橋本元司の「価値創造の知・第153夜」:『真の企業再生・創生』とは? ⑦アリとキリギリス

2018年6月8日 リゾーム(地下茎)の発想

r昨日(6/7)の文化経済研究会第2部は、ライゾマティクス代表取締役の齋藤精一氏でした。
テーマは、「建築とアートの融合、ライゾマが切り開く世界」

 その中で、二つの内容に深く共感したのでそれを綴ります。
一つ目は、「アリとキリギリス」
・「前例がない」と聞いて「だからやらない」アリと「だからやる」キリギリス
・ブランドや権威に弱いアリと気にしないキリギリス
・知識をため込んだ人が偉いと思うアリと知識も「使ったらすぐ捨てる」というキリギリス
・「常識」と聞いて、身につけるべき当然のものとして絶対視するアリと全く気にしないキリギリス
・「ばらつきは悪である」と考えるアリと「バラつかないならロボットがやった方が良い」と考えるキリギリス
・ベストを尽くしてもうまくいかないのは組織や環境のせいだと思うアリと自分で環境まで変えてしまおうとするキリギリス
・本流にいることを良しとするアリと傍流に生きがいを見出すキリギリス
・規則に人を合わせさせようとするアリと、人に合わせて規則を変えようとするキリギリス
・専門家が多数集まれば良い結果が出ると考えるアリと、人が集まれば集まるほど結果が凡庸になると考えるキリギリス……

日本では、圧倒的に多数の「アリ」ですが、21世紀は「キリギリス」的発想と行動が経営に求められると思いませんか?
塩酸(アリ)をいくらかきまぜても、塩酸(アリ)ですが、塩酸(アリ)に硫酸(キリギリス)を混ぜると化合物ができます。
それがイノベーション(=価値創造)です。さまざまな価値観を組合せ、新しい価値を生み出す時代です。

工業社会の反転軸として未来社会を構想してみてください。
従来のオペレーションから、イノベーションにシフトしてみると様々な気づきがあります。
それには、「キリギリス」的発想と構想が求められます。

どうしたらいいのでしょうか?
「巣の常識が全てである」というアリの前提を変えていく必要があります。
それに方向性と着地点を示していくのがリーダーであり、リーダーシップです。

私は「経営品質」のプロですが、そこには、「事業戦略」と「組織戦略」がバランスされています。
その仕組みを取り入れられては如何でしょうか。

二つ目は、非分野主義(Anti-Disciplinary)です。
これは、MITラボの伊藤穣一氏が、「逸脱からはじまる学びの実践」で話されていました。
「MITメディアラボではAnti-Disciplinaryという理念を掲げており、単一の学問に収まるような研究は行いません。
また、研究者や学生といった垣根はなく、指導よりも創造を重視しています。異分野の人々が試作と対話を
重ねていくことで新しい価値を生み出し、世の中に投げかけています。
・・・
AIの時代になり、世界中の人々とコラボレーションするためのコストは劇的に低下しました。
今後はそれと同様に、ハードウェアの開発や生産、物流などにおいてもコストが劇的に下がっていくと思います。
そして、教育や学びも今後は大きく姿を変えていくでしょう。MITメディアラボが行う活動の焦点はここにあります。
内外の異質な人々を柔軟に組み合わせ、創造と対話を繰り返しながら、次代の学び方を模索しているのです。」

ライゾマティクスの齋藤氏は、一つの分野に限るのをやめる。分野をまたぐことの必要性を述べられていました。
「RHIZOME:リゾーム/地下茎」という発想をされていました。
頭に残りました。

「固定化した発想を覆す提案って、業界外の視点を持っているからできるんです」
領域をはみ出す、逸脱する異端児です。

これって、上記の「アリとキリギリス」ですよね。
齊藤氏は、ご自身のことを「キリギリス発想、構想と行動をもったアリ」と言われました。

「アリギリス」ですね。

そう。始めに必要なのは、「キリギリス」的発想・構想です。
そのことを、この「価値創造の知」では連載してきました。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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