2017年2月7日 「本」を読むとは?
萬巻の書を読むに非ざるよりは、寧んぞ千秋の人と為るを得ん。
昨日は東京世田谷の「松陰神社」を訪ねましたが、それは松下村塾聯(松下村塾の床の間に掲げられていた言葉)です。
直訳は「沢山の書物を読破するのでなければ、どうして長い年月にわたって名を残す、不朽の人となることができるだろうか。できはしない」
今夜は「本を読むこと」をテーマにしたいと思います。
35歳の時に、埼玉・川越工場から目黒本社に異動になりました。第14夜「社長直訴そしてヒット商品緊急プロジェクトへ」にもそれを記しましたが、エンジニア(技術)からプランナー(企画)への転身でした。
埼玉の自宅(鶴ヶ島方面)から、目黒本社までの片道通勤(痛勤)時間は、1時間45分なので往復3時間30分にもなったので、一念発起して一日一冊、本に集中して読破することを自分に課しました。
それで毎週金曜日の夜に乗換駅の池袋で下車して、ジュンク堂書店と東京旭屋書店のどちらかに行き、次週の5冊を購入することが週課となりました。
最初の頃は、通勤時間では足りなくて休日も使っていましたが、だんだんといいリズムができてきました。それは、幅広くプランナーの心得と方法を学ぶこともありましたが、
何よりも「他人の時間」ではなく、「自分の時間」を使っていることにあります。帰りの電車では熱中してしまい、降車駅をすごすことも多くありました。
さて、半年の100冊を過ぎると関心領域も広がってきて、本屋さんに行くと、あちらこちらから「本」が自分を呼ぶのです。これは今でも同じです。
いつの間にか、「知性・心性・脳性」が鍛えられたようです。
それが、異動から4年目の社長直訴(第14夜)に繋がっていきました。当時400冊の本達も自分の背中を押してくれました。
100社との異業種コラボレーションではそのための事前知識を身につけ、問題・課題が出る度に、それに適応した本を複数購入しました。
・「不確かな時代を読み解く方法」(第15夜)では、弁証法やシナリオプランニング関係。
・「100社の企業訪問フォーラム」(第23夜)では、訪問先関係。
・「文化経済研究会」(第24夜)では、150人のバリューイノベーター関係。
そのようにして、15年間で3000冊と積み重なりました。
「木」に例えれば、この本達が自分の「根っこ」になりました。
あちらこちらに根を伸ばし、また絡み合うものもあり、深く根を下ろすものもあり様々です。
これらが、自分の幹を支え、葉を生い茂らせてくれています。
そこから、自分(新価値創造研究所)の特徴である「トリニティ(三位一体)イノベーション」が形成されていきました。
①人を深く読む
②未来を高く読む
③全体を広く読む
まだまだ発育・発展途上にあります。
さて、目黒本社に異動になってから日課で800冊となった8年目に松岡正剛師匠との出会いがありました。それは代官山近くの事務所でした。
そこに一歩踏み入れた時に、その本の異常な多さと荘厳な佇まいに圧倒されました。逸脱した別世界が拡がっていました。
格別で別格なのです。
その後、赤坂事務所、豪徳寺事務所への移転がありましたが、日を増してその「輝き」「憧れ」は強くなっています。
嬉しいことに、豪徳寺の本楼で、「Editiz」のキックオフセミナー(写真)をやらせて貰いました。
次回は、松岡正剛師匠主催の「未詳俱楽部」に触れようと思っています。