橋本元司の「価値創造の知・第149夜」:『真の企業再生・創生』とは? ③オルタナティブ:主役を脇役に

2018年5月22日 自分中心(天動説)から他分中心(地動説へ)

“コモディティー化”とは、市場参入時に、高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になることです。

『経営の成長鈍化、行き詰まりの原因』の大きな部分をこのコモディティー化が占めています。

さて、どうしたらいいのでしょうか?

そのために、従来のやり方・考え方を超える『イノベーション:革新』が叫ばれているのです。

さて本夜は、その方法の一つをお伝えします。

それが、今まで「主役」だったものを「脇役」にすること、或は「離れる」ことです。

その「主役=中心」だったものが、「コモディティー化」しているのです。
それに依存していたので、それが「右肩下がり」になることを直視できません。

「自分」中心から「他分」中心に考えたり、行動してみることです。
それは、第137夜(『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑥自分と他分「コペルニクスの地動説」)
に綴っています。

昔の人は、太陽や星が地球のまわりをまわっていると信じていました。(天動説)
宇宙が地球を中心に回っていないように、世の中が自分を中心に回っているわけじゃないコト。

という視点・視座の転換が必要です。

その事例を3つ上げます。

① カラオケ(前職・パイオニア社)
オーディオ業界にとって聖域・中心は、コンテンツをハイファイ(主役)に再生することでした。
しかし、コンテンツからスターの「ボーカル」を引いてしまうこと(=カラオケ)で、一般人が主役となり「新文化」を創りました。
② アルコールフリー
ビールにとって重要なアルコール(主役)を引くことで、「アルコールフリービール」が誕生しました。
「交通事故のない幸せ」という『想い』が様々なハッピーをもたらしました。
③ 枯山水
龍安寺の「枯山水」はご存知ですね。
「水を抜く(引く)ことで、水を感じる」という受け手の感性が主役となる世界です。

それは、送り手(企業)が主役ではなくて、受け手(民衆)が主役になる世界です。

このように、「完全」を目指すのではなくて、「未完全・負完全の完全(美)」が世界を拡げて、新しい文化を創り出します。
日本の「わびさび」「俳句」「茶道」等やスタバの「マニュアルレス」も同じです。

これからの「AIoT」時代も同じです。
①センシング②プロダクティング③インテグレーティング

というプロセスの一気通貫(地動説)の先駆者が覇者になっていく時代です。
その時に、②プロダクティングを主役・中心に据えないことです。
そのことで、もっと大きな世界・ビジネス・顧客と出会い、創造することができます。

製造業であれば、「②プロダクティング」を引いてみるのです。
自分中心(天動説)ではなくて、他分中心(地動説)で物事を観る・構想する・実行することです。

どうすれば、、「他分中心(地動説)」になることができるのでしょうか?
大きくは二つあります。

①自分の業界/地域の狭い領域から、坂本龍馬のように外遊することです。
それを有する「外部の知」を使う手もあります。
②「深い知」(第88夜)、「禅的思考」(第33夜)を習得する
・大切なものを引くこと
・二つでありながら一つ
・色即是空、空即是色

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
オルタナティブ