2018年7月25日 一気通貫&三位一体
前夜(第164夜)は、『おもてなし』が「ハードウェア*ソフトウェア*ハートウェア(サービス)」の三位一体であることを綴りました。
そこには、主人の「趣向の一気通貫」と「主客一体」があります。2020年以降の新サービス産業がそれを志向していきます。
ジョブズは、アップルのハードウェア・ソフトウェア・サービス・デザイン・マーケティングをコントロールしているように見えます。
「一から十まで仕切る」。そのすべてにおいて、「ZENの境地」が見え隠れしていますね。
レベルは違うのですが、25年前(1995年)の前職の社長直轄・ヒット商品緊急開発プロジェクトで同じことを実践しました。
「オーディオ」は、「性能・機能」という縦のラインナップで成長してきましたが、1989年にピークがあり、そのまま30年右肩下がりを続けています。
そこで、「ハードウェア*ライフスタイル」という異業種コラボレーションを25年前にプロデュースしました。
そのヒントは「フィギアスケート」にありました。
以前のフィギアスケートの採点は、「技術点(テクニカルポイント)」の高い人がゴールドメダルをとっていました。
採点方法が大きく変わり、「芸術点(アーティスティックポイント)と技術点(テクニカルポイント)」の合算で競い合うようになり物語を楽しむ競技になりました。
つまり、「芸術点と技術点」の融合したのです。
当時の「オーディオ」は「技術点」が一般化(コモディティー化)して、殆ど黒いパネルのデザインでした。
顧客は、その黒いパネルが部屋のインテリアにマッチングしないので、覆っていたり、自分の好きな色に塗装しているユーザーもいました。
「送り手」と「受け手」の間にギャップがありました。
ヒット商品緊急開発プロジェクトへの参加をお願いしたパートナー(マーケター&セールス)からは、
「いいアイデアやコンセプトが経営会議で変質してしまうことを何回か経験してきた。それも大きな要因。
「経営会議を通さないで、自分たちの想いを企画から販売まで一気通貫でできるのなら参加する」と云いました。
それが、その後の方針の大事な一つになりました。
「一気通貫」と「一から十まで仕切る」は同じことを云っています。
「最初の熱」が顧客まで伝わることです。当然、尖っているのですが、それが顧客を揺り動かします。
勿論、「最初の熱」の本質がとても重要です。
(通常のピラミッド型の会社では、それがなかなかできません。それが、「イノベーショの壁」の一つです)
・第161夜:多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ
・第157夜:Stay hungry.Stay foolish
・第158夜:Connecting the dots=点と点をつなげる
・第162夜:You can move mountains
・第163夜:製品を売ろうとするのではなく、彼らの人生を豊かにするのだ
これまで、「スティーブジョブズ編」で綴ってきたことが繋がってきます。
それは、「一気通貫」「一から十まで仕切る」とは全て自分たちでやることではありません。
・ゼロからスタートすることはない。持てる知識を活用せよ。
・テクノロジーの出どころなど気にするな、大事なのは組合せだ
・「いずれ来るベクトル」大きな変化を見逃すな、チャンスを探し出せ
そう、私はまだ「異業種コラボ」の概念がない時に、フィギアスケートからヒントを貰いました。
そして、もう既にあるものの組合せでヒット商品を創り、新しい市場/文化を創出しました。
枠の中で頑張るのが日本人は得意なのですが、別の枠(トラック)をつくることは日本人は得意ではないと言われています。
その枠の外し方を、トリニティイノベーション(第21夜、第57夜)で綴ってきました。
是非、その心得と方法を習得して、隆々とした日本の未来を共に創りましょう。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」