2019年 テルマエ・ロマエと価値創造
土曜日の番組「サワコの朝」を毎週録画して、「価値創造の研究素材」として楽しく観ています。
先週は、[漫画家ヤマザキマリの風呂論]でした。
実は、彼女の映画・漫画「テルマエ・ロマエ」を題材として、セミナーの中で良く活用します。
皆さんは、映画&漫画「テルマエロマエ」をご覧になりましたか。第1作、2作と連続大ヒットとなりました。
それは、原作者・ヤマザキマリさんの「古代ローマと現代日本」の新結合と新視点の絶妙にあります。
内容をご紹介します。
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すべての“風呂”は、“ローマ”に通ず。 「マンガ大賞2010」と「第14回手塚治虫文化賞短編賞」をW受賞、実写映画(主演:阿部寛)も記録的な大ヒットとなった超ベストセラー・爆笑コミック!
紀元前128年、第14代皇帝ハドリアヌスが統治し、かつてない活気に溢れているローマ。すべてに斬新さが求められるこの時代、古き良き浴場を愛する設計技師のルシウス・モデストゥスは、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。
落ち込むルシウスは友人に誘われた公衆浴場から、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまい……!?
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この映画(漫画)の構成を第197夜の「インストラクションの理解」の構造に当てはめることで、ヒット商品(第14夜:社長直訴そしてヒット商品緊急開発プロジェクトへ)の構図が見えてきます。
前職・パイオニア社のヒット商品プロジェクトでは、
①ウィスキー(サントリー)とパイオニア
②ファッション(ラフォーレ原宿等)とパイオニア
③インテリア(無印良品、フランフラン等)とパイオニア
④お風呂とパイオニア
という異業種コラボレーションで連続ヒット商品をプロデュースしました。
上記、異業種コラボレーションを①で説明すると、サントリーとパイオニアの共通項を見つけることです。
お互いの接点は、「響(ひびき)」にありました。(サントリーさんのデジタルロゴは、「響」であり、パイオニアは「音響」)
「響き合う」ということが重要なメッセージでした。
異業種連携により、樹齢100年のウィスキーの樽材で響く「ピュアモルトスピーカー」が生まれました。
それが、余白(第22夜)を創る秘訣の重要な一つです。そこには、「ものがたり&ものづくり」の融合があり、顧客の心を掴むことに繋がります。
その新結合(第32夜、第75夜)の方法を「テルマエロマエ」に当てはめて、その一部を解説します。
最初のポイントは、第197夜の図解の「分母のコンテクスト:インストラクションを届ける場面、背景)にあります。
それは魅力的な基盤となる「共通項」です。
「古代ローマ」と「現代日本」の接点は、いったいどこにあるのでしょうか?
全く接点がないようでありながら、「お風呂にどちらも浸かる文明」という共通点がありました。
古代ローマは、水のインフラが整い、水の文化(浴場)があったのです。
そう、「古代ローマ」の浴場文化が、日本のお風呂文化に似ていることに作者は気づいたのです。
それは、作者が風呂好きであり、温泉数寄なことが背景にありました。
映画の中でも「お風呂の魅力」が、古代ローマの良き浴場を愛する主役の設計技師のルシウスの目を通して良く描かれています。
その双方で、お風呂を綺麗に使い、リラックス・リセットする神聖な場所として表現されています。
2000年経った現代のローマでも使われている水のインフラやお風呂の魅力を語りたい、伝えたいという作者の想いが伝わってきます。
そしてそこには、
・進化した現代の日本の風呂文化に驚く古代ローマ人の目線の面白さ、楽しさ
・古代から来た人から私たちが学べる気づき(温故知新)
の双方が表現されていました。
さて、「インストラクション」構造(第197夜)に目を向けると、「図:分子」の伝達手段・チャネルは、「漫画・映画」でした。
・コンテクスト(分母)
・情報の送り手
・情報の受け手
・内容(メッセージ)
・チャネル(メッセージの形式)
それらの五つを意識することで、様々な領域で応用・活用できることを実体験してきました。
そう、それはヒット商品・新規事業や働き方改革にも実証済みです。
事業や地域活性に、そしてコミュニケーションに行き詰まりを感じた時に、是非上記を意識して実践してみてください。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ