橋本元司の「価値創造の知・第137夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑥自分と他分「コペルニクスの地動説」

2018年4月18日 の眼前の現実欠けたモデル」だと思うこと

写真は、ベストセラーの「君たちはどう生きるか」です。次女が持っていました。
冒頭は、ものの見方をテーマに「コペルニクスの地動説」から始まります。
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君は、コペルニクスの地動説を知っているね。コペルニクスがそれを唱えるまで、昔の人はみんな、太陽や星が地球のまわりをまわっていると、目でみたままに信じていた。
これは、一つは、キリスト教の教会の教えで、地球が宇宙の中心だと信じていたせいでもある。しかしもう一歩突きいって考えると、
「人間というものが、いつでも自分を中心として、ものを見たり考えたりするという性質を持っている」ためなんだ。
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しかし、君も知っているように、この説が唱えはじめられた当時は、どうして、どうしてたいへんな騒ぎだった・・・
今日のように、小学生さえ知っているほど、一般にこの学説が信奉されるまでには、何百年という年月がかかったんだ。
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「いつでも自分を中心として、ものを見たり考えたりするという性質」として思い出されるのは、
前職(パイオニア社)に勤めていたときに、ある白物家電の企画マンと話したことです。

「パイオニアさんが、居間にセパレートオーディオを置いているように、居間に洗濯機をおきたいのです」と。
まるで、洗濯機が宇宙の中心だと信じているようでした。その気持ち、よく判ります。その熱意の目が忘れられません。

そう、私たちは目の前にあるものを「天動説」としてとらえやすいのです。
しかし、会社/地域の魅力がなくなったステージでは、「天動説」から「地動説への視線・視座の転換」が必要なのです。

それは、今の眼前の現実が「欠けたモデル」「途中/中途のモデル」だと思うことです。
その事例を、第133夜の「文具店」の本来と将来、そして、第134夜の自動車業界(境界・業界の越境)で綴りました。

その転換がなかなかそれが難しいのですね。それを壁を乗り越えるために役立つコツを記します。
①量が質を生む(第136夜)
②自分と他分
③価値創造の方程式(第53夜)

1.量が質を生む(第136夜)
これは、前夜に綴りました。
誰かが、チームが自分の業界/地域の狭い領域から、坂本龍馬のように外遊することです。それが、天動説から地動説の始まりになります。
多くのヒトが会社/地域の狭い領域に縛り付けられて、外遊がなかなかできないことが問題です。
そのために、会社/行政に入る前に、広い領域で一流/本物を体験することが求められますね。そうすると、「横ぐしの知」が備わり、「地動説」に近づきます。
しかし、自分が経験した第136夜のような「場」「環境」がないのですね。

また、そのような人財が必要なのに、それを受け入れる「職場」「上司」が狭い(ナロー)器量なのが問題です。
それは、行政をみてもわかる様に、「縦割り(サイロ)」から抜け出れないからです。「縦割り」から「横割り」にするのがトップの仕事です。
大企業の場合は、「横割り」のトップは副社長であり、大局観が求められます。その人が社長になる道筋が望ましいですね。ここを何とかしなければなりません。
ベンチャー企業の場合は、トップが兼ねます。なので、迅速に革新が進みます。

2.自分と他分
宇宙が地球を中心に回っていないように、世の中が自分を中心に回っているわけじゃないコト。
「自分」があるならば、「他分」があります。「他分」を豊かにすること。
「自分」の中に、「他分」の要素をたくさん取り入れることで、新しい「質/価値」を生み出すことに繋がります。
「他分」の視点・視座が、次の一手、次の柱の地動説につながります。
隆々とした将来のために、一流/本物の多くの「他分」を取り入れる教育・研修が必要だと思いませんか?

3.価値創造の方程式(第53夜)
E = mc2とは、エネルギー E = 質量 m × 光速度 c の2乗
の物理学的関係式を指し、「質量とエネルギーの等価性」とその定量的関係をアインシュタインが発表しました。

それに倣うと、「価値創造の方程式」ができます。それは、
バリューE(幸せ・愛のエネルギー)=M(ミッション)×C(Combination:情報編集力)×C(Communication:情報受発信力)

価値創造のエネルギーを大きくするには、「顧客・会社・地域・社会の幸せ(E)」をベースに
「ミッション(何に命を使うのか)×イノベーティング×マーケティング」で成立します。
最初のC(Combination:情報編集力)は、『新結合』のことであり、「イノベーティング」そのものです。
後方のC(Communication:情報受発信力)は、広義の「マーケティング」のことです。

上記①②は、「自分/他分」のバリューE(幸せ・愛のエネルギー)とミッションを直感することであり、「Combination:情報編集力」の元を吸収するステージです。
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世の中を回している中心なんて、もしかしたらないのかもしれない。
太陽みたいにたった一つの大きな存在が世の中を回しているのではなくて、
誰かのためにっていう「小さな意志」がひとつひとつつながって
僕たちの生きる世界は動いている・・・
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少しでも皆様のお役に立てれば幸甚です。

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コペルニクスの地動説