2017年1月15日 価値創造・第19夜 見えざる手
人知を超えた見えざる力を何回か感じたことがあります。
今夜は「本」を媒介にしたそれを記したいと思います。
「めったにないことが起こる幸せ」=偶有性(セレンディピティ)の話しを前回後半(第18夜)にしました。
「真&間(第17夜)」をギリギリまで突き詰め、覚悟を決めてやり抜く中でチャンスの神様が前髪(偶有性)を魅せてくれることがあります。
そのような偶有性が次々に起こるきっかけを創ってくれた二冊をご紹介します。
一つ目は写真にある「見えざる手」(谷口正和著 1991年初版)です。、
前職で目黒本社に異動になった36歳の時ですが、エンジニアからプランナーへの過渡期で、まだ自分の心棒が定まっていませんでした。
仕事帰りにふと渋谷駅で降りて、現在はありませんが大盛堂という当時は大きな本屋の3階に立っていました。
オーラを纏った厚さ2.5Cmのその本の外見と中身は異様でしたが、すぐに「買わねばならない」と背中を押されました。
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26年前の本ですが、「序文」を記します。
「見えざる手」。このようなタイトルを本書に冠した最大の理由は、我々の時代が見えるもの、顕在したものでは見えなくなってしまったということである。
我々は“見えないもの”をいかに認識していけるかという、その一点において時代を把握し、動向を察知し、そして世界を見ていく。
見えないものの力と存在を知り、それを活かすことができる。
「見えざる手」というタイトルに込めた最大のコンセプト、それは、“心の時代”ということである。心はまさに“見えない”がゆえに“見える”を超えるものである。
その心をさまざまな角度から照射し、“言い換え”、言い表わしていくうちに、我々はその中央に座る「無限の神」の力を借りて生きているということに目覚めていくのである。
未来の語り部として、語りかけるように私は皆さんに私の“気づき”を共有したい。同じ“気持ち”を交換したい。
私の“気づき”が皆さんに手渡されれば、それはまた皆さんの“気づき”として増幅され、広がっていくだろう。
(中略)明日、未来というものを信じ、強く肯定的に存在しようというあなたと本書を通じで出会えたことを感謝します。
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すぐに本に記されたジャパンライフデザインシステムズ社の情報誌「ファクスプレス」に申込み、主催されている「エコロジー研究会」に入門しました。
その縁で生まれたのが、第18夜の「ピュアモルトスピーカー」です。そして、第4夜、第9夜、第14夜で記した「ヒット商品群」も谷口正和師匠のバックアップがありました。
その一つの「ループマスター」というのは、「ファッションとオーディオ」の新結合(第14夜)です。
その試作品を谷口師匠にお見せしたら、「ファッションのメッカであるラフォーレ原宿でお披露目すると最大のニュースになる。すぐにラフォーレ原宿の館長を紹介します」
というつながりで、早速館長にお会いしたら、「ラフォーレ原宿のすべての階のマネキンに、ループマスターを掛けてもいい」という即答がありました。
これがヒット商品への突破口になりました。
これが自分が”見えないもの”を認識した時の「偶有性(セレンディピティ)」です。
現在も一年に六回ほど、谷口師匠主催の「文化経済研究会」に通って磨きをかけています。
もう一冊は、総合研究所で10年後のパイオニアの未来シナリオをプロジェクト(第15夜)でまとめていたときです。
神田駅方向に直進していたのですが、何かが降りてきて、何となく右折し行ったこともない細い路地を入ると小さな本屋さんがポツンとありました。
そこにると、何かオーラを纏った「本」がありました。その内容が解決へのヒント満載だったのです。
読み進むとそれまで行き詰っていた軸が浮かび上がりシナリオ策定につながりました。何かが導いてくれたと思わずにいられません。
ジグソーパズルのように最後のピースが見つかったのです。自分でもビックリでした。
なので何かを感じた時はそのまま導かれています。
さて、皆さんにも同じような体験があるのではないでしょうか?
自分の心が覚悟を決めてやり抜く時に、「見えざる手」がはたらいてくれことがあります。
そう、これまでヒット商品開発や未来シナリオ開拓や事業開発コンサルティングを推進してきましたが、自分の殻の中に安住していると偶有性の神様はぜんぜん音連れてくれません。
キワ(際)に出ていき、やり抜く心(Will)とやり遂げる方法(Skill)で邁進した末に、やっとチャンスの前髪が降りてくることを実感しています。
やはり、「本気・本質・次の本流」(第11夜)への傾倒が偶有性(セレンディピティ)を誘うのです。
より多くの人や企業に、偶有性(セレンディピティ)を体験していただけるように貢献していきたいと思います。