2017年12月25日 クックパッドと「新価値創造イニシアティブ」
本夜は、価値共創シリーズの「価値共創4.0」を綴ります。その考え方のベースは、前夜(第97夜)に図解しました。
価値共創3.0と価値共創4.0はどこが違うのでしょうか?
それは、図の左側の「顧客領域」に顧客同士の共創があるのです。(第97夜)
「価値共創4.0」の別格・代表格が、「クックパッド」です。
カスタマー達がどんどん集まり、喜んで共創・交歓する「プラットフォーム(舞台)」が用意されています。
誰に強制されたわけでもなく、「毎日の料理を楽しみにする」「創作の料理レシピの投稿する」ために、膨大なレシピと投稿による相互コミュニケーションだけでなく、
料理の伝承ネットワークが食卓の意思決定メディアとなっています。
それは、「ソフトウエアとしてのレシピで生活インフラを確立」して、クックパッドの準社員の様に
・活用
・収集
・編集
・投稿
・評価
していきます。
そして、「クックパッド」はそのビッグデータ情報を使って、B2B(マーケティング支援事業等)による「大収益の柱」を創っています。
その根底にあったのは何でしょうか?
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クックパッドのミッションは「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす」です。佐野社長(創業者)が、地球を見渡したときに食糧問題、エネルギー、水、とにかく色々なことが変化している中で「僕たちが変えていかないと世の中まずいぞ」という危機意識が彼の中にありました。
例えば原子力エネルギー、「あれはよいことなのか」と「なぜ」を20回くらい繰り返すとどこかで行詰まるのです。でも彼が一つだけ確信を持てたことが「料理が楽しくなると間違いなく笑顔は増えるよね」。どんな側面から見ても「なぜ」を30回、40回繰り返しても、誰かが不幸になるとか、破綻することはなかったのです。
世の中で料理を楽しみにすることだけの会社が1社くらいあってもいいのではないかということで、クックパッドという会社はスタートしました。
われわれのゴールは「すべての家庭のあらゆるシーンで料理が楽しみになるきっかけを提供する」です。すべての家庭というのは、全世界の家庭です。・・・
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「若い女性は、料理が嫌いなわけではない。料理の作り方、楽しみ方がわからないだけだ。」という本質の見立てがあり、
それをソーシャルメディアを駆使して「家庭に楽しみを創る、顧客共創・交換のプラットフォーム(舞台)、及び、料理の伝承の解決」を仕立てました。そして、全世界に展開して隆々とされています。
顧客は「社員」ではありません。「クックパッド」は顧客に囲まれているのです。
ただ、それだけではビジネスになりません。是非、ビジネスモデルをご覧ください。そして、そのモデルを「自分の会社・地域・団体」にそれを当てはめた時にどのような世界が拓けるのかをイメージしてみてください。
さて、ここで『砂の民、泥の民』の話をします。
キリスト教、イスラム教が発祥した場所は、砂漠です。砂漠では、どの方向に進むのかを間違えると「命」に直結します。なので、そこではリーダー(独裁者)を決めて、強いリーダーシップを発揮して早く行動します。
ところが、森や土の多い地域の日本やアジアはどうでしょうか?大雨や災害に遭遇した時に、すぐ動くのではなく、あちらこちらの様子をみて、協議しながらモノゴトを決めていきます。これが「土の民・森の民・泥の民」です。
ここで、欧米(縦型)と日本(横型)のリーダーシップや「民の価値観」の違いがわかるように思います。
もともと、日本は「横型やチームワーク、世間」が得意なのです。上記の価値共創4.0の世界は、「日本」に向いているとは思いませんか?
それは、この「価値創造の知」シリーズで「新価値創造イニシアティブ」(第77夜)にそのエッセンスを記してきました。「ミッション(深い知)」「ビジョン(高い知)」に導かれて、「価値共創4.0(広い知)」は明滅するのです。
是非、あらゆる企業・地域・業態で挑戦を!
次夜は、「価値共創5.0」を綴ります。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ