2017年9月9日 「トリニティイノベーションマップ」解説
前夜(第56夜)は、価値創造・3本の矢「トリニティ・イノベーション」の体系図をご覧いただきました。
本夜はそれに「2+1(2プラス1)」編集術を組込んで、体系の格別のインナーの世界を綴ります。
「2+1」編集術とは何でしょうか?
ここで、その名付け親である松岡正剛師匠の情報編集術をご案内します。
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僕はまず一対の情報というものが「分かる」ということにとって大きくて、私たちがふだん意識せずに使っている抽象概念などでも、父母から始まって、夫婦、浄土と穢土、天国と地獄、善と悪、生と死、黒と白、いろいろなものがまず一対になっている。そこに第3の要素が加わると必ず次の思考が生まれるのだろうと思います。
たとえば、「おかあさんとカレーライス」というのが一対ですね。問題はそれだけだと好き嫌いで終わるので、それに一つのことを加えて、誰かに伝えましょう、というふうにやるんです。
「おかあさんとカレーライス」に「買い物」を入れるか、「弟」を入れるか、いろいろ変わったときに何かが見えるんじゃないでしょうか。それは変化の多様性なんです。
簡単に言ってしまえば、二つのものが目の前にあって、そこにもうひとつ加わると何か別のものが生まれるということです。(出展「情報編集力」)
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一対のままでは、「変化の多様性」が低い、つまり「創造性」が豊かにならないのです。
それでは、上記を念頭に置いて、添付の「トリニティ・イノベーション体系図」をご覧ください。
一対のものとして、①Insight(ミッション)と②Foresight(ビジョン)があります。これは経営にとって一番重要な求心軸です。
・いったい何を大切にするのか?
=ミッション・Insight・本来
・いったい何を目指すのか?
=ビジョン・Foresight・将来
世の中が変化して、従来のやり方・考え方が行き詰まると衰退期に入ります。そのような現状の延長上に未来はありません。
『創生』に必要なのは、上記①②を再定義して、新しい構想(イメージメント)と革新(イノベーション)を用意・再構築することです。
そうすると第3の要素が見えてくるのです。
経営の再定義して、新ミッションと新ビジョンの輪郭が見えてくると、自分の手元に無いことや欠けていること(不足)が浮かび上がります。
それを引き寄せるのが、③Gestalt(何か別のものが生まれる、空間イノベーション)です。
「引き寄せ」については、第55夜で記しました。
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・こうであったらよいのに。
・こうなったら良いのになあ。
という、「望んでいる状態」の時に、“天からの助けのロープ”は下りてきません。
・いつか必ずやれる
・絶対に実現できる
という、「信じている状態」の時に、下りてきてきます。
それは、外部環境変化を望む時ではなく、自分が変わって、信じて邁進している時に音連れ、引き寄せがあります。(価値創造の知・第8夜)
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「信じている状態」の時に、体系図(①Insightと③Gestaltの間)の「Serendipity(偶有性)」のロープが下りてきます。
そして、信じている将来(②Foresight)を人々に伝えるのが「Story(物語性)」です。
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人間は「心」で「つながり」をつくる生き物なので、
人間は、「物語」を介在させないことにはつながり合うことができません。
物語とは、新しい現実を受け入れる形にしていく働きです。(第54夜)
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どうでしょうか。この体系図に興味関心が向いてきたら嬉しいですね。
前職の「連続の異業種連携ヒット商品創出」や「事業創生・地域創生」の連続ご支援を上記で実践してきました。「理論と実践」の共創家です。
さて、ここまで説明してきたので、体系図に配置された「本来・将来・縁来」については、ご理解が迅速なのではないでしょうか。
・経営のミッションを再定義するのが、『本来』です。
・経営のビジョンを再定義するのが、『将来』です。
(未来と将来の違いについては、第49夜に記しています)
「本来と将来」が一対です。そこに第3の要素が『縁来』です。
どうしたら『ご縁』を引き寄せられるか、もうお分かりですね。この「価値創造の知」連載では何回かそれを綴ってきました。
さてさて、ここで『2+1』をご案内してきましたが、
上記「一対」を二つ(二対)にしたのが、2軸のマトリクスになります。余白・空白(第4夜、第22夜)による「チャンス」がもっと増えますね。
それが、私たちが得意とする実践成功への橋渡しとなる「成長マトリクス」「シナリオマトリクス」です。上記を基盤とした応用実践編ですね。
この『本来・将来・縁来』を三位一体で、創造・構想するのが「バリューイノベーション・プロジェクト」の前半部です。
後半は、これを土台として、成長戦略(羅針盤)を創り、不足を満たす実践モードに入ってゆきます。
研修・セミナーの半分以上は、上記を分かり易い演習を通して、ワークショップで習得していただいています。
事業創生・地域創生・人財創生の極意です。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ