2017年11月25日 弁証法
本夜から、『本質的な違い』を創る3つ目の「抽象化能力」を綴ります。
第83夜~86夜を読んでいただいた方達には、もう察しが付かれていると想います。
それは、『高い知』です。それにどのようなイメージを持たれますか?
現在は皆さんご承知の様に、これまでの境界が変化する、或は、消滅する「多様性と流動性」が加速する「不確実性」の時代です。
「不確実性」の時代に、将来を観る精度が上がれば、『違い』づくりに自信が持てて、早く着手できますね。
いったい、どうすればいいのでしょうか?
それをこれから本夜、次夜の2夜に亘り綴ります。
では最初に、図解の右側の「ヘーゲルの弁証法」から入ります。将来の「本質的な違い」を創りだす優れものの方法です。
ここのポイントは、「温故知新」です。『故きを温ねて新しきを知る』。大事なコトは、過去に潜んでいます。将来を観るのに、いったん過去に遡ります。
「現在と過去をつなぎ合わせ、核心(PASSION)し、本質を確信(MISSION)し、将来を革新(ACTION)する方法です。
それでは、わかりやすい事例を「コメント①」に載せます。
現在を1980年と思ってください。皆さんのお宅に設置している***ではなくて、ピンポーンという呼び鈴がありました。
その前の1960年には、「呼び鈴」がなくて、「ハシモトさーん、御届け物ですよー」と配達人さんが外で大きな声を出して呼びかけていました。
その声が誰のものかはわかる(GOOD!)のですが、ご近所迷惑(BAD!)でもありました。
それが、「呼び鈴」の時代になると、ご近所迷惑を解消し、家の中だけ聴こえる(GOOD!)ようになりましたが、一体誰が、呼び鈴を押しているのかが分からない(BAD!)状況でした。
それは、過去の「誰だかわかる(GOOD!)」機能がなくなっていたからでした。
さて、ここに「現在」と「過去」の情報が揃い踏みしました。
昔、皆から支持されていたモノゴトが、現在のBAD!を解消しながら将来に立ち現れてくるのが、「螺旋的弁証法」です。
「インターホン」はすぐイメージできますね。これが本質的な将来の違いを創る基本の一つです。
これで、多くの業種業態や地域創生の将来をイメージすることが可能です。ついつい未来だけを観ようとして迷走するのが通常です。「温故知新」なのです。
ポイントは、どこまで過去の事象をさかのぼるのかですね。会社や地域のご支援では、必ず行います。それは、「寺子屋」、「よろず屋」、「炭焼きによる自給自足」・・・だったりします。
「会社」の場合は、創業のときにそのヒントがあったりもします。
前職(パイオニア社)の2000年の時点での自部門の事例をご紹介します。
「オーディオ」で見てみましょう。
過去は、「アナログ」です。アナログレコード(カセット)プレーヤーでオーディオは成長しました。
次に登場したのが、皆さんご存知の「デジタル」です。
これで、「現在」と「過去」は出揃いました。その次の世界は、「キュービル」です。
アナログ ⇒ デジタル ⇒ キュービタル
詳しくは記しませんが、その世界をイメージ(認識)しているかどうかで、次の一手は違ってきます。
ポータブル ⇒ ポケッタブル ⇒ ウエアラブル ⇒ ハータブル(Heartable)
2000年から、オーディオに限らず、3年先・5年先・10年先の将来像を企画し、ビデオにまとめました。
以前にも綴りましたが、2006年にまとめた「10年後のキュービタル世界」のビデオ(4つの物語)は殆ど現在(2017年)の世界を言い当てていました。
この『高い知』から、テーマである『本質的な違い』が生まれ、創られるのです。
その時(2000年)に、一緒に提示した世界は、
ローカル ⇒ グローバル ⇒ グローカル
パブリック ⇒ インディデュアル ⇒ ソーシャル
です。
それらを横並びで観ると、隆々とした複数の将来像が観えていました。過去のGOOD!が革新と一緒に将来に甦るのです。
ただ、それは従来のやり方や考え方ではないので、これまでのイナーシャを超える経営革新が必要です。
CHANGE(変化) ⇒ CHANCE(機会) ⇒ CHOICE(選択)
大事なことをお伝えします。
将来・未来は、今・現在の中に点滅・明滅しています。もう既にここにあるということ。
そして、CHANGE・CHANCE・CHOICEを一気通貫で捉えるコトです。
・上記を認識していると将来は観える
・これまでの思い込み、常識にこだわると、将来は観えない
という認識が重要です。
この『高い知』を実のあるモノにするには、前夜・前々夜の『深い知』のスキルが必要なことがおわかりいただけたと想います。
船出に例えると、『深い知』は、錨(アンカー)、『高い知』は、北極星になります。これを軸にして『広い知』は意味のあるものになります。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ