2017年3月1日 “二つでありながら一つ”
『禅(ZEN)』の修行で一番大切なコトは何だと思いますか?
それは、「二つ」にならないということにあります。
座禅の姿勢は、「結跏趺坐(けっかふざ)」という右足と左足を組んでいますね。
この姿勢は、『二つではない、一つでもない』という「二元」性の「一者」性を表わしています。
これが、もっとも大事な教えです。(引用:禅マインド)
もし私達の心と身体が二つである、と考えるとそれは間違いです。心と身体が一つである、と考えるとそれも間違いです。私達の心と身体は、“二つでありながら一つ”なのです。
私達は普通、もし何かが一つ(単数)でなければ、それは二つ以上(複数)であると考えます。けれども実際の人生の経験に照らしてみましょう。
私達の人生は、複数であるばかりではなく、単一です。私達は、互いに支え合うと同時に自立しています。
『禅』が大事にするのは、今この時、現在です。
過去を考えれば、それは現在に戻り、未来を考えれば、それも現在に戻ります。
これも“二つ(過去と未来)でありながら一つ(現在)”なのです。
“人生が2度あれば”いいのですが、人生は単一です。
『禅』という字の意味がわかってきましたでしょうか。
さて、“二つでありながら一つ”と同じことを第17夜(「間(ま)」と「創造」)でお伝えしました。覚えておられますか?それは、『真(間)』です。
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「間」は日本独特の観念です。ただ、古代初期の日本では
「ま」には「間」ではなく、「真」の文字が充てられていました。
真理・真言・真剣・真相・・・
その「真」のコンセプトは「二」を意味していて、それも
一の次の序数としての二ではなく、一と一が両側から寄ってきて
つくりあげる合一としての「二」を象徴していたそうです。
「真」を成立させるもともとの「一」は「片」と呼ばれていて
この片が別の片と組み合わさって「真」になろうとする。
「二」である「真」はその内側に2つの「片」を含んでいるのです。
それなら片方と片方を取り出してみたらどうなるか。
その取り出した片方と片方を暫定的に置いておいた状態、
それこそが「間」なのです。
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『禅(ZEN)』の修行(方法)で一番大切なコトは、“二つでありながら一つ”ということです。
如何でしょうか?
「イノベーション」の代表格の“スティーブジョブズ”が禅寺に通っていたということが意味をもってきますね。
さあこれで、第31夜「アイデア」、第32夜「イノベーション」、第33夜「禅(ZEN)」の一番大事な方法・原理が同じだということをお伝えできたでしょうか?
この方法・原理を習得することが、どれだけ意義のあることかが、ご納得いただけたら嬉しいですね。
さて、ブッダの基本的な教えは、ものごとは移ろうということ、変化ということ、それは“無常”であるということです。
無常迅速であるから、人は悩み、事業は変化に対応するのです。
そこで、『禅(ZEN)』が教えるのは、“初心”です。“ありのままに在ること”“大元(おおもと)に在ること”です。
それは、第6夜(「色即是空・空即是色」)に記しました。
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「色即是空」というのは、「現実=色」に問題・課題があるのなら、先ず心を無にして、「大元=空=大切なこと=真心」に戻りなさいと教えてくれているように思います。
そして、「空=大元=真心」に戻って従来のしがらみや常識から解き放たれて、その本質(=コンセプト=核心)を把えてから「現実=色」を観ると
新しい世界(=現実=色=確信)が観えるということではないでしょうか。その確信を革新するのがイノベーションであり価値創造です。
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ここにも“二つでありながら一つ”がありますね。
「空」=「大元」に意識を置くこと(超意識)が重要です。
そのため、多くの経営者やイノベーターが「禅(ZEN)」や「「超越瞑想」の門を叩く理由なのでは、と思っています。
それでは、前夜に記した「マーケティング」と「イノベーティング」についてお話しします。
マネジメントの神様の「ピータードラッカー」は、企業(事業)の目的を
“顧客を創造すること”=“顧客価値を創造すること”
と云っています。顧客価値を創造できなければ、企業は倒産します。これが現実です。
そして、企業の中でそれを実現できるのは、「マーケティング」と「イノベーション」の二つだけだと言いきっています。
さて、またここに出てきましたね。
“二つ(マーケティングとイノベーション)でありながら一つ(顧客価値創造)”
ここがポイントです。
そうすると、イノベーションという言葉が引っ掛かります。
そうであれば、これは「イノベーティング」が適当なのではないかと。
昨夜(第32夜)は、「イノベーション」について記しました。
イノベーションとは、『①「モノやコト」が新しく結びつき、②それが新しい価値として社会的に受け入れられて、経済が発展している状態(ing)のコト』
そう、つまり顧客価値創造から見れば、「イノベーティング」なのです。
“二つ(マーケティングとイノベーティング)でありながら一つ(顧客価値創造)”
ここから、顧客価値創造の神髄となる三位一体としての「トリニティイノベーション」(第21夜の図)が出来上がりました。
おそらく、何年かすると事業開発や価値創造の領域では、「イノベーティング」と呼ばれるようになると思います。きっと。
それは、本日の夜話がきっかけになって・・・。笑
第33夜 価値創造による経営革新