご紹介します。
「三つのエコロジー」フェリックス・ガタリ著です。
前職(パイオニア社)36歳の時に、エンジニアリング時代(設計・技術企画)から目黒本社に異動して、プランニング時代(情報企画・開発企画)の入り口にいました。
従来のオーディオ事業は、1989年をピークにして衰退期に入っていて、ハードウェアを主体にしていた事業は行き詰まりを見せていました。その中で立ち上げられた全社「オーディオ活性化プロジェクト」に入った自分は、「未来を構想する」「自社のミッション再構築」の手がかりを探索していました。
ふと、渋谷の本屋(大盛堂)に立ち寄った時に、何かオーラを纏った「三つのエコロジー」(フランス新左翼を代表する哲学者ガタリが縦横無尽に語った、精神分析・科学・生物学・倫理学・政治そしてエコロジー問題。生前最後のインタビューを収録)という本を手にして感動しました。そのエッセンスを記します。
従来のエコロジー運動がいわゆる「環境問題」(自然環境を中心とした)に限定されてきたことに疑問や不満を感じ、それだけでは現代世界の全面的危機に対処しえないとして、「環境のエコロジー」に加うるに、「社会のエコロジー」と「精神(心)のエコロジー」の三位一体理論を提唱する。
自分(橋本)の編集では、
「人間は下記3つの世界(エコゾフィー)の中に生きている。
①地球環境 :物の公害
②人間社会環境 :社会の公害(テロ、離婚等)
③心の環境 :ストレス
これを別々に切り離すのではなく、三位一体で直視して展開すること」
業界は、物の公害という領域のエコロジーばかりに目を向けているが、パイオニアという製造業の会社は「音(サウンド)や光(ビジュアル)」を心の領域(=心のエコロジー)で、ハートウェアとハードウェアを新結合して未来展開できるのでは?という仮説を立てました。
もともと、サウンド&ビジュアルの本質はは、心の領域(幸福な気持ち、創造的な生活等)で人々に役立っていることにあるのですから。
そして経営会議では、 「パイオニアは、音・ビジュアル・情報の可能性を究めて、人々の『ココロのエコロジー』の領域に貢献する企業として進化する」を提案し、具体例と共にプレゼンテーションしました。
それが結果として、3年後の連続ヒット商品(ピュアモルトスピーカー等)と会社初の「エコプロダクツ展」への出品、初の「エコマーク」作成へと繋がりました。
さて、現在に目を移すと「エコロジー問題」は遅々として進んでいません。偶然かどうかわかりませんが、いま「再生可能エネルギー&不動産」の会社をご支援しています。
これからも、心のエコロジーを基盤として「地球・社会・心」の三位一体の展開に貢献してゆきたいと思っています。