価値創造の知・第10夜 イノベーションとの関わり(オーディオ事業編)

2016年12月19日 イノベーションと弁証法

39年前に、パイオニア社に就職しました。
その時に、「会社の寿命は30年」という説が朝日ジャーナルに載っていました。
「世は常ではなく(無常)、栄枯盛衰をしっかり把へて限界突破すること」が自分に残像しました。
まさに、オーディオ事業は導入期、成長期、ピーク期(1988年)、衰退期とイノベーション曲線を描いたのを体感したのでした。

少し解説します。音・音楽は、「神と人間の意思の疎通を行う媒介」として存在していました。祭り、宗教儀式に使われた「精神文明」です。
楽譜の発明を540年にすると約1300年。1877年のエジソンの発明が転換(イノベーション)となりました。

次のイノベーション曲線は電気音響技術の発展です。1988年に機会を媒介としたオーディオ事業がピークを迎え衰退に向かいました。
そのピークを過ぎた1992年に「オーディオ事業活性化委員」と「超高密度メディア(後のSDカードやUSBメモリに進展)委員」となりました。
その時に、「音と人との関わり」を過去・未来に広げて、イノベーション曲線を弁証法で表しました。(下図)

さて、オーディオの次の本流(オルタナティブ)はどこにあるのでしょうか?
外部環境を検討すると、13年後の2005年に放送系・通信系・メディア系が出揃ってシフトするタイミングであることが委員会で洞察できました。
CDメカやDVDメカではない世界が刻々と近づいてきていました。

超密度メディア(SDカード等、当時2~3万円)がCDメカを凌駕する時をシミュレーションすると2005年だったのです。
その時に思いました。
「今のオーディオ事業は2005年後にたいへんなコトになる。次の本流をイノベーションせねば」と。

弁証法的には、下図をご覧ください
①正「精神文明」1300年
②反「科学文明」130年
③合「心理文明」13~14年

それは、「ハードウェアとハートウェア」を融合した「心理文明」世界です。その為の前座が、以前のこのコラムに載せた「ヒット商品群」です。
この「心理文明」のど真ん中のプランニングも用意していました。ただし、それは100%の人を満足させるものではなくて、カラオケやCDJの様に、コアの人達から広がっていくものです。
今でもこの心理文明のヒット商品(ホームでもカーでも)を出す自信があります。

さて、結果的に従来のオーディオ事業は衰退しそこには「iPod」が参入してゆきました。それは、「ハードウェア・ソフトウェア(iTunes)・ビジネスウェア」の三位一体の世界です。
そしてこれもコモディティー化しました。2019年に大きな変化が音連れます。愉しみですね。%e9%9f%b3%e3%81%a8%e4%ba%ba%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%96%a2%e3%82%8f%e3%82%8a