価値創造の知・第72夜 「6.巻き込まれる力」@革新の7つの力

2017年10月3日 選ばれる力

「巻き込む力」には、「巻き込まれる力」が必要で、同様に、「巻き込まれる力」には、「巻き込む力」が必要です。
この二つの力が相乗して、成長・成功に向かいます。

それでは、実例として「社長直訴そしてヒット商品緊急開発プロジェクトへ」というコラム(第14夜)を取り上げます。
それは、39歳の時に社長直轄「ヒット商品緊急開発プロジェクト」のプロジェクトリーダーとしてご指名いただいたコトから始まります。

早速、全社経営会議でプロジェクトの「①ポリシー、②スタイル、③プラニング」をプレゼンテーションすることになります。 その経営会議の前に、新社長に「自分はこのプロジェクトが失敗したら会社を辞めます」と本気の覚悟を伝えました。
経営会議後に新社長から呼ばれ「辞めなくていい。その代わり、入口(プラン)から出口(販売)まで責任を持て。そして思い切ってやれ」と言われました。
プロジェクトの立ち上げ時は、自分含めて3名(総務・企画)だけでした。新社長に「責任をとるために、社内から選りすぐりメンバーを一本釣りしたい」とお願いに行き了承いただきました。それから人買いを始めるのですがこれはこれで大変でした。その凄まじい話はさておいて、「マーケ・販売」の逸材を説得に、とある営業所に行きました。
彼は自分と同期なのですが、「提案内容は了解した。ただし、今まで筋のいい提案が経営に上がるときに、そこで口出しされて、捻じ曲げられたことで何度も失敗している。
一気通貫で自分たちの想いが入口から出口までできるのなら引き受ける」と。
この一気通貫が、私達の重要な「スタイル」の一つになりました。

社内で、選りすぐりのメンバーを探す時に、あなたならどうしますか?
それが「巻き込まれる力」に関係してきます。
「じんざい」は下記の4つに分類できます。
①人財: 動きを起こす人(仕掛け型)
②人材: 動きに巻き込まれた人(こなし型)
③人在: 動きを見守る人
④人罪: 動きが起こったことすら知らない人

さて、あなたはどこに所属していますか?

「動きを起こす人」には「巻き込む力」が必要です。人は一人では何もできません。
リーダーに必要なのは、上記事例の自分の同期の様に、キラリと輝くポリシーと経験を持ち、提案力・行動力をも併せ持つ「巻き込まれる力=選ばれる力」を持つ人材です。そのような人材と『共創・創発』することで大きな力が発生します。
そのようなメンバーを集めました。このパートナーたちがいなければ、連続のヒット商品は生まれませんでした。
ポイントは、パートナーたちが活躍できる『舞台をつくる』ことです。
リーダーがすることは、志・覚悟・ミッションを持って、変わるべき方向・ビジョンを示し、それを実現する「舞台」をつくり、そこで沢山の人たちに喜んで演じてもらい、「囲い込むことではなく、囲まれるプラットフォーム」をどう創るかです。

さてさて、「巻き込まれる力」に戻りますと、用意・準備ができている人に「白羽の矢」が立ちます。この「巻き込まれる力」を持っている人が育っていなくて、少なくなってきているように思います。
「効率」ばかりに目がいっていると、そのような人材は残念ながら育ちません。
多くの会社をご支援してきて実感したことですが、経営戦略部や戦略企画部からの選出メンバーは、ほとんど「良い子」です。この「良い子」は上記②人材: 動きに巻き込まれた人(こなし型)のためトップからは従順で可愛くみえますが、「仕掛け」ができません。
彼らを「こなし型」から「仕掛け型」に変換することが、こちらの腕の見せ所であり、価値創造企業・価値創造地域にはそれが必要です。

「巻き込む力」と「巻き込まれる力」がタッグを組んで、新しい大きい価値が創造されます。
ただ、絶対的に不足しているのが、「巻き込む力」です。
ここまで記してきて、改めて「革新」を実現するには、7つの力の『一気通貫』の必要性を確信します。

第60夜の図解の様に、核心は「熱意・愛」(内側)です。そこから本質を極めて「創造・構想」による確信の元(縁側)が生まれ、「伝わり・巻き込む」(外側)ことで革新に至ります。
あなたは、「巻き込む力=仕掛ける力」と「巻き込まれる力=選ばれる力」のどちらに関心がありますか?

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

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