価値創造の知・第13夜 倒産、そして新価値創造

2016年12月22日 臆病な自分

31~32歳の時に、パイオニア社の当時2000人規模のセンター工場で労働組合の支部書記長をしていました。そこに、同じ地域にあるお菓子会社の労組の委員長と書記長が尋ねてこられました。

「会社の経営が危ないので、緊急にお菓子を斡旋していただけないか」と。年末だったのですが、お引き受けしてすぐにチラシを作成して、組合員にたくさん購入して貰いました。

その一年後に、同じ二人が来られました。
「昨年は本当にたくさんのご支援、有難うございました。しかし、力及ばず会社は倒産することになりました」

今、私達が悔やんでいるのは、3年ほど前に会社を立て直す機会があったのですが、そのままにしてしまったことです。あの時に本気で労組が再建の行動をとっていたら、このようにはならなかった」

まだ若いその時に、とっても大事なコトを学びました。

「変化に対応できなければ、会社は倒産する」と。

組合を降りて一年後の33歳の時に、一年に一回開催される重要なイベントである「技術発表会」の事務局長になりました。

その発表会が「これからの大きな変化に対応できる」ものにするために、下記二つを新規導入しました。
1.技術発表会の「コンセプト」の確立と実行
2.「自主研究発表」の制度(仕組みと予算をつける)

それまで、発表会にはコンセプトがなかったのですが、
「新価値創造 NVC(=New Value Creation)」
を中心において、全てのテーマが「新しい価値を創造すること」を中心に置いて進めました。

・新価値=「世の中に役立つコト」
・創造=「未来を先取りするコト」

当時、「新価値創造」という言葉はなかったので造語です。
上記導入の二つは、28年経ったいまでも活用されているようです。

現在、「価値を創造する」という言葉がメディアに氾濫しています。自分からすると「20年遅いなぁ」というのが素直な気持ちです。

3年前(2016年)、早期退職した時に「新価値創造研究所」を立ち上げました。ホームページURL https://shinkachi.biz/

「新価値創造で人々を幸せにしたい」

というのが自分の使命です。
25年の時を経て、「新価値創造」が繋がった現実・縁が不思議です。

さて、「変化に対応できなければ、会社は倒産する」
という認識が深く自分の中に棲み込んでいて、前職では下記のプロジェクトを推進してきました。

・オーディオ衰退期の時の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」
・不確かな時代を突破する社内外「シナリオプランニング」監修
・次の柱を創る「新事業創出プロジェクト」&「人財開発プロジェクト」リーダー

振り返ると、「自分は他の人より臆病なのだ」
ということが、よーくわかりました。

そのままで時間が過ぎると、「会社が潰れてしまうから何とかしなくては。時代の変化対応した目的・方法に変えなくては。価値創造できる人材を創出しなくては。」
そう思うと、もう落ち着かないのです。
ただ、会社には従来のやり方・考え方・既得権のイナーシャ(慣性)があって、イノベーションに向かうのは大変です。

でも、「会社が潰れるよりはマシです」

「あの時に本気で再建の行動をとっていたら、このようにはならなかった」

自分の中で方向が定まれば、スイッチが入りもう行動するのみです。なので、どのプロジェクトでも大きな反発がありました。左遷も降格もありました。スティーブジョブズも会社を追われました。本当・本質のコトを言い、実践するからです。成長・成功の前には、大きな必ず落込み・壁があります。

でも、顧客・社会の幸せのために、「時代の波に飲み込まれず、時代の波に乗る」のが本筋です。それを実践してきたので、いいコトもご褒美もいっぱいありました。

さて、ニッポンは、「新価値創造」の時代です。顔晴って頑張ってゆきましょう。笑