橋本元司の「価値創造の知・第146夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑮「AI」⇒「生きがい」⇒「やりがい」

2018年5月11日 価値創造ダイアグラム

これから益々、終身雇用と年金制度が崩壊していく時代です。
自分のことを振り返ってみます。前職(パイオニア社)に入社したのが1977年でした。
その時は、暗黙のうちに給料は50歳にむかってだんだんと増えていくというだろう。そして「終身雇用」と「年金制度」も何とかなるだろうと勝手に想っていました。
その生活設計に基づいて、実際に住宅ローンを組み、子育てがありました。高度成長の余韻がある時代でした。

 さて、これからも「50歳」にむかって給料は上がっていく、終身雇用は維持されると思っている人達は少ないと思います。
今は、従来の「ルート」と「ルール」は過去のものになりつつあることが実感できる時代になりました。

その激変の理由の一つが「AI:Artificial Intelligence、人工知能」です。
そして、そのことで、第109夜(農業⇒工業⇒情業⇒脳業の時代)に綴ったように、
①C: Computer=脳(AI)
②C: Communication=神経系(IoT)
③C:Control=手足等(Industry)
という、①AIの進展で、3Cが三位一体として完成に向かっていることが上げられます。
つまり、工業⇒情業⇒脳業へと進化したことです。

この「AIというツール」が誕生して、否応なく進化することで、これまでの「ルール」が変わり、「私たちのロール(役割)」が大きく変わってしまいます。
将来をこの「ルール・ツール・ロール」(第54夜、第80夜)の三位一体で把えて想像してみてください。

さて、「私たちのロール(役割)」はどうなるのでしょうか?明らかに激変しますね。
従来のルーティンワーク(決まった手順で繰り返し行われる定常作業、あるいは日常の仕事)の事務職・ホワイトカラー職は、「AI」に代替される可能性が高いのは自明です。
このような「ルーティンワーク人材」をメインに養成してきたのが、これまでの日本の教育です。

上記、「AI」が「3C(Computer・Communication・Control)」と合体することで、人間が“処理”するより「AI」のほうが得意な領域が増え続けます。『教育維新』が必要なのですね。
その一方で、これは「人口減」が切実になる日本にとっては「朗報」「チャンス」の可能性が大きいのです。
なぜならば、「人口減」問題を「AI」「ロボット」が穴埋めをしてくれます。その先陣を切ろうとする「構想」と「決意」がジャパンに見えないコト、具体的アクションが見えないコトが残念ですね。

そのように激変する時代の中で、「いったい、将来の世の中で、人間がどう役立つのか」ということが切実な問題です。それは、「AI」ができない「人間の価値」をどのように「創造」できるのかということが鍵になります。
つまり、「価値創造」という「価値のイノベーション」が中心になる時代が到来するという共通認識です。

ここでクロスして抑えなくてはならないことが、「ロール(役割)」の奥にある「生きがい」(第145夜)です。
「AI」と「生きがい」という距離があると思われていた二つの横綱を“新結合”してみましょう。

“新結合”とは、「広い知」のことであり、「イノベーション」(第32夜、第75夜)の本質です。
それを活用して“価値創造ダイアグラム”(第40夜、第83~84夜)で図解します。
(このダイアグラムは、前職のヒット商品緊急開発プロジェクトで開発したイノベーションメソッドです。イノベーションの殆どがこのメソッドで説明できます)
両サイドの二つの三角形(「AI」:コンシェルジェーション)」と「生きがい」:モチベーション」)を寄せて、新結合して大三角形を創ります。
下部の交差した小さい三角形が、二つの「共通点」です。それは、“幸せ”ではないでしょうか。
大切なコト(左サイド)は、生きがいに必要な「安心・自由・やりがい」です。
「安心・自由」には仏教的な深い意味があります。
・安心:自分が自分で良かったと思えること
・自由:別のところにあるのではない。もともと自分に備わっている。

「AI」により、人材の価値が大きく変わってしまいます。
残念ながら、これまでの「ルーティンワーク」は役立たないことが明らかになっています。

①「AI」ができないこと:“意志”“情熱”“本気”“志”“使命感”
②「AI」と共創できること
の項目が「AIに使われない」ための本質です。これからの生きる道です。

その双方の「心得と方法」が「価値創造」/「価値のイノベーション」なのです。

そう、中央の赤い枠のダイアモンドが、“価値創造”です。
これが「AI:コンシェルジェーション」と「生きがい:モチベーション」の境界がなくなる将来のコンセプト(=「価値のイノベーション」)になります。
新しい成長・成功の時代の「人財教育」・「経営」の扇の要(かなめ)になります。

従来のやり方・考え方の「オペレーション/マネジメント」から脱皮して、「バリューイノベーション/イメジメント」(第77夜)が牽引する時代なのですが・・・。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
鍵AI生きがい結合