価値創造の知:第38夜 懸命と賢明、そして“働き方改革”

2017年3月29日 企業寿命30年説

第4次産業革命、グローバル化、AIoT化、Robot化、少子高齢化等によって影響を受けて、私たちの『働き方』は大きく変わってゆきます。
本夜は、「働き方」と「就職」をテーマにしながら、働き方改革と価値創造とを結合した内容で綴ります。

 いまから40年前は、第2次オイルショックの後で景気が冷え込み、私の就職活動は大荒れになり、予定していた企業の推薦枠が消滅して大変でした。しかし、前職のオーディオメーカーとのご縁で就職した時、そこは世の不況と関係なく、オーディオ事業は全盛期なのでした。

新入社員の研修の一環で、その年の夏に「丸井・自由が丘店」の三階でオーディオ売り場に立ちましたが、目前の売上伝票を書いている間にも次々に飛ぶように商品が売れて行きました。

しばらくしてメディアで紹介されていたのが、

“企業寿命30年説”です。

明治以来100年におよぶ上位100社のランキングを作成し、分析し、到達した結論・・
それは、企業が繁栄を謳歌できる期間、すなわち「会社の寿命」は、平均わずか30年にすぎないという統計的な結果があるようです。

もう就職した時がオーディオ事業の全盛期ですから、20〜30年後は会社の寿命なのかな、と漠然と思っていました。さて、就職から8年後に、2000人規模のセンター工場の労働組合の支部書記長になりました。(第13夜)

その前迄は設計部門にいて、緊急の3か月連続120時間以上という徹夜連続の猛烈の超過勤務をしたこともあります。その3ヶ月連続後は心身が疲弊したことをいまでも心と身体が覚えています。自分の感覚では、職種にもよりますが、先ずMAX40時間が上限にした方がいいと思います。それは、放っておくと人間は「知恵・叡智」を使わないからです。

第1夜では、価値創造の「資質(WILL)と能力(SKILL)」について記しましたが、100時間を超える連続超過勤務は、「一生懸命」では無理があります。成り立ちません。
そのような経緯があった後の支部書記長だったので、本格的に「残業(超超過勤務)問題」に取り組みました。
それはもう30年前の話になりますが、今で云う、「働き方改革」です。大局的に意識を変える必要があります。何か大きな事故がないと、なかなか治らないのですね。

残業に対する規制の新制度は、2年前に労組の先輩たちが創ってくれたのですが、数値を規制するだけでは歪や悲鳴が出てきます。
自分が30歳の時に、会社との交渉で事前準備して使った言葉は今でも覚えています。

“もう私たち組合員は、通常のレベルを超えて十分以上に「一生懸命」に仕事をしています。
今必要なのは、足りないのは、「一所賢明」ではないでしょうか。
「懸命」を超えるには「かしこく明らか」にする賢明の知恵が必要です。

会社は組合員の「一生懸命という精神力」に頼ってしまうのではなくて、「賢明」という“知”で働き方を改革する必要があります。共創しましょう”

という提言をして、「懸命」(WILL)と「賢明」(SKILL)を合わせた取組み、仕組み(新結合)を会社と労組でタッグを組んで進めました。叡智を集めて、仕組みを創ることがとても重要なのです。

上記(懸命と賢明の新結合)も、第31夜~第37夜でお伝えした“二つでありながら一つ”という最も重要な方法です。

共創の取組み、仕組みの効果は大いにありましたが、他社競合と同じ枠組みの中で競争してもなかなか「レッドオーシャン(血みどろ)の戦い」から逃れられないことを痛感し、それまでの慣例や常識の枠を超えた新価値を創造すること(ブルーオーシャン)に傾倒し、注力、実践してゆくことになりました。
(「新価値」と「創造」の新結合も上記と同様です)
この新価値創造を基盤としたサスティナブルでサバイバルな実践・実行が、「企業寿命30年説」を打破る秘訣です。

さて昨年(2016年)の中盤、政府の中枢から「生産性を上げることが、日本(公官民)には必要だ」という声があちこちから聴こえてくるようになりました。国は舵を切る決心をしたのです。
冒頭の「第4次産業革命」「グローバル化」「AIoT化」「Robot化」「少子高齢化」が時代を牽引するので待ったなしです。遅いくらいです。

この新時代に、個人のレベルで大切な三つのことを記します。
①自分の志、ミッションを明確にすること。
②自分の稼ぐ力を強化する。自分の生産性を高める。スキルアップすること。
③70~75歳まで働けるようにキャリアプランをたてること。

さてさて、先週は甥っ子(妹の長男)が私の誕生日お祝いにきてくれました。彼は就職活動真っ只中なのです。
彼の在学する大学院であれば、昔ならば大手企業にラクラク推薦で入れていましたが、「自分の研究室の半分はベンチャー企業志望」ということでした。
最近の一流といわれた大手企業の崩壊を目の当たりにしていること、質のいいベンチャー企業も増えてきていること、と受け止めました。

そう、「終身雇用制度」はとっくに終わりを迎えているのですね。

ただ、彼の就職面接では自分の志、個性、コンセプト(第37夜)を明確に伝えることが必要です。その秘訣をしっかりと伝授しました。第1志望の会社に入れることを祈ります。でも、そこは彼が終身で仕事をするところではない可能性が高いと思います。きっと。

さあ、「懸命と賢明」「新価値と創造」を新結合して、隆々とした人生を、そして、ニッポンを創ってゆきましょう。

第38夜 価値創造から経営革新へ

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