価値創造の知・第16夜 女性活躍の「舞台」をつくる

2016年12月27日 ダイバーシティ

 多様な業種のご支援をしていますが、今夜は「女性の活躍」について、二つの体験を綴ります。
 一つ目は、第4夜の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」の中の開発秘話です。
 1996年、異業種コラボレーションの真っ最中の時です。
「文化経済研究会」という谷口正和師匠の主催するセミナーでベネッセの取締役の方が講演され、その考え方・取組みに感銘し、後日二人で懇親する機会がありました。
 皆さん、「たまごクラブ・ひよこクラブ」という雑誌ご存知ですか?妊娠、出産、育児でNo.1の雑誌です。それを一から創りあげた女性を連れてきてくださり、その開発プロセスを教えてくれました。
 「ここにいる彼女は、感性は素晴らしいのだけれど、仕事の完成度が低かった。そこで、感性は低いけれど、仕事の完成度が高いベテランの男性をペアにして開発させてみた。
それで仕上げたのが、たまひよクラブです。今は彼女の仕事の完成度も非常に高いのです」と。
 これには感動しました。
 ヒット商品緊急開発プロジェクトには、女性が一人いました。まさしく、「感性が高いのですが、まだ若く仕事の経験が少ない方」でした。そこで「仕事の完成度が高いベテラン男性」をペアリングしました。
 コールセンターの役員にも声掛けして、コールセンター女性6人とベテラン男性一人の混成緊急プロジェクトを誕生させました。
 そこで生まれたヒット商品が、お風呂で使うポータブルオーディオ「ハッピーアクア」です。プラニングからマーケティング、新しい販路開拓・プロモーションと一気通貫で仕上がりました。自分たちの想いを世の中に発信して、今までなかった販路を開拓し、多くのお店と顧客からの反響がありました。
 そうなんです。彼女たちの感性スキルが生きる「新しい舞台」を用意することが、イキイキと活躍することに繋がりました。女性の活躍には、特別の「新しい舞台」をプロデュースすることが必要なことを実感した時でした。
 さて、国民一人ひとりが輝ける「一億総活躍社会」を実現するためには「舞台づくり」が必要です。よりたくさんの人々が参加できるのかは、プロデュースの出来、不出来で結果が違ってくるように思います。
 ただ、じっと待っていても自分が思う「舞台」はきてはくれません。そのためには、第1夜、第7夜に記した「イメージメント&イノベーション」へのアプローチが必要なのです。
 二つ目は、ご支援している企業の女性活躍についてです。
 依頼テーマで一番多いのが、
「現事業を成長させたい、新事業を創りたい、多角化したい」
というものです。
 ベンチャー企業、老舗企業、または、製造業、サービス業に関わらず、ご支援するクライアント先のトップとお話しする時に、
「プロジェクトメンバーの中に必ず一人は、女性を入れてください」というお願いをします。
 今までのやり方・考え方を変える時に、「女性」の視線・思考、あるいは存在そのものがとても重要になります。
 先ず、プロジェクトの前半で、「価値創造の基本」を判りやすい事例・演習で体得して貰います。すると、「自分でもできる、わかる」という感覚が芽生え始めます。
 そして3回目くらいからは、男性陣では出てこない視線・思考からのアイデアやプランや物語がでてきます。皆がいい提案に拍手することもよくあります。
トップも大喜びです。かけがえのない仲間になります。
 それを引き出すには、自分の様な外部の存在が必要なのですが、女性は男性陣が言えない本当のこと、本質をずばり発言することができるのが強みです。そう、多くのプロジェクトの中で、一番伸びるのは参加した女性なのです。メンバー達もそのことを実感します。
 プロジェクトメンバーに選出され、役割が与えられ、そこでWill・Skillを習得すると、「舞台」に上がっていいパフォーマンスにつながります。そのような「場」も多く創りたいと想いこの仕事をしています。
現在の日本では、出産や育児などの様々な事情で退職をされた方達の「学び直し」の為のリカレント教育の充実も望まれています。
  迅速に、一人ひとりが活躍できる社会にしてゆきましょう。
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