2018年4月13日 常識破りの革新
『魅力がなくなるコト』について、文具店を事例としてみてゆきましょう。
自分が子どもの頃、通う小学校の近くに「文具店」がありました。ノートや鉛筆や消しゴム等を買うのですが、子ども達がいっぱい出入りして、昭和の風景として懐かしく想い出されます。中学に入る時には、「万年筆」を買って貰って、何か大人に近づく儀式のようなものを感じました。
魅力がなくなって、その「文具店」は10年ほどまえに解体されてしまいました。
さて、前職(パイオニア社)で、1995年ヒット商品プロジェクトリーダーとして常識を破る異業種コラボレーションからのヒット商品づくりを実践しました。
その最中の1997年に、パイオニアOBの永田仁先輩から、「常識を破る注目の会社を見に行きましょう」というお誘いがあり、文京区音羽の「アスクル」の本社に現場訪問しました。
そこで創業まもないアスクルの岩田彰一郎社長とお会いし、プラス株式会社から分社独立した経緯と熱い想い、成長の仕組み(ビジネスモデル)をお聴きしました。
文具・事務用品に特化して、メーカーの枠を外して「文具の流通革命」に取組まれたのでした。
アマゾンや楽天の取組みのずっと前のことです。
その時に、「文具・事務用品の世界」が大きく変わると直感しました。それまでの縦割りの事務機器メーカー業界が崩れると。
それは、メーカーオリエンテッド(送り手中心)ではなく、カスタマーオリエンテッド(ユーザー中心)であり、業界を「横串」するものでした。
数年後、アスクル本社が江東区に移転となり、再び、永田仁先輩が主宰する「企業訪問フォーラム」(第23夜)で「アスクル本社」を現場訪問しました。
どでかい本社ビルのど真ん中に、直接のお客様の声をお聴きするオペレーターが配置されていたのでした。
アスクルは「お客様のために進化する」を企業理念としオフィスに必要なモノやサービスを「明日お届けする」トータル・オフィス・サポートサービスの会社として進化し続けています。
さて、皆さんは「文具」をどこで購入されますか?
・シンプルに美しく暮らしたい私の娘は、「無印良品」のものが殆どです。
・私たちが仕事関係でたくさん調達する時は、「ダイソー」です。
・私のモノは、「銀座・伊東屋」「日本橋・丸善」のものが多いです。
普通の文具店に行くことは殆どなくなりました。変わりましたね。そう、昔は輝いていたのに、今は「魅力がなくなりました」。過去の延長上に未来はありません。
次に、文具老舗の「銀座・伊東屋」について綴ります。
2015年に、谷口正和師匠が主宰する「JLDS・文化経済研究会」に株式会社伊東屋の伊藤明代表取締役社長がゲスト講師としてこられました。
「伊東屋」は、明治37年に銀座で創業し、文房具の販売を通じ文化と表現を担ってきました。
5代目社長の伊藤氏により、2015年6月にリニューアルオープンした銀座・伊東屋は、幅広いライフスタイルを提案し、従来の文房具店の枠組みを越え「働く」「移動する」「遊ぶ」など生活シーンすべてにおける価値をカバー。常識破りの革新を成し遂げられました。
セミナー後、伊藤社長に質問し、早速、拝聴した着眼力と発想力をリニューアルオープンした店舗で見学・観察しました。
そして、もう少し詳しく知るために、隅田川のウォーターフロントタウンで社員の方達からもお話しを伺いました。
そう、こうやって異業種の「常識破りの革新(=構想力)」の本質をお聴きし、自分の目で確かめるのが自分流です。(観察力・洞察力)
そして、現場に行って、「それは、本当にお客にとって心を惹きつけるのだろうか?(=魅了力)」
を反芻し、また、定点観察することで「進化」の度合いをみていきます。
そのようなコトをしながら、もう片方で、
「PCやスマホ、ICレコーダー等」も文具ととらえます。
これからの「AI時代」「キュービタル時代」にどのように活用され、進化していくのだろうか?
というアブダクション(第123夜)から将来像を描きます。
そのために、本質的な「2軸」を選択します。
一つ目の軸は 「アシスト⇔アメニティ」です。
二つ目の軸は、いま2案あって磨いているところです。
(「文具」という言葉が変わりますね)
さて、これは「文具」の本来と将来なのですが、様々な業種・業態に「常識破りの革新」があります。あちらこちらの現場に足を運びます。
それらたくさんの『知』と『仮説』の群が私たちがご支援する際の「お宝」「財産」になり、下記に近づくことができるようになります。
①大きな絵、すなわちインストラクションを与えられるコンテクストを説明できる
②ある分野の知識をほかの分野に応用できるように、パターンを見つけることができる
③ひとつのアイデアをいろいろに表現すること、つまり3次元的な像を示すことができる
に繋がります。それは、第126夜に綴りました。
「魅力がなくなったら、常識破りでイノベーションに向かうコト」
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ