2018年7月24日 「おもてなし・三位一体」の時代
「iPod、iPhone、iPad」は、イノベーションを起こし、市場をつくり、文化を創りました。それは、ハードウェアとソフトウェア、そしてサービス(ハートウェア)をシームレスにつなげたユーザー体験を提供することにありました。
そしてその奥にあるアップルの想いは、「人生を豊かにすること」。
そのイノベーションは、「市場/文化」を本気で創ることができるかどうかを認識することがとても重要です。
それ以前は、「ハードウェア」と「ソフトウェア」が別々にありました。
「業界」というものが存在していて、その領域の中でビジネスをしていました。
多くの企業がそこに存在していましたが、だいたい右肩下がりになっていました。
それは、嵐の前の静けさのようでした。
そこに「インターネット」が横串で入ってきました。
糸井重里さんが著した「インターネット的」を引用します。
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インターネット的」とは、インターネット自体がもたらす社会の関係の変化、人間関係の変化みたいなものの全体を思い浮かべてほしい。
もっとイメージしやすいたとえでいうなら、「インターネット」と「インターネット的」の違いは、自動車とモータリゼーション(自動車が発明され、社会に広く浸透していくようになってから変化していったすべてを含む)の違いに似ているでしょう。
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そして、「インターネット的」といった時に、3つの軸(リンク、シェア、フラット)を提示しています。
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①リンク:従来の「ジョイント」的つながりは、いわば、「問いと答えのセット」のようなつながりですね。
しかし、「リンク」というつながり方は、「問い」のほうにも、「答え」のほうにも、たくさんの付属する情報があるのですが、それが有機的につながりあうというのが魅力的であり、「インターネット的」。
周辺情報だとか、リンクの先のリンクにまで延々と深くつながってゆくのです。これこそが、「インターネット的」の一番の鍵になるのです。
②シェア:個人でつくったもの、個人の力をみんなで分けあって楽しむというシェア(おすそわけ)は、クラブ活動などで体験しています。分け合うというのは、なぜかは知らねど、楽しい、と。
その「シェア」というよろこびの感覚が、「インターネット的」。情報はたくさん出した人のところに集まります。
おすそわけをたくさんしている人や企業には、「これも、あなたが配ってください」という新しい情報が集まる交差点のようになってゆきます。
③フラット:従来は、「みんなのプライオリティが一定している」ことが、社会が安定していることと考えられていました。
フラットというのは、それぞれが無名性で情報をやりとりするということと考えられます。そこでは、情報のやりとり自体やそこで交わされる意味や思いだけが存在しています。
価値の三角形は、バタンと倒れて、平ら(フラット)になり、そこではそれぞれの人が自分の優先順位を大事にしながら役割をこなしている。
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この「①リンク、②シェア、③フラット」というインターネット的スタイルが私たちの生活や仕事に浸透してきているのを実感しませんか。(第115夜)
それが、“AIoT”と繋がってこれからも大きく時代を変えていくのが洞察できます。
・「ハードウェア」単独の20世紀後半は、「モノづくり」の時代でした。
・インターネット的が繋がった「ハードウェア*ソフトウェア」の21世紀初頭は、「コトづくり」の時代です。
・そして、2020年の東京オリンピックのキーワードである「おもてなし」が次の時代の扉を開けます。
それが、「ハードウェア*ソフトウェア*ハートウェア」の「つながりづくり」三位一体の世界です。
「おもてなし」とは
A.しつらい=ハードウェア
B.ふるまい=ソフトウェア(メニュー・プログラム等)
C.心づかい=ハートウェア(ヒューマンウェア)
の3つでできています。
それはとっても凄いインパクトのある言葉なのですがそれを洞察できている人は僅かです。
それが、いよいよ2020年から全面的に立ち上がります。
アップルは、「A.ハードウェア*B.ソフトウェア」という「顧客を囲い込む」覇者でしたが、2020年から「ハードウェア*ソフトウェア*ハートウェア」の「顧客に囲まれる“つながりづくり”」三位一体が世界を席巻します。
それが、「主客一体」(第93夜)の世界であり、「リアルな場」と「バーチャルな場」の双方から立ち上がり、それらが融合してゆくことが洞察できます。
いったい誰が覇者になるのでしょうか?
参考に、「おもてなし」時代の「価値共創とクラブ財」については、第97夜に綴っています。
さて、もう25年前になりますが、1993年に前職経営会議で発表した内容を記します。
「農業」⇒「工業」⇒「情業」⇒「脳業」⇒「興業」⇒「浄業」⇒
発表した1993年は、「情業」(高度情報時代)真っ只中であり、その次にくるのは「脳業」(AIoT時代)です。
ぴったし当たってますね。そして、その次は古代ローマ帝国を螺旋展開したした「興業」。それは時間差で併せて到来するのは間違いありません。
スティーブジョブズは、「情業時代」の王者でした。
次の覇者は、「ニッポン」でありたいですね。
価値創造から、「事業創生、地方創生、人財創生へ」