橋本元司の「価値創造の知・第107夜」『本分(分母)』の再定義実例②

2018年2月8日 『本分(分母)』の再定義実例② TANITA

本夜は、『本分(分母)』の再定義の第2弾です。

なぜ「本分」を再定義する必要があるのでしょうか?
それは、「現状や将来・未来に行き詰まりがある」という認識があるからです。
皆さんの会社・地域は如何でしょうか?

昨夜(第106夜)は、『性能』(縦軸)の行き詰まり、コモディティー化でした。
そのために、『効能』(横軸)を拡張し、ライフスタイルや新文化を創るという目的から、従来の『本分(分母)』を再定義しました。
20世紀は、性能⇒機能⇒効能でしたが、21世紀は、効能⇒機能⇒性能の順番になります。

さて、本夜は多くの「製造業」の行き詰まりからの『再定義の型』の一つを記します。
事例は、よくセミナーで取り上げる「株式会社タニタ」さんです。三代目の谷田社長には二度お会いしました。

「健康をはかる”タニタ” 「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。 タニタは、食事・運動・休養のベストバランスのご提案を通して、 24時間皆様の健康づくりをサポートしていきます。」
とホームページに記されています。

皆さんが良く知っている体重計や体脂肪計という「健康をはかる」会社でしたが、3代目の社長が「タニタ食堂」という新事業に挑戦しました。(丸の内のタニタ食堂には何回か通いました)

「世界から肥満をなくしたい」

という熱いスローガンをお聴きしました。体重や体脂肪をはかるだけでは、「肥満」はなくなりませんね。

それが、会社としての「新しい目的」、社会的課題を把えた「良い目的」(第28夜、第68夜詳細)です。熱い想いを持った、この「新しい目的・良い目的」づくりの構想・実行・更新(第61~74夜)がとっても重要です。
ここが『本分(分母)』の再定義のターニングポイントであり肝(きも)になります。

そして、「タニタ食堂」を立ち上げられました。それは、それまでの会社の「本分のBefore」にあたります。なので、とても相性がいいのです。これもとっても重要です。
そして、スローガンに挑戦するために、情報・ソフトウェア・インターネットを組込むことで「健康をはかる」を「健康をつくる」という「新本分」の新健康産業に再定義しました。
さなぎ(健康をはかる)から、蝶(健康をつくる)への脱皮です。

現在、増加する健康保険料への問題対策として、多くの企業・行政・デベロッパー等から、引っ張りだこです。

さてさて、『本分(分母)』の再定義のインパクトが伝わりましたでしょうか?
「健康をはかる」という本分を変えなければ、会社の将来はレッドオーシャンの中で右肩下がりになっていったでしょう。
新健康産業により、TANITAにしかできない価値を提供できるのです。これからの「AIoT」時代に、上記のビジネスモデルは加速していきます。

これをセミナーでは、分かりやすい図(2軸の成長マトリクス)で見える化・魅せる化してお伝えしています。
上記に関係する他業種の実例をいくつかご紹介したあとに、自社・自地域の「成長マトリクス」を作成していただくと、それに誘因されて想いもよらなかった将来・未来が立ち現われてきます。

ここのマネタイズのポイントは「添付図」です。料理のプロセスとビジネスは近似しています。
「新しい目的」を基盤に、自分の会社・地域の前(Before)と後(After)を統合し回すことをイメージ・実行することです。
その時に、「製造業・ハードウェア」で統合しようと思わないことです。「ハードウェア」は目的ではなく手段だからです。(多くは、TANITA同様に、「Performance」の領域に製造業が含まれます)

「社会の課題」を解決する新しい目的(「世界から肥満をなくしたい」)を持って、ソフトウェア・ハートウェアで一気通貫させます。そこで上がってきた「情報」が『宝物』になります。
これは多業種・多業態で応用できます。

最後に、AIoTの時代に多くの製造業は、「新サービス産業」になっていると宣言します。

次夜(第108夜)は、「顧客に囲まれる」時代の「本分の再定義」を綴る予定です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
再定義3P資料