2017年12月21日 『石坂産業:価値共創と社員重視』
前夜(第93夜)では、「企業・団体と顧客の重なり合う領域を大きくして、顧客と価値共創する型」をご案内しました。
製造業であれば、先ず『オープン(公開):①しつらい』することを綴りました。
本夜は、実際の事例を図とともにご紹介したいと思います。
皆さん、「石坂産業」をご存知でしょうか。昨年の夏に、「カンブリア宮殿」で紹介されました。以前から、石坂産業をウォッチングしていましたが、それを機に、工場見学兼「クヌギの森」に行ってきました。
かつて産廃業者として、住民から反対運動が巻き起こり絶体絶命の埼玉県の石坂産業でしたが、会社を立て直し、カブトムシやメダカ、ホタルなどの生き物と触れ合える、夏休みに家族で行きたくなる里山テーマパークを創られていました。
毎日、各地から産廃を山積みにしたトラックが行列を作る石坂産業。分別すれば再資源化できるが、その手間を惜しめばゴミとして埋め立てられるしかない産業廃棄物を石坂産業では95%減量化・リサイクルし、資源に変えています。リサイクル企業への大変革です。
その再資源化のプロセスを「工場見学」で見られます。たくさんの方達が予約してこられます。
隣接する「クヌギの森」では、大人二人でしかも時間外にも関わらず、ミニSLに乗せて頂き、スタッフの女性は雨が降り出すと走ってきて傘を貸して下さいました。
社員の方全員が、本当の意味での「おもてなし」企業でした!是非、「三富今昔村」の自然の豊かさを堪能しにでかけられたらと思います。交流の場、イベント会場やサイクリングターミナルとして。おいしい地産地消の食事も楽しめます。
そう、産廃業者から先進的リサイクル企業に変身しました。
①地域と共生
②子どものリサイクル教育
③自慢できる女性社員の就職先
地域住民・社会との接点は「従業員」です。
その従業員の方達の挨拶、表情、おもてなしが私たちの心を温かくしてくれました。
①しつらい:工場見学
②ふるまい:リサイクルプロセス
③心づかい:従業員のもてなし
いっぺんで石坂産業のファンになりました。楽しさ(ファン)がファンをつくるのです。
これは、第64夜に綴った「人が集まる会社:社員重視@7つの力」そのものです。
「経営品質」というワードをご存知でしょうか。「卓越した経営」を目指す姿として、4つの基本理念を上げています。経営の革新にとても役立つツールです。(私は、このJQAAの改革支援部運営委員も務めています)
「経営品質において、社員はすべての基盤」です。
最近、メディアでは、
・人手不足
・離職率のアップ
がよく取り上げられますが、
・いったいどうしたらいいのか?
・原因は何だろうか?
から対処していく経営者の姿を見かけますが、だいたいうまくいきません。
それは、『問い』の立て方が良くないのです。
三方よし(八方よし)の会社群は、
・業界で、地域で、日本で、一番働きたい会社を創るには?
から入るのが正解です。
それが実現した時の社員の笑顔を想像してみてください。
それを実行するのみです。従来の「効率」ではない、一見無駄に見える「効用・効能」が求められます。
それが、ES(社員満足)の笑顔想像力です。
そうすると、下記の幾つかの革新が必要になってきます。
① トップの変化:社員への感謝、社員・関係者とのパートナー共創意識
⇒ 社員を機械の部品のようにみないで、自由闊達な文化と組織風土にする。社員のやりがい、独創性を尊重する。
② 社員意識の変化:目的・社会貢献・価値ポジションの明確化
いったい社会のどこに価値創造して、貢献しているか、目指す姿を明確化して仕事にやりがい・生きがいを持つ。
③ 仕組みの変化:業界で、地域で、日本で、一番働きたい会社を創るために、仕組を変える。
それは、従来の「管理型」「効率型」からの離別です。「個人個人を認めるためのコミュニケーション・学習」、結果としての「主体性」等です。
そのようにして、「価値共創」が実現してゆきます。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ