2018年12月5日 風雅の誠
五木寛之さんが、「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」のゲストの回でした。
そこでは、めまぐるしく変化していく時代のなかで、
・「変わる世の中、変わらぬ本質」
・「私たちも何を変えて、何を変えずに走るべきか(生きるのか)」
が大きなテーマの一つとなっていました。
この取組みは、永遠のテーマですね。
それは、まさしく『不易流行』です。
全ては「無常迅速」ですから、それは、人生、事業創生、地域創生、教育、政策等々にあてはまります。
それでは、日本俳句研究会から引用します。
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不易流行とは俳聖・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の中で見出した蕉風俳諧の理念の一つです。
芭蕉の俳論をまとめた書物『去来抄』では、不易流行について、以下のように書かれています。
「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」(去来抄)
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不易流行の『不易』とは、時を越えて不変の真理をさし、『流行』とは時代や環境の変化によって革新されていく法則のことです。
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・『不易』とは、時が流れても変わらない
・『流行』とは、時の流れとともに変わる
前職・パイオニア社で、「ヒット商品緊急開発プロジェクト」を立ち上げ、次々に「ヒット商品」を連発しました。
その多くは、その時代のツールで、現在リリースしても「ヒット商品」には届きません。
今でも初期iPodやガラケー携帯を記念として持っていますが、それらは、ツールが進化して売れませんね。
五木寛之さんは、それを
「時代とともに時代と寝る。時代のバックグラウンドの上で物語をすすめる。
それは、二度と帰ってこない。・・・」
と語っていました。
ポイントは、不易を分母として、流行が分子という構造があるかどうかです。
本質的な分母(不易)があれば、時代に適合した分子(商品・サービス)を生み出すことができます。
それは、「価値創造の知・第一法則」(第21夜、第85夜、第161夜)に記しています。
重要なのはインビジブルな本質・価値・意味を把えらえているかどうかにあります。
なので、今でも「ヒット商品」を創出する自信があります。
五木寛之さんは、日本が大事にするもの(不易)というテーマで、
「和を持って貴しとなす」
が変わらぬ本質であるとも語っていました。
さて、再び日本俳句研究会からの引用です。
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不易と流行とは、一見、矛盾しているように感じますが、これらは根本において結びついているものであると言います。
『蕉門に、千歳不易(せんざいふえき)の句、一時流行の句といふあり。
是を二つに分けて教え給へる、其の元は一つなり』(去来抄)
去来抄の中にある向井去来の言葉です。
『千年変らない句と、一時流行の句というのがある。
師匠である芭蕉はこれを二つに分けて教えたが、その根本は一つである』
という意味です。
難しい内容ですが、服部土芳は「三冊子」の中で、その根本とは、「風雅の誠」であり、風雅の誠を追究する精神が、不易と流行の底に無ければならないと語っています。
『師の風雅に万代不易あり。一時の変化あり。
この二つ究(きはま)り、其の本は一つなり。
その一つといふは、風雅の誠なり』(三冊子)
俳句が時代に沿って変化していくのは自然の理だけれども、その根本に風雅の誠が無ければ、それは軽薄な表面的な変化になるだけで、良い俳句とはならない、ということです。
(風雅とは蕉門俳諧で、美の本質をさします)
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蕉門俳諧の分母、根本は、『風雅の誠』にあるですね。
その本質があることで、
「卑俗ではなく、趣を介した自由な精神・芸術」
として受け継がれているのではないかと洞察しています。
会社や地域の再興、隆盛で必要なのは、「手段」ではない「本質・不易・目的」を明確化・共有化しているかどうかにあります。
それを持って、「時代とともに時代と寝る(五木寛之)」(=流行)のです。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ