価値創造の知・第45夜 自らハシゴを創る&リオリエンテーション

2017年6月17日 「有事」の認識

今は「平時」ではなく、「有事」です。

混迷している「有事」の時代の中で、どんな指針を打ち出すのか、それが経営者や知識人たちの役割です。
下記の③リオリエンテーションの指針を打ち出せない経営者は、社員が不幸になりますから、早く卒業されたほうがいいし、そうでなければ、二人三脚で「しっかりと方向を創出できるリオリエンテーション専門家」を迅速に招聘することをお薦めします。

 前職でも、企業創生のコンサルティング会社が何社かきてご一緒しましたが、③リオリエンテーションは一度もうまくいったことはありませんでした。

その時のコンサルティングの手法は、20世紀型の成功事例のツールを持ってきて、
「このようにこれを使えば、再生の道筋がみえてきますよ」と。

でも、その人たちの使う専門の「ツール」は、後述する①リストラクチャリングと②リエンジニアリングには対応しても、会社や地域が求めるその先のミッションとビジョン(本来と将来)とその道筋は描けないのでした。

つまり、従来成功型の「ツール」をベースにファシリテーションはしても、荒波を乗り越えてあるべき姿に導くナビゲーションを提示されることはありませんでした。

そう、それが右肩上がり時代には通用しても、右肩下がりの成熟衰退期及び次の柱づくりには到達しない多くのコンサルタントの姿でした。

独立後はコンサルティング会社の人達と会う機会が増えて、コンサルティング会社へのご支援も舞い込むようになり、そこで親しくなったコンサルティング会社の人に上記のコトを話すと一様にそれを認めていました。

20世紀と21世紀のコンサルティングのアプローチの「型」は求められる質や次元が違っていることを強く実感しています。

さて、「真の企業再生のための3つの切り口」を妹尾堅一郎先生が提唱されているので簡単にご紹介します。

「行き詰まりの打破や、新たな成長を目指して、企業再生に取り組む切り口は3つあります。
①リストラクチャリング
「構造」の見直しを意味しますが、企業を縦串で見た時に必要のない部門を削除するものです。
②リエンジニアリング
「機能」の見直しを意味しますが、企業を横串で見た時に必要のない仕事を削除するものです。
③リオリエンテーション
「進むべき方向」の見直しを意味します。

①②がDeleteに向かうのに対して、③は「我々はどの方向にむかうべきか」
を問うものです。

これは、新しい時代の企業・事業の意味を問うことであります。
・将来に向けて、何のために事業を行っているのか?
・それには、社会に役立つどのような意味があるのか?
・真の顧客価値に根ざしているのか?

それは、企業・事業の原点に立ち戻り、生まれ変わる(創生・再生)ことを意味します」

上記は少し私が加筆・修正していますが、とても分かり易い整理です。

多くの企業の経営者やコンサルティング会社が①②で何とかすませられないかと願っているのです。

①②は、それはそれで必要条件なのですが、それは③のために行うのです。①②それだけでは絶対に事業創生、地域創生に向かいません。届きません。どんどん悪循環のリストラを繰り返すのみです。
なので、行き詰っている企業、地域がいっぱいになっています。

どうしたらいいのでしょうか?③を二人三脚で創出できるコンサルティングが喫緊に求められていますね。(価値創造・第28夜「新しい目的を創る」を参照してみてください。

さて、価値創造・第43夜「困難をチャンスに変える」でハシゴの話を綴りました。本夜は、そこに記した「価値創造の心得」の二つ目(=構想力)について簡単にご案内します。

困難がチャンスの時代の個人の心得は、
・一つ目は、問題(困難)解決の熱意が必要です。大きな問題には、必ず高い壁が待ち受けていますので、その試練を乗り越える持続する熱意・情熱・本気が不可欠です。
・二つ目は、経営陣(上司)から、指示されるのを待っていてはいけません。上から、ハシゴを用意して貰うのではなく、自分でハシゴをつくることです。

多くの経営者が③リオリエンテーションが苦手・不得手ですから、①②は指示できても、③リオリエンテーション(=構想)が指示できません。適切な指示が出ないのに、指示待ち社員はいりません。

つまり、経営者には任せらないという気持ちに切り替えて、自立・自律に転換する時代になっています。③は、自分の人生をも含めて、自らが行わなければなりません。

自分でハシゴをつくる心得と方法は、この価値創造の知で連載してきました。少しでもお役に立てれば幸甚です。

さてさて、これから多くの人達が60歳定年ではなくて、もっと長ーく働く必要がでてくる可能性が高いですね。

もう十分に企業の終身雇用も崩れてきています。一生の中で複数の企業に勤めることになります。「複業」が常態化する可能性も高くなっています。
これは何を意味するのでしょうか。

それは、自分でハシゴを創ることが求められる時代になっているのです。
できれば、「有事の時代」の「価値創造・リオリエンテーション」の教育・研修が企業の中に用意されているといいですね。

経営者は、経営革新のために、自ら「自分でハシゴを創る」人財を意識的に社内に創ることが望まれます。経営の中に仕組み化することです。

「構想」を軸として、「構想行動更新」を回し続け、サスティナブル&サバイバルする仕組みを創ることです。

そのような企業が有事の時代に③リオリエンテーションにリーチできるのではないでしょうか。
「リオリエンテーション力&構想力」を基軸として、迅速に隆々とした「事業創生・地域創生・人財創生」に取り組んでゆきましょう。

新価値創造研究所は上記を全面的にご支援致します。

第45夜 価値創造から経営革新へ

 

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