価値創造の知・第15夜 危機意識、不確かな時代を読み解く方法

2016年12月25日 シナリオプランニング

2004年49歳の時に、総合研究所のトップから呼ばれました。
研究所の二つの顕在的な課題・不足を解決するためです。
それは、
①顧客と接触が不足しているコト
②将来の構想力が不足しているコト
でした。

 当時、本社の「ヒット商品プロジェクト・新事業創造室」で積極的な異業種コラボレーションで様々な顧客と接触し、「守破離・弁証法」で未来をとらえて実践しているスキルが研究所に呼ばれた理由でした。

異業種ネットワークで、他社の研究所とも広く人脈を持ち、後述する複数会社の「シナリオプランニング」作成を経験しているので判るのですが、当時多くの研究所が高度IT時代に向けて、同様の悩みを抱えていました。
IT時代とは、顧客が主役になる世界だからです。

二つの不足は、言葉を変えると
①インサイト:顧客を深く読み洞察するコト
②フォーサイト:未来を高く読み洞察するコト
にあります。

従来のビジネス環境と様変わりして、半導体や情報通信の進化という「ムーアの法則」「メカトーフの法則」等を考察することが必要な時代でした。

それに伴う顧客価値の変遷を洞察し、組み込んで、チャンスとリスクを紡ぎ出す「物語」が求められるようになりました。従来の「物づくり」時代から「物がたり」時代への移行です。

その様な今まで経験したことのない「不確かな時代」を読み解くために、「シナリオプランニング」という方法があります。製造業、情報業、脳業等、様々な業種で活用できます。その第一人者(J・オグリビー氏)を米国から招き、私達のチームに直伝して貰いました。(下図)

ところが直伝を受けても、チームはまったく「シナリオプランニング」を使いこなせませんでした。それは、自分たちが「モノ発想」から抜け出られていないことにありました。

そこでは、「顧客価値発想」「コト発想」「弁証法」「新結合」のスキルが求められていました。

2006年に、パイオニア社の10年後のリアルな世界(シナリオプランニング)を描くために、下記①②③によるシナリオプロジェクトをプロデュースしました。

①「ヒット商品プロジェクト」で活用してきたインサイトとフォーサイトを組込む
② 紺野登先生(日本の第1人者:J・オグリビー氏を招聘)をモデレーターとして招聘。
③ 研究所横断でメンバー(6人)を選出。

半年後に、10年後(2017年)の4つ(4象限)の世界をシナリオにしてまとめ、ビデオも作成して一年に一回の発表会でプレゼンしました。
来年は2017年です。自分でも驚きですが、10年前に作成したビデオはほとんど未来を言い当てていました。皆さんにお見せしたいですね。

異能のメンバー達が当事者意識を持ち、本気で創発し、本質(インサイト&フォーサイト)を捉えれば未来は洞察できます。
業種の違う複数の会社からの依頼で、シナリオプランニングの監修を行ってきましたが、やはり時代を先取りできます。そんな経験を何度もしてきました。

上記は、12月15日に記した不確かな時代を読み解く「イメージメント&イノベーション」の世界の話しです。

とっても重要なな問題を一つ指摘すると、その羅針盤を判断する経営陣がインサイト&フォーサイトから遠い「マネージメント&オペレーション」の人達の場合には行動に移せない・移さないことがあり、未来を開封できないことがあります。メンバーのモチベーションは谷底に向かいます。

経営陣は「価値創造&イノベーション」のWillとSkillが必達です。
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