橋本元司の「価値創造の知・第105夜」 価値と評価と本分

2018年2月6日 本分・本気・本質・本流

第102夜~第104夜にわたり、『価値』とその周縁を綴ってきました。
本夜は、「価値(アイデア、企画案やビジネスモデル案)を創出」しても、それを自社・自地域でどう評価したらいいかわからない、という課題群について記していきます。

 さて、第11夜に、イノベーションの心得「本気・本質・本流」を綴りました。
時代を切り拓く「次の本流」を創るためには、
・本気(Passion):情熱危機感、当事者意識
・本質(Mission):何に命を使うのか、何を目指すのか?
が必要という基本の流れ(プロセス)と心得を上げました。

本当は、その前に確認しておくべきことがあるのです。
その実体験談と抑えるべきポイント(=本分)を記します。

前職(パイオニア社)での、「新事業創出プロジェクト」の初期の頃の体験です。あるプロジェクトから、パイオニアの本流からは逸脱しているキラッ!とヒカル提案がありました。

しかしながら、その提案は経営陣が参加する「**評価会」においては、
・パイオニアらしくない
という理由で却下されました。

このような光景は、パイオニア社に限らず、多くの会社で見かけてきました。ただ、この「**らしい」「**らしさ」というのはとっても主観的なものなので、各人様々でズレがあります。

それは、
・年齢(若手とベテラン)
・所属部門(営業と開発・研究、管理部門と革新部門等))
に端的に現れますが、経営陣の中において同様です。

「パイオニアらしい」とはどういうことでしょうか?
この「***らしい」ということを抽出して、明確にして
共有する必要があります。その方法は別夜に綴ります。これを経営陣とトコトン共有することに大きな意味(第85夜:Meaning)があります。

なぜならば、ここで共有したものを前提・基盤にしていれば、 経営陣が「**評価会」で
「・・・らしくない」
と発言することは、まずない(=逃げられない)からです。
(「**評価会」の「評価」(いったい誰が評価できるのか)に違和感があります。これにつきましても別夜に綴ります)

つまり、「前提になるもの」、「分母」を明確に共有することがポイントなのです。そのような意味で、その会社(企業)・地域(自治体)には、口先だけでない本気の
・ミッション(使命)
・ビジョン
が俄然重要であることがわかっていただけるのではないか、と思います。

さてさて、ここにおいて「プランニング編集術:松岡正剛師匠監修」に書かれている「地」と「図」の関係が、前述の前提・分母に参考になるので引用します。
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・発想のための「地」と「図」
情報には、「地」(ground)と「図」(figure)があります。地は情報の背景的なものを示し、図はその背景に浮かび上がっている情報の図柄をさします。
情報を瞬間的にとらえるとき、私たちは情報の図をみていることが多いものです。「地」情報は、漠然としていたり、連続しているいたりするので思考からついつい省いてしまいがちです。地の情報は、見ているようで見ていないのです。

意識して「地」の情報に着目してみましょう。何を地の情報としているかです。
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そう、この依って立つ「地」(分母)の部分が重要なのです。

是非、会社・地域を成立させている「要素・機能・属性」(第28夜、第92夜)と共に、この「地」(分母)を明確にしてみてください。

それが、『本分』(添付図)なのです。
その「本分」という分母の上に、「本気・本質・本流」(第11夜)という分子が動きます。

ただ、「事業創生・地域創生」で重要なのは、旧来からの逸脱です。
その「本分」に縛られて、従来のやり方・考え方で右肩下がりをし続けている数多くの現実、実際をみてきました。

ポイントは、「本分」を『再定義』することにあります。
「事業創生・地域創生」プロジェクトの前段で行うことは、『本分』の再定義です。

その「再定義」が首記の「価値創造」と「評価」の救世主となります。

次夜は、その再定義の実例をお伝えします。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

本分本気本質本流