価値創造の知SP・第50夜 「欠けたモノへの熱い想い」

2017年7月8日 「欠けたモノを見極めることが出発点」

「価値創造の知」の連載も区切りの第50夜になりました。
少しスペシャルな夜なので、「テーマを何にするか」を考えました。

これまでの「価値創造の知」をどんな想いで綴っているのかを第1夜から読み返してみると、「価値創造」革新への自分の①ピュアな部分と、②不足(欠けているモノ)な部分が目につきました。

①ピュアな部分: 精神的・官能的
②不足の部分:数寄的・日本流

という2本柱が浮かび上がったので、その二つを新結合して、『欠けたモノへの熱い想い』を中心テーマにすることにしました。

さて、「事業創生・地域創生・人財創生」と「欠けたモノへの想い」は関係あるのでしょうか?
結論から申し上げますと、「欠けたモノへの熱い想い(官能的)」&「欠けたモノを見極めるコト(理性的)」がこれまでの経験・体験から、価値創造・創生・イノベーションの出発点になると核心・確信しています。

ここで回り道になってすみませんが、「欠けたモノ」の「モノ」とはいったい何かをお伝えすることがとても重要と思います。
皆さん、「物語」の物(モノ)とはどのような意味を持っていると思われますか?ものづくりの「もの」とは違いますね。
「モノには精神性(心性、霊性)が宿っているという感覚」を日本人は無意識のうちに受け継いでいるように思います。これは日本が本来と将来に向けて、大切にしないといけない独自性ですね。「欠けているモノへの熱い想い」にはその様な奥深い意味を込めています。

更に加えると、「あー、それ勿体ない」の「勿体」とはどのような意味があるのでしょうか。
実は、まだ20代の頃に、草柳大蔵さんが「『勿体』とは、そのモノが本来持っている可能性のコト」と講演で話されていたのが自分の脳に強く残っています。
モノ、個人、会社、地域の中にある「気がついていない勿体」を発見することが重要です。

「事業創生・地域創生・人財創生」においては、上記の「欠けたモノ」・「勿体(もったい)」をどう新しい視点で把えるか、どう編集するかが、日本流価値創造の鍵になります。(あとは、鍵穴を見つけることが続きます)

さて、「事業創生・地域創生」のご支援のきっかけは従来のやり方、考え方の「行き詰まりの打開」及び「生まれ変わり」にあります。
過去に上手く行っていた、維持できていた成熟期から、右肩下がりの衰退期に向かうのは辛いことです。しかしそれは「諸行無常」であり、この世の宿命なので逃げられません。
どの事業・地域も現在の延長上には未来はありません。新しい自分、新しい成長の道筋を描き、構想し、実行・更新していくことが求められます。

すべて「成熟・充足」から「衰退・不足」に向かうのですが、ここの気づき、悔しさが生まれ変わりへの出発点になります。(第11夜 イノベーションの心得:「本気・本質・本流」)

再び回り道になりますが、ここで「西洋」と「日本」の美意識の違いを明確にします。「西洋の完全(充足こそ真なるもの)と違って、日本が醸成した美意識は、枯山水や侘び寂びに代表されるように、「不完全(欠けている) の中の美意識」、「コト足りぬ美」にあります。

絵画で例えれば、画面全体を充足する西洋画と、その真逆の「余白」の長谷川等伯「松林図屛風」です。「欠けたもの」「余白」「負」があることによって、その先にある、奥にある精神を揺り動かすモノです。

それは、自分が持っている本質的なもの、数寄なものをどう出したら人に伝えられるかの違いですが、それは いい悪いということではなくて、「西洋」と「日本」の精神性・美意識の違いです。
ビジネスにおける「西洋流」の行き詰まり・限界から、いま、美意識・価値創造・イノベーションが「日本流」に向かっています。

さてさて、行き詰った時というのは、モノゴトの把えかたが西洋流の「完全・充足・八方塞がり」の状態です。打破するポイントは、「余白」「負」(価値創造の知・第3夜「負」と「余白」の価値、第22夜「余白」が大数寄)を新しい視点・視座で創り出すということです。

「負」=「余白」=「欠けたモノ」です。
( 言い方を変えると、過去の成功体験の「完全・充足の意識」を残したままでいること、つまり執着していると残念ながら次のステップには行くのは難しくなります)

この「負」・「余白」・「欠けたモノ」を無理なく創り出すのが、トリニティ・イノベーション(第21夜)です。それを創り出すことで、前夜(第49夜)に綴った「過去・未来」が『本来→欠けたモノ→将来』に価値創造します。

「事業創生・地域創生・人財創生」を隆々とした方向に向かわせるステップを「欠けたモノ」という極上のキーワードで整理すると、

①欠けたモノへの強い思い:  情熱を沸かす(PASSION・精神)
②欠けたモノを磨き上げる力: 想いを組立てる(MISSION・心身)
③欠けたモノを共創する力: 周りを巻き込む(ACTION・共振)

の順番となります。とても感情的・官能的・共感的なものです。
(思えば、「男と女」「夫婦」も欠けたモノの代表例でした)
上記日本流の心得・方法をビジネスモードに磨き上げて具体化して、多くの成長・成功をご支援・体現してきました。

繰り返しになりますが、「欠けたモノを見極めることが新しい対象を生み出す出発点になる」のです。これが日本流の本質です。それは、とても心的・霊的・体的で、そして間(ま)的、守破離の日本的な方法です。それこそが私たち日本人がDNAで持っている『欠けたモノ・勿体の価値』なのです。

スティーブジョブズさんもその方法・美意識(ZEN的思考)で「iPhone/iPad」を創造しました。対象の本来と将来から新しい主流(オルタナティブ)を生み出すコトが事業創生・地域創生の秘訣です。

第48夜(ジャパンウェイ「バリュー・イノベーション」)でも記しましたが、激変する環境の中、私たちには、新しい時代に適応した発想を生み出すことができる「日本流バリュー・イノベーション」が求められています。

「事業創生・地域創生」のあちらこちらで、「西洋流」の限界が見えて、「日本的」「日本流」のキーワードが聴こえてきます。その本気・本質・本流を、スペシャルな本夜に綴りました。少しでも日本流の真髄が皆様に届きましたら幸甚です。

価値創造から事業創生・地域創生・人財創生へ

 

橋本元司01