価値創造の知:第39夜  新入社員の“あなた”に贈る

2017年4月1日  会社に使われるのではなく、会社を使いこなす

今日(4月1日)から、新しく会社人生の門出にのぞまれる“あなた”に新価値創造研究所からメッセージを贈ります。
添付図は、左右の二つものが出会い、新しい価値を生み出す『新結合ダイアグラム』(新価値創造研究所)を表しています。今の“あなた”のポジションになります。
(この新結合が、未来を切り拓く“価値創造・イノベーション”の大基本になるのですが、その詳細は第17夜と第18夜に記していますので、どうぞそちらを参照ください)

左右の二つの小さな三角形には、「自分」と「社会・会社」と記しています。この二つが“ご縁”によって出会いつながりました。しかし、決して“あなた”は入社した会社とだけの“つながり”とは思わないでください。

「会社は社会の“公器”である。したがって、会社は社会とともに発展していくのでなければならない」(松下幸之助)
という認識が重要です。(公器とは、「自分たちだけの利益を追求するのではなく、社会全体・公の利益にも適う必要があり、そのように振舞わなくてはいけない」という意味です)

新価値創造研究所では、

“新価値=世の中に役立つコト”

と定義しています。

「世の中(社会・顧客)に役立つこと」を優先すること、つまり、企業は世の中に役立つ商品やサービスを提供することで、対価としてお金が回り存続してゆくことが原理原則です。
経営の神様のピーター・F・ドラッカーさんは、“企業の目的は、社会価値・顧客価値を創ることである”と言っています。
“社会価値・顧客価値を創ること”が、自分&会社の「現在と未来」を成長させてくれます。

そうすると、
・「社会はどうなっているのだろう?」
・「顧客は何を望んでいるのだろう?」
ということを洞察(=物事の本質を見通すこと、見抜くこと)する能力・知恵を身につけなければならないことがわかります。

“価値創造の知”シリーズでは、その洞察の知(SKILL)と意欲・意識(WILL)を体系的(本気・本質・次の本流)に綴っています。

さて顧客価値創造の前半のポイントは、下部の『ご縁(共通項)』の三角形と上部の『命・物語』のダイヤモンド形の二つにあります。

一つ目は、下方にある小さな『ご縁(共通項)』の三角形です。それは、“関係性”を表しています。
・顧客との関係性
・社会との関係性
・会社との関係性
私たちは、一人で生きているのではなく、生かされているのです。
自分なりの素敵な関係性を見つけ、紡ぐことが自分&会社の人生を豊かにすることにつながってゆきます。

私(橋本)が会社(パイオニア社)と同一化した時の価値創造の実例を上げます。
第18夜には、サントリーとパイオニア(自分)の異業種コラボレーション(ピュアモルトスピーカー)によるヒット商品を記しています。
ここでの『ご縁(共通項)』の三角形は、“響き”です。

「人と自然と響き合う」を前面に出していた時代のサントリー社は「響」の文字をモチーフにしたロゴマークでした。パイオニア社は「世界のステレオパイオニア」の「音響」がベースにありました。

お互いが“響き合う”ことを基盤にすることで、境界は消え去り、新しい価値を生み出す下半身ができあがります。この境界線を消しゴムで消し去ることのスキルが新結合の秘訣です。

二つ目は、もう一つの上部のダイヤモンド形です。
二つの三角形(サントリーとパイオニア)が左右から合わさった時に、上部には何もなく、ただの空白でした。自ら余白を創り出すことがとっても重要です。(第22夜 “余白”参照)
ここに“”“二つでありながら一つ”の命を生み出す、創り出すのが『新価値創造』です。

それは、“赤ちゃんという新しい命”を生み出すのと全く同じです。
男と女の二つの三角形が左右から出会い、結合し、『新しい命』が授かりました。それは、お父さんでもないし、お母さんでもありません。
ピュアモルトスピーカーを観ると、サントリーでもないし、パイオニアでもありません。
でも“”“二つでありながら一つ”なのです。

添付図は、自分と社会・会社の素敵な出会い・ご縁を表しているのです。
どのような“アクティブで素敵な関係性”を創れるかがポイントになります。

さて、20世紀は、欧米に追い付き追い越すというのが命題でしたので、これまでの会社や教育は、答えがあるものを如何に早く正確に回答するというものでした。

しかし、これからの21世紀は、上記のダイヤモンド形のように「答えのない空白部分」を自ら想像し、創造する時代となります。好む好まざるにかかわらず、“あなた”はその時代を生きてゆくことになります。

情報時代から、脳業時代に移行するAIoT化(AI&IoT)、Robot化にはそれが本筋となります。AIoT化、Robot化によって、必要なくなる仕事が続々とでてきます。それはすぐそこまできています。

なので、多くの人が「答えのない空白部分」を自ら想像し、創造するための意欲(WILL)と方法(SKILL)を習得するコトが急務なのです。

今までは、“追い付き追い越す”“競合を見ながら少し改善する”のが得意な、20世紀型の“オペレーション&マネジメント”の人達が多かったのです。

第7夜(イメージメントとマネージメント)にも載せましたが、21世紀を生きる“あなた”は、上記ダイヤモンド形を生み出す、創り出す『C』の達人に向けて足を踏み出してください。
“(オペレーション&マネジメントの)人達から(オペレーション&マネジメントの)達人への移行です”

さ てさて、ここでは、ダイヤモンド形の“命”のことを記しましたが、“自分の命を何に使うのか?”がとても重要ですね。自分の人生ですから。
つまりそれは、自分の“使命”(ミッション)です。

是非早い時期に、社会・顧客に喜ばれる“使命”を見つけてください。使命(ミッション)については、第11夜(イノベーションの心得:「本気・本質・本流」編)に詳細を記しています。

そして、もう一つ重要なのが、“物語”です。
上記、“ピュアモルトスピーカー”の物語は、“樽物語”でした。(第18夜)
「100年の樹齢の水楢をウィスキー樽に使い、まだ木としては50年使えるその材が魅力的な響きを持ったスピーカーに生まれ変わる」という物語に多くの顧客が共感されました。
“モノづくりとモノがたり”の新結合が人々に幸せをもたらします。

ヒット商品づくりや価値創造、新事業づくり、人財づくりのポイントは、この“魅力的な物語”を紡ぎだせるかにあります。“物語化能力”です。それは、“自分自身の物語”を紡ぐことでもあります。

自分自身の物語を紡げる能力が、社会や顧客に向けた魅力的な物語につながるのです。 そのためには、それらを生み出せる、創り出せる“人財”を育成・養成・開発する仕組みが社会・会社・学校にあるといいですね。

最後に、上記から『社会・顧客への価値創造』を目指そうと決心した“あなた”は、より良き社会を創るために、『会社に使われるのではなく、会社を使いこなすイノベーター、プロデューサーに是非なってください。ニッポンにはそのような多くの人財輩出が必要なのです』

隆々とした皆さんの未来実現のために、新価値創造研究所は応援します。

第39夜 価値創造から経営革新へ

 

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