価値創造の知・第78夜 創発とは?

2017年10月13日 創発とは何か

「創発」(emergence:発現)という言葉を見聞きされたことはありますか?

田坂広志さんが著した『複雑系の知』(第36夜)という本が1997年に発刊され共感・共鳴しました。
「21世紀に求められる7つの知」という副題ですが、後述する実践にフィットするものでした。そこには、

・世界は複雑化すると新しい性質を獲得する。
・複雑なものには心が宿る。

という複雑系を理解する刺激的な鍵穴が潜んでいました。

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「創発」(emergence)とは、「部分の単純な挙動が全体の高度な秩序を生み出す」というプロセスであり、言葉を変えれば、「個の自発性が全体の秩序を生み出す」というプロセスである。
さらに、このプロセスは、視点を変えれば、「自然に秩序や構造を生み出す」という自己組織化(Self Organization)と呼ばれるプロセスでもある。
こうした性質を「創発性」と呼び、これは、複雑系の基本的な性質にほかならない。
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ちょうど発刊された20年前の私は、前職で社長直轄「ヒット商品緊急開発プロジェクト」のリーダーとして異業種コラボレーションによるヒット商品(第14夜、第18夜)を連発していました。
その最中に、田坂広志さんにお会いしました。(第27夜)
これまでの「オーディオ」を超えて新しいライフスタイルである「オルタナティブ・オーディオ」を創るための二つの仕掛けをしました。

①社外創発:異業種とコラボレーション
・音楽*ウィスキー
・音楽*インテリア
・音楽*ファッション
・音楽*お風呂
②社内創発:社内横断の一気通貫チームによるイノベーション
・プランナー、デザイナー、マーケター、R&D、エンジニア、プロデューサー。

このヒット商品緊急開発プロジェクトのプロセスは、まさに『創発』そのものでした。
新オーディオ・オルタナティブビジョンの元に、全てを異業種コラボレーションの創発により、足し算では到底発現しない『新しい性質』『新しい物語・ライフスタイル・文化』を紡ぎ出してヒット商品になりました。
また、社内の一気通貫チームも通常の仕事には見られない「秩序や構造」が生まれてきたのが驚きであり、嬉しい発見でした。

この「ヒット商品」実践時代とそれに続く研究所時代「未来シナリオづくり」の双方における「社内外の創発」体験が自分にとってのかけがえのない財産となりました。
それが、現在の独立を決意した『価値創造プロセス』の核心・確信・革新となりました。ご支援している「事業創生・地域創生・人財創生」(鍵穴)も創発をベースとした「トリニティ・イノベーション」(鍵)が成長・成功のエンジンになっています。

さて、複雑系・創発のわかりやすい事例を上げます。
『世界は複雑化すると、新しい性質や命を獲得する』

例えば、“iPhone”です。
それまで、ポータブルな情報機器として、
「iPod、デジタルカメラ、携帯電話、インターネット」
と複雑化してきたものが、“iPhone”に統合されたことで、新しい性質を持ち、新しい文化を創りました。

“人間”を事例にすると、
人間の要素をバラバラに分解すると、目、鼻、耳、脳、心臓、手、足、神経・・・となりますが、それらが集まることで、“命”が生まれます。

如何ですか?
『新価値創造研究所』は、多くの方達のより良き将来と幸せを目的にして「新しい性質、新しいライフスタイル、新しい文化、新しい命」づくりを皆さまと創発で実践しています。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

 

 

創発とは何か