価値創造の知・第17夜 「間(ま)」と「創造」

2017年1月12日 価値創造ダイアグラム

「間(ま)」とは何でしょうか?

松岡正剛師匠の未詳倶楽部を通じて、一流の体験と講義を
織り交ぜて叩き込んでもらいました。そのエッセンスと自分の
価値創造の実践の一部をお伝えします。

 皆さん「間(ま)」という言葉は無意識に使われていますね。

間合い 間抜け 床の間 時間 空間 間際 間に合う 間違い
間にまに 世間 人間 仲間 間引き 間近 間奏 等々
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松岡師匠の講義では、

「間」は日本独特の観念です。ただ、古代初期の日本では
「ま」には「間」ではなく、「真」の文字が充てられていました。

真理・真言・真剣・真相・・・

その「真」のコンセプトは「二」を意味していて、それも
一の次の序数としての二ではなく、一と一が両側から寄ってきて
つくりあげる合一としての「二」を象徴していたそうです。
「真」を成立させるもともとの「一」は「片」と呼ばれていて
この片が別の片と組み合わさって「真」になろうとする。
「二」である「真」はその内側に2つの「片」を含んでいるのです。

それなら片方と片方を取り出してみたらどうなるか。
その取り出した片方と片方を暫定的に置いておいた状態、
それこそが「間」なのです。
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その時に、「はっ!」としました。
自分がプロデュースした「異業種コラボレーション」(第14夜)や「守破離」(第5夜)「弁証法」(第10夜、第15夜)という価値創造の方法が全く同じであることです。

一例では、サントリーとパイオニアが異業種コラボレーションで
「真」にしたヒット商品「ピュアモルトスピーカー」があります。
それはサントリーのウィスキーの樽材で造ったスピーカーなのですが空間上の片(樽材)と片(音響)の合体です。(=Gestalt)
勿論、そこに「ものがたり」の要素が必要なのですが、同様な「真」で次々にヒット商品が生まれました。

「弁証法」(正反合)とは、時間上の過去(片)と現在(片)でできる未来(真)を洞察する方法です。(=Foresight)
これは現在の行き詰まりを突破する「シナリオプランニング」の中で必須の方法です。

さて、自分のセミナーやプロジェクトで紹介する際の身近な事例は、
・縁側(内と外の境。内なのか外なのかわからない)
・黄昏(昼なのか、夜なのかわからない)
・「打ち合せ」とは
・グーテンベルクの活版印刷

つまり、内と外とを分けていてかつ両方に通じさせている。
どきどき交流する空間であったり時間についてです。

料理やDJもiPhone同じですね。
バラバラだったものを用意(Prepare)して、和えること(Performance)で新しい性質のもの(価値)が出来上がります。

つまり、境界線を外して新しい関係を創ることです。
価値創造のポイントは、片と片を体内(脳内)に入れて料理にして
吐き出す行為と同じです。

「イノベーション」を提唱したシュンペーターは、イノベーションで一番重要なことは、「新結合(New Combination)」と言いました。 なので自分にとっては、「真と間」=「イノベーション」なのです。

それで、セミナーでは空間上の「真」を「横の新結合」、
そして時間上の「真」を「縦の新結合」として説明しています。

ただ、何でも和えればいいものではありません。料理でもクラブDJでも上手いものと上手くないものがありますね。コツがいります。そのコツはどこかでお伝えしたいと思います。

ただ何れにしても重要なことは、多くの人々が共振し、幸せになることを心の奥底におきながら、常識(コモディティー)から離れ、「真と間」を追及して、「今までになかった関係を創るコト」にあります。
参考に、それを実現する新価値創造研究所オリジナル「価値創造ダイアグラム」を添付します。

さて、第3夜(「負」と「余白」の価値)で、「わびさび」について触れましたが、「日本流」松岡正剛著から「間に合わせ」について記します。

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ワビは文字通りの「侘び」です。すなわち「詫びる」ことである。まさに、貧相や粗相をお詫びすることなのです。なぜ詫びるかというと、そこに頂点を用意できなかったから詫びている。その姿が「侘び」なのです。そこから「侘び茶」の意識が生まれました。

村田珠光が試みたことは、それまでは中国渡来の唐物などの道具を持っていなければろくな茶数寄ができないと思われたところへ、たとえ名品や逸品をもたなくとも、なんとか手持ちの道具を心を尽くして用意すれば、そこに新たな茶の心が生じるはずだという試みだったと思います。

これは日本文化史における「間に合わせ」あるいは「取り合わせ」の発見だ、というふうに見るといいでしょう。
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「間に合わせ」「取り合わせ」から価値が生まれるのです。
実際の企業現場では、既存の技術やサービスの「間に合わせ」「取り合わせ」でご支援して成長に向かうことがよくあるのです。

さて、何か心が響くところがありましたでしょうか。
「間(ま)」と「価値創造」の関係に、皆様の関心が向かわれたら幸甚です。
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