橋本元司の「価値創造の知・第138夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑦イノベーションの御三家

2018年4月20日 「サナギ(会社/地域)」から「蝶」への脱皮

右肩下がりや停滞している状況から抜け出るには、『イノベーション(革新)』が必要という認識は一致しています。
私には、動きが止まっている「サナギ(会社/地域)」から「蝶」として羽ばたくイメージがあります。
それは、従来の価値観から、新しい幸せの価値観/魅力に移行することです。

「蝶」に脱皮するために、「イノベーションの御三家」があります。
皆さん、その「御三家」をご存知でしょうか?
「経営革新」や「イノベーション」の本はいっぱいありますが、その御三家のことは、その中にあまり出てきません。

いったい、何故でしょうか?
それは、それらの本やテキストが「欧米流」のものだからです。
前職(パイオニア社)の

・技術職
・企画職
・調査職、マーケティング職
・研究開発職
・事業開発職、人財開発職
に次々と従事していたので、様々な研修やコンサルタントから、欧米流の方法を学びました。

その延長線で、「シナリオプランニング(第15夜)」の第一人者(J・オグリビー氏)から直伝して貰ったり、
スタンフォード研究所(Stanford Research Institute)関係のSRIインターナショナル(世界最大の独立系研究機関)の方法を何年か浴びてきました。
そして、それらをアカデミーではなく、実務で実践活用してきました。失敗も成功も多く経験しました。

なので、「欧米流」の方法や進化過程も、通常の方達より高いレベルで知っているつもりです。
ただ、私のこれまでの体験では、それを「将棋」に例えると、「欧米流」だけでは、スーパー跳び道具の「飛車・角」の一枚落ちと同じです。
その一部を第15夜(「不確かな時代」を読み解く方法)に綴りました。上手くいかないのです。
(そのため、通常のコンサルティング会社は、いきなり「欧米流」をやりますが、私たちは後述の「イノベーションの御三家」を先に行います)

さて、その「イノベーションの御三家」ですが、それは日本人ならよく知っています。
それは、
①禅思考
②守破離
③間(ま)
という「日本流」です。

さて、ここで少し回り道をします。
それは、日本の教育の現状(第135夜:21世紀型「学校の革新」提言)を知っていただくためです。
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私の母校(W大理工)の敬愛する先輩のひとりに、日本の大手総合建設会社の方がいます。

イギリスに駐在となり、赴任先の現地英国人から問われることが気になりました。
それは、いつも「ゴルフ」のことばかりを話題にするからです。

ついに彼は、現地人に聴きました。
「どうして、いつもゴルフの話しばかりするの?」と。

現地英国人からの答えは、
本当は、いろいろ日本のことについて聴きたいことがあるのです。
例えば、
・出雲大社や横綱の「しめ縄・しめ飾り」について
・大相撲の土俵を4色の房について
・桂離宮の間(ま)
・枯山水(禅思考)
・・・等について聴きたいことがたくさんあったのです。
でも、日本の駐在員の皆さんは誰も答えてくれません。
皆さん頭がいいはずなのに、日本人駐在の会話が盛り上がるのが「ゴルフ」しかないなので、ゴルフの会話になってしまうのです。

ということでした。
彼はびっくりされて、「これは拙い。何とかせねば」と。
日本に戻った彼は、松岡正剛師匠主宰の「未詳倶楽部(第26夜)」に入門しました。(そこでお会いしました)
そして、日本・本社の中に、海外に駐在する人達向けの「社内学校」をつくられました。
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上記「イノベーションの御三家」は、「価値創造の知」(第89夜:「本質的な違い」を生み出す3つの抽象化能力)の中心です。

①禅思考 : 深い知(第85夜)
②守破離 : 高い知(第88夜)
③間(ま): 広い知(第17夜)

この御三家が、「創造性」の井戸となります。
その3つが「サナギ」から「蝶」に飛翔する心得と方法です。
新価値創造研究所のシンボルの三角形(トリニティイノベーション)です。

なぜならば、上記「シナリオプランニング」や「SRIメソッド」という欧米流と
「イノベーションの御三家」の「日本流」が新結合することで、その二つが飛車角となって、揃い合わさって、
「ヒット商品」、「経営羅針盤づくり」、「新事業開発・地域創生」という実績に繋がりました。
それは、第33夜で綴った「二つでありながら一つ」という『禅(ZEN)』の修行で一番大切なコトです。
研修やセミナーで、それらを事例をふまえてお伝えしています。

さてさて、インバウンドの方達が増え、海外に駐在する方達が増えて、
伝えるべき文化、哲学、思考、物語のど真ん中に「日本流」のコンテンツ・文脈が役立ちます。
なによりも、「創造性」の一丁目一番地なのです。

21世紀、「創造性」は20世紀の「読み書きそろばん」と同じくらい重要なのです。
「二つでありながら一つ」です。
学校は、そのような教育を行うべきと考えています。
だって、日本人のDNAにあるのに話せない、使えないというのは、あまりにもお粗末なのではないでしょうか。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
イノベーションの御三家

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