2018年4月4日 エンパワーメンとインストラクション
前夜(第126夜)の「相互理解(インタラクション)」に引き続き、参加者の「想像力・創造力・構想力」を引き出すためには、意識的に『権限委譲(エンパワーメント)』することにあります。
つまり、「あなたが主役です」ということを直に伝えることです。
「権限委譲」とは、参加メンバー(従業員)に「権利と責任」を与えることであり、プロジェクト(仕事)の発言権(インプット)と実践を認め、それに報いることです。
それは、人的資源を育成・開発すると共に、マネージャーがタスク(課題)の支援者であるという見方に変わります。
上記では、「マネージャー(管理者)」という言葉を使いましたが、「想像・創造・構想」というステージ上でコーチに必要な能力は「マネージメント=こなし型」ではありません。
「現状のやり方・考え方からの延長上に未来はない!」
という認識の元に、「次の柱」を検討・構想しようとするステージに必要なのは、「イメージメント=仕掛け型」の能力です。仕掛け型のメンバーを1/3以上選定することをお薦めします。
「イメージメント」については、第7夜(イメージメントとマネージメント)に綴りました。
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「イメージメント」を簡単に言うと、「想像・創造・構想」を紡ぎ出すコーチング能力のことです。
現状のマネージャーは、それをどうコントロールされているのかが課題です。
イメージメントは「知」の組み合わせである。「知」は、「個別知=パーソナル・ナレッジ」、「共同知=コミュニティー・ナレッジ」、「世界知=グローバル・ナレッジ」の3つに分けることができる。
この3つの「知」のアドレスをまず認識し、その境界をまたぐことによって「知」を新しい関係によってつなぐ。
これを「編集脳」と言う。すなわち「組み合わせ能力」、または「連想力」、英語でいうと「Association(アソシエイション)」のことである。(「セイゴウちゃんねる」より抜粋)
多種多様な企業をご支援していますが、「次のイメージ」「次の柱」「次の一手」は、「マネージメント」ではなく、その前段の「イメージメント」の構想世界になります。
多くの経営者・管理者の方達は「マネージメント」は得意なのですが、「イメージメント」が残念ながら苦手です。その環境(色)に染まってしまった社員の方達も同様です。
「新たな知を紡ぎだすイメージメント」は、なにせ学校や企業で教えてもらったことがないのですから・・・。
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とすると、それを監督・コーチする人は、「マネージャー」ではなく、「イメージャー」となりますね。因みに、私たち(新価値創造研究所)は、新たな知を紡ぎだす「イメージメントのプロフェッショナル」です。
さて、「次の一手」「次の柱」を検討・構想する際に前提となるのは、メンバーに権限を受け渡し、努力の結果が自分達のものになると本気で感じさせる点にあります。
そうなると当事者意識を持ち、やる気のある「燃える集団」に変身します。
私自身が、社長直轄で「ヒット商品緊急開発プロジェクト」(第14夜)の「権限と責任」を与えられました。また、多様なプロジェクトをご支援している中で、「何が問題なのか?」「何が壁・ネックとなるのか?」を様々なプロセスで見て対応してきました。
どう「権限委譲」するかということの答えは「ひとつ」ではありません。
大手企業の場合は、社長自身が「プロジェクト」に参加することが見受けられないため、最初のプロジェクト・キックオフでトップの方から参加メンバーへの「権限委譲」をことを話していただきます。
それを直に聴くこと、そして激励で、本人たちの「やる気」はぜんぜん違ってきます。
中小企業の場合は、社長自ら参加されることが多いのです。
そのことで報告する必要がありませんから、意思決定のスピードは、猛烈に速いです。ここで新たな範囲の権限委譲が言い渡されることもあります。社長の想いもその中で語られているので「相互理解(インタラクション」が格段に違うのです。
さて、ここで注意をしておくことがあります。
「権限委譲」とは、メンバーに絶対的な自由を与えることではありません。「権限委譲」の限度は、上記の場合では、通常「経営陣の視野」によって決定されます。その視野を多方面に、多角的に拡張したり、場合によっては選択肢を狭めたりすることが私たちの重要な役割のひとつです。
ここで気づかれた方も多いと思いますが、上記の「視野」というのは、第105~107夜に綴ってきた「本分」のことです。この「本分」をどう再定義するのかで、結果が大きく左右されます。そのために、決定者であるトップ(社長)と「バリュープロジェクト」のスコープ(視点・視野・視座と範囲)及び、「本分」を検討し、明確にする必要があります。
ここで「視点・視野・視座」(第77夜)について少し説明します。
・視点とは、「注目しているポイント」
・視野とは、「見る範囲」
・視座とは、「見る場所、目のおきどころ」
ここに経営陣とプロジェクトメンバーとのあいだに、ズレがあると問題なのですね。最初の打合せではどの会社や地域でも「ズレ」があるのが当たり前です。それをこちらが図解しながら「相互理解」で詰めてゆきます。どのようなスコープ・本分にするのかを気合いを入れて協議してゆきます。
(「権限委譲」とは、「顕現委譲」でもありますね)
そして、
・「視点・視野・視座」(分母)をメンバーに明確に提示するすること
・その範囲の中で、「想像・創造・構想」を重文に発揮すること
こうように、「権限委譲(第127夜・エンパワーメント)」「スコープ・本分の相互理解(第126夜・インストラクション)」を進めることで、「価値創造」につなげてゆきます。
私たちの経験で、この「権限委譲」されたメンバーは、殆どが燃える集団になり、イノベーション&経営革新のスピードと確率もグーンと高くなります。
そして何よりも、「人材」が「人財」に変わることが「喜び」になります。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ