2017年12月23日 顧客参加とクラブ財
前職(パイオニア社)では、『より多くの人と感動を』を企業理念としていました。
「開拓者」として、「これまでなかった感動を国境を越えてさまざまな人々と分かち合いたい」という想いが込められています。私はビジョン策定の委員でもありました。
さて、パイオニア社が大切にすることは『感動』です。多くの企業や団体が「感動主義」を標榜しています。私は、感動のその先の本質的な違いを生み出すコトを模索していました。
感動は「心」に直結しているのです。人間は「心」で「つながり」をつくる生き物なので、人間は、「物語」を介在させないことにはつながり合うことができません。
物語とは、新しい現実を受け入れる形にしていく働きです。
自分の中では、B2Cの会社が「モノづくり」で閉じて(CLOSE)いては駄目だ、「モノがたり」と「モノづくり」を合わせた「オープンな感動・感激・感謝」の世界づくりに傾注していきました。
ここで自分を後押しする3つの体験を綴ります。
1.「クラブ財」
2004年に経団連会館(JTB主催)であるシンポジウムのパネラーになりました。その時パネラーでご一緒したのが、ハーレーダビッドソン・ジャパンの奥井社長でした。
ハーレーダビッドソンジャパンは、
①「乗る」:ハーレーでゆったりと旅をする
②「創る」:世界に一台しかない、自分だけのハーレー
③「集う」:気の合う仲間とツーリング(Look,Sound,Feel)
ポイントは、「モノづくり」(用意)は当たり前として、クラブ財としての「モノがたり」(卒意)とユーザーの「参加帰属意識」を重視していることです。
クラブ財について、松岡正剛師匠は「おもてなしの源流」の中で、次の様に語っています。
「クラブ財は長いあいだ、日本のおもてなしの裏に存在していました。これからの企業は、大量生産・大量消費だけを追求するのではなく、クラブ財を創ってそれを市場に展開する仕組みを考えた方がいい。・・・」
2.顧客参加による「一大組織の誕生」
クラブツーリズムで旅をされたことはありませんか?
2008年に、永田仁さんの「企業訪問フォーラム」で、廣告社・黒川様から「『感動』マーケティングのアプローチ」をプレゼンされました。その中で「クラブツーリズム」の特徴をまとめられていました。
①旅のテーマ性⇒旅の価値化を行う
②「仲間縁」を提供する
③「顧客参加」
④クラブなメディアである
⑤ビジネスと社会貢献活動との調和
お客が添乗員になったり、企画参加する仕組みがあります。そのような「顧客参加」から「仲間縁」までの仕組みを創られ、「仲間が広がる、旅が深まる」を実践しています。
ここにも顧客参加の「クラブ財」があります。
3.「顧客を囲い込む」のではなく、「顧客に囲まれる」
2009年に谷口正和師匠主催・文化経済研究会に「クックパッド」の副社長がプレゼンされました。
今のように成長する前の時でしたが、そのお話を伺い、この顧客参加と情報収集・編集のビジネスモデルに感動しました。
早速翌週に、目黒白金台にあったクックパッドの本社を訪問しました。
その打ち合わせで、クックパッドのビジネスモデルを異業種の「パイオニア社」に編集して組み込めば、新しい感動・新産業になると確信しました。
そして、それは「クックパッド社」と「パイオニア社」の異業種コラボレーションにもつながる話で、それを「クックパッド社」に提案したところ、とてもいい反応がありました。
ただ、この企画提案は残念ながら実現しませんでした。
私なりに、価値創造4.0の基盤となるビジネスモデルを図解します。
一番重要なのは、STARTとして、「顧客価値の本質」を捉え明確にすることです。それがないと先に進めません。
それを基盤にして、顧客が準社員の様に存在して、「クックパッド」は顧客に囲まれています。その集まった情報の編集による「お宝」とサプライチェーン外の連携・提携が重要です。
顧客は、『素敵なドラマ・ストーリー・舞台』があれば、参加したい!評価されたい!のです。
やはり、クックパッド社は思った通りにビッグになりました。まだまだ伸びしろがありますね。このビジネスモデルの先にあるものを、是非みなさんイメージされてください。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ