2017年1月28日 高校時代が原点
「そのような発想や構想はどこから生まれてくるのですか?」
と昨日の仕事のインタビューで聴かれました。
その場では、「機械工学の出身で設計や技術企画、新事業開発をしていたので、パーツを組み合わせ、新しい全体を構想するのが得意なのかも」と答えたのですが、自宅に帰ってから、もっとその奥にあるものを考えていました。
ちょうどその時、高校時代の友人のFacebook記事が飛び込んできました。そこには、「高校の同級会と新年会」の写真が載り、「自分達の代で修学旅行が中止になった」ことが記されていました。世の中には迷惑をかけてはいないのですが、大人になると許されるコト体験が高校三年男子校のクラス単位の修学旅行で慣習になっていました。
そう、自分もその悪さをしたチームの一人でしたが、際(キワ)をはみ出すことのドキドキ感やワクワク感を早くから体験しました。ただ、そのせいで次年度から修学旅行が中止になったので、後輩には申し訳なく思っています。
この高校はW大学高等学院です。この高校が自分を育んでくれた環境は、自分の人生に大きな影響を与えてくれました。因みに、この高校は卒業できれば、全員W大学に入ることができます。(但し、成績順で入れる学部は制限されますが)
一つ目の影響は、「余白」です。
例えば、西洋史の先生は、自分が探究している中世の100年だけの授業を一年かけて熱く語っていました。
そこでは、暗記することが授業の目的ではなく、「学問とは何か?学問にどのように対するのか?」という姿勢や取組み方を教えて貰いました。そんな先生が多かったのです。
第2外国語(ドイツ語、フランス語、ロシア語選択)にも多くの時間を割き、早慶戦(大学野球)がずれ込めば休校になり、神宮に、新宿に、皆で繰り出して騒いでいました。高校の時から、大学を味わっていたのです。
クラブ活動では、中学からやっていたバドミントン部に入り、部活漬けの日々を送りました。
そう、ここでは自己責任なのです。通常の「全国大学入試」という枠から縛られることがなく、多くの教科を過剰に覚えることなく、「余白」があることで、学ぶことの本質を高校時代に気づくことができました。そして、自分の「数寄」や「楽しみ」を過剰にトライできる環境がありました。
例えれば、西洋絵画は隅々までフルに描いていますが、NHK美術画アンケート人気No.1の「松林図屏風」(長谷川等伯)は「余白」をとり、禅の境地とも、侘びの境地とも受け取れる閑静で奥深い表現をしています。フルに描かれると、こちらが入り込む余地はないのですが、「余白」があることで世界の幅と奥行きが拡がります。
どちらがいい、悪いというのではなくて、後述しますが、「余白」や「違う本流=オルタナティブ」を創れる人財を多く輩出することがこの時代に必要であり急務だと想っています。
何故ならば、価値創造・第7夜の「イノベーション&イメージメント」の時代だと確信しているからです。「分かっている答えに早く到達する」から「分からない答えを異なる視点・視座で創り出す」時代です。
そんな「余白」を早くから意識させられたのもこの高校の方針、環境だと思います。
二つ目の影響は、上でも触れましたが「常識」からの離脱・逸脱です。
目的・目標に向かう時に、この高校の先生方から、色々なポリシーやスタイルに触れることで、未来には「違う本流=オルタナティブ」があるということに早くから気づかされたことでした。
前職の会社に入ってからも、
・設計、研究開発、事業企画の各職務において視点、違う方法はないのだろうか?
・(価値創造・第13夜):このままの事業のやり方・考え方では危機を迎えるのではないか?
そして、現在は 製造業/サービス業、老舗企業/ベンチャー企業をご支援していますが、
皆さんに共通するのは「『現状を突破する構想力』が不足している」ことにあります。時代の先が読みづらい転換期に必要な力は、「構想力・行動力・更新力」の三つです。特に、行動を起こしてやり抜くためには、土台となる初めの構想力がとっても重要になります。
「構想力」とは、新しい時代に向けて大局を読み、想いを組み立て、立体化する力です。そして、その構想力の中心には、事業の目的である「顧客価値を生み出す力」が求められます。この「顧客価値」は、お客様を喜ばそうとするサービス精神から生まれます。
この「構想力」と「顧客価値創造力」は、常識を外すこと、逸脱することが重要なスキルとなります。
より多くの方達に、このスキルを活用していただきたいと思います。