2018年7月16日 新しい目的・頭の金型
A LOT OF TIMES, PEOPLE DON’T KNOW WHAT THEY WANT UNTIL YOU IT TO THEM.
(多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ)
上記は自分がミッションにしている『価値のイノベーション』のことを云っています。
そしてそれは、「新しい目的」「新しい意味」を紡ぎ出し、「価値の変換」を引き起こします。
技術が「どうやって?」を求めるのに対して、“新しい意味”は「なぜ?」を追求します。
その奥にある「意味のイノベーション」が求められる時代になっているということは第130夜に綴りました。
いまある「価値観」の延長線上に「改善」や「HOW(どうやって)」を考えるのではなくて、新しい目的・意味のために、「WHY(なぜ、何のために)」を先行する。
先に「WHY」があって、後にそれを実現するために「HOW」「改善」があるという順番です。
それは、今までにない“新たな意味(目的)”を提示することになるのですが、言葉だけではなかなか伝わらないのです。
「iPhone」が誕生する前に、その土台となる「iPod(アイポッド)」がありました。自分も初期モデルを購入しました。
当時日本では、「MDウォークマン」が売れていて、我が家も一人一台で4台保有していたのにです。
その時に、スティーブジョブズの頭の中には、「iPod」「iPhone」への展開を考えていたのですね。
さて、「iPod/iPhone/iPad」の「i」とは何でしょうか?
良く記されているのが、図の左側です。
1998年にスティーブ・ジョブズが最初のiのつく製品であるiMacを発表するときに説明しています。
「iMacはInternetの興奮とMacintoshのシンプルさの『結婚』から来ている」
そして、「i」に以下の5つの意味があります。
・INTERNET
・INDIVIDUAL
・INSTRUCT
・INFORM
・INSPIRE
個人的には、結果的に「インフォメーション(Information)から、インテリジェンス(Intelligence)への橋渡しの『i』」というように解釈すると腑に落ちます。
この『i』が、「深い知・高い知・広い知」(第89夜)の全てに絡んで、図にあるような「新しい価値・新しい市場・新しい文化」を創りました
自分ゴトでは、同様に「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」ということを実感・実践してきました。
新社長に直訴(第14夜)した時、異業種コラボ(第23夜)でヒット商品を連発した時、「新しい価値」は言葉ではなかなか伝わらなくて、実際に「形(料理)」にして「口の前まで運ぶ」ことが必要でした。
それは、人々の中にある確固とした『価値観』、つまり「頭の中にある金型」が影響しているように想います。
その価値観・金型を変える、変わるのを目撃するのが大数寄です。笑
さてさて、ジョブス氏は、自動車を普及させた立役者、ヘンリー・フォード氏の言葉を好んで用いていました。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは“もっと速い馬が欲しい”と答えていただろう」
交通手段が馬車だった時代、自動車を知らない人々は、馬車の改善を考えるので、「速い馬を求めるだけで、自動車をつくってくれ」とは云いません。
ここでは、手段の改善ではなくて、「速いとな何か」という目的を考えることがポイントです。
いまだったら、「車・飛行機」ではなく、「スカイプ」の方が速いのでそれで事が済むことが多くなりましたね。
『Fun to drive』『Fun to drive again』というトヨタのキャッチフレーズがありますが、AI自動運転の時代には、そのフレーズは使われているでしょうか?
そのような“視座”で物事を色々な場面で観ることが必要な時代です。それは、これから次々に「価値のイノベーション」が起こることが必然だからです。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生へ」