橋本元司の「価値創造の知・第187夜」:「世阿弥の知・初心不可忘」⑧

2018年11月28日 老後初心不可忘

能を大成させた世阿弥の書「花鏡」の結びとして、「初心忘るべからず」があります。

當流に、萬能一徳の一句あり。
初心不可忘。
此句、三ケ條口傳在。
(しかれば当流に万能一徳の一句あり。 初心忘るべからず。この句、三ヶ条の口伝あり)

是非初心不可忘。(是非とも初心忘るべからず)
時々初心不可忘。(時々の初心忘るべからず)
老後初心不可忘。(老後の初心忘るべからず)

世阿弥は、「芸」の向上をはかるものさしとしてこの初心を忘れてはいけない、と記していると想いますが、
いろいろな人達が、さまざまな解釈をされています。
上記の三ヶ条を皆さんの人生にあてはめてみることで、生きた活用ができるのではないでしょうか。

自分の解釈としては、
「目の前に現れる限界や壁をどう乗り越えるのか」その為の「自分の志・情熱」が『初心』だと想うのです。

自分自身の会社人生で云えば、
①新入社員時の「非常識や限界の壁」
②時々に立ち向かう「非常識や限界の壁」
③退職後に立ち現れる「非常識や限界の壁」

「限界」「常識」と思われているものを「超えて」いく。
それが、『イノベーション』であり、『価値創造』です。
二つ目の「時々初心不可忘」の考え方や実践の失敗・成功をこの「価値創造の知」シリーズでは多くを綴ってきました。

100分de名著「世阿弥」の放送の中で、土屋惠一郎さんは次の様に語っています。
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・・・ これから超高齢化社会になっていく日本において、「老いてのちの初心」という世阿弥の言葉は非常に重要な意味を持ってくるでしょう。
寿命が延び、体力的にも元気なお年寄りが増えている。そういった人たちが、どう老いてのちの花を咲かせるのか。そこに、世阿弥の言葉が突き付けていることがあります。
若いころの気持ちに戻ったり、若いころと同じことをしようとしたりするのではない。
そうではなく、あくまでも今の自分の限界の中で何をしていったらもっともよいのかを考えることが必要だ、と。
・・・
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それは、3つ目の「老後初心不可忘」です。
自分も前職・パイオニア社を早期に卒業して、その真っ最中にいます。

それは、第174夜に綴った、下記「林住(りんじゅう)期」(五木寛之著)と交り合います。
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“古代インドでは、人生を四つの時期に分けて考えたという。
「学生(がくしょう)期」、「家住(かじゅう)期」、そして、「林住(りんじゅう)期」と「遊行(ゆぎょう)期」。
三つ目の「林住期」とは、社会人として務めを終えたあと、すべての人が迎える、もっとも輝かしい「第三の人生」のことである”
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“アスリートにたとえれば、「学生期」に基礎体力をつくり、「家住期」に技術を磨き経験を積む。
そして試合にのぞむ。その本番こそが「林住期」だ。人生のやり直しでも、生活革命でも、再出発でもない。生まれてこのかた、ずっとそのために助走してきたのである。”
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私たちは、リタイアするのではなく、リボーンするのです。
そのための世阿弥の云う『花』を咲かせるための社会の「知」と「仕組み」が不足していますね。

嘆いていても門は開かないので、ご一緒に「リオリエンテーション」(第45夜:自らハシゴを創る)して『初心』を実践しましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

初心不可忘