2017年12月19日 企業間連携/業務提携への用意:「要素・機能・属性」
明珍火箸・明珍風鈴をご存知ですか?
兵庫県姫路市の明珍家は、平安時代から続く甲冑師の家系ですが、現在はその鍛造の技術を進化させ、シャリンと澄んだ音の火箸風鈴などを制作しています。
時代の変化により、「甲冑」の仕事は激減し、また、明珍「火箸」の受注も減りました。経営危機です。その鍛造技術の火箸から、世界のミュージシャンが愛用する響きを持つ3~5万円の「火箸風鈴」が生まれました。
「どこに新しい事業の元(もと)があるのか」を知っておくことが「次の柱づくり」「企業間連携・業務提携」や「コンサルティング」には肝要です。
それを見つけ出す優れた方法があります。それが「プランニング編集術(松岡正剛監修:第26夜)」にある「要素・機能・属性」です。
自分の会社・団体の「要素・機能・属性」を考えることで、その対象の持つ特徴を検出することができます。是非、トライすることをお薦めします。
①「要素」=対象を構成する部品、パーツ、部分
物理的に分解したり腑分けしたりできるかどうかは、問題ではない。部分を指摘することができれば、「要素」である。
②「機能」=対象が提供する価値や効能
場合によっては可能性ととらえてもいい。人々がそれを何のために、どんなふうに使っているか。どんな使い道があり得るか。
③「属性」=対象の性能・性質・特徴。
そのモノのもっている姿かたちや、様子に関することがら。 形態やデザインなどもここに入る。
上記「明珍火箸」の「音の響き」に着目することで、新しい事業が芽吹きました。そのような意味で、事前に「要素・機能・属性」を事前に整理しておいたり、その情報をオープンにすることが企業間連携や業務提携には有効であることがおわかりいただけるかと思います。
他社・他団体が自分たちのどの対象に着目するかはわかりません。前職でパイオニアとサントリー様の異業種コラボレーションでは、ウィスキーの樽材『ピュアモルトスピーカー』(第14夜)をプロデュースしました。
サントリー様は、まさか自分たちのウィスキー樽が響きの優れたスピーカーのキャビネットになるとは思わなかったでしょう。創発することで「偶有性(コンティンジェンシー:Contingency)」(第19夜、第54夜、第80夜)が次々に出現します。
そのため、事業創生・地域創生の「バリュー・イノベーション・プロジェクト」では、必ず「要素・機能・属性」を全員に書き出してもらいます。自分たちでは当たり前だと思っていることが、外部の目からは優れた技術や仕組みであったりします。全員でやると一人では気づかない特徴が次々に出てきてそれだけで盛り上がったりします。
特に重要なのが、②「機能」です。いったいどんな可能性があるのか、どのような使い道があるのかということです。これは「新しい目的」をつくる(第28夜)ことと同じです。明珍本舗は「火箸風鈴」という新しい使い道を見出しました。
そして、もう一つ重要なのが、第90~91夜に記した、「想い、夢、妄想」です。それには、ミッション(深い知)とビジョン(高い知)が大きな役割を果たします。
用意したその二つを持って、お互いが「異業種との実践的仮想企業間連携/業務提携(卒意)」に望むのです。
成功の確率がグーンと高くなること、間違いなし!
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ