橋本元司の「価値創造の知・第124夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑪「次元」の変化に適応する

2018年3月26日 世の中の「次元が変わる」から経営危機が訪れる

前職(パイオニア社)の後半では、何度か『経営危機』がありました。

そのような中にあって、エンジニアだった自分が、下記の様に転身しながら、
①センター工場:設計、技術企画、組合書記長
②本社:情報企画・開発企画
③本社:ヒット商品企画、新事業創造室
④総合研究所:新価値創造センター
⑤本社:「次の柱」新事業プロジェクト、「次の人財開発」プロジェクト

その只中の当事者として、様々な職種(プランナー、マーケター、プロデューサー、R&D、HRD、コンサルタント)を体験してゆきました。
特に③④⑤では、多くの異業種の方達とお会い、お付き合いがあり、世界が拡がりました。その交流の中で、社外講師として出向いたり、社外シナリオプランナーとしても活動してきました。
それは今の自分にとってはかけがえのない貴重な体験でした。
そして現在、それらが多様な企業/地域をご支援する中で役立っています。

世の中の「次元が変わる」から、経営危機が訪れるのです。

少しおさらいしてみましょう。
1880-90年代に栄えてきた企業が21世紀に入ってのきなみ凋落している姿は枚挙にいとまがありません。地方も銀行も同様ですね。
2000年の前と後では、経営環境が大きく変わり、思いもよらぬ競合相手も出てきました。それはリーマンショックの前からです。

市場や業界の境界が消滅しました。
本質は、「第115夜:インターネット的」に綴りました。「インターネット的」という3つの軸(リンク、シェア、フラット)が「世界と世間」(第80夜)を変えてゆきました。
さらに、『脳業』(第109夜)にシフトしています。その「世界と世間」が変わっているのに、それを用意しない、適応していない企業/地域が多くあるということです。

それは、平昌オリンピックのマススタートという競技に似ているように思いました。
自分から前に出るコトがなく、後ろについていく姿です。鎖国をやっているうちに、外国競合と大きく差がついていってしまう危険があります。
そうでなくても、上記の時代の波に飲み込まれて軒並み凋落している反面教師がいっぱいです。

このような時は、その業界の盟主が変わっていく姿を期待してしまいます。
前職の時は、自社を『盟主』と想い、プランニングしました。
しかし、人と将来の価値観を共有するのは難しいものがあります。
将来世界を拡げて見せて、魅せても「人」は自分の知識、情報や体験以上の発想や判断ができません。

トップとメンバーに求められるのは、「次元の変化」を内包した第122夜「想像力⇒創造力⇒構想力」です。

第93夜では、モノづくり⇒コトづくり⇒つながりづくり
ハードウェア⇒ソフトウェア⇒ハートウェア
第109夜では、農業⇒工業⇒情業⇒脳業
AIoT、Industory4.0
を図解等でご案内してきました。

バリュー・プロジェクトでは、「深い知」「高い知」「広い知」の各ステージに挑戦、習得していただくのですが、
それぞれに、『次元』を自ら超えるステージがあります。
それを乗り超えることで、新しい「顧客価値の創造」、「自己革新」「経営革新」があります。

次元が変わらなければ、「改善」「改良」でやっていればいいのです。
次元が変わるから、「革新」「価値創造」が必要なのです。

今の皆さんは「改善」と「革新」のどちらでしょうか?
「改善」をしているということは、「現状維持」と同じで後退モードです。

前職の業界で言えば、もう従来の「製造業」のままでは隆々とした将来を描くのは難しい時代になっていました。
そしてそれは、多くの業界に及んでいます。

はっきりと『次元』が変わっていることを認識することです。

質的変化、次元変化が起きた時に、迅速にそれを察知して、それを乗り超える「WillとSkill」(第52夜、第63夜)を持って、企業革新していくことが『持続性』の条件です。
持続性には、「新顧客価値の創造」「イノベーション」「企業革新」が企業の能力として求められるのです。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
次元