橋本元司の「価値創造の知・第208夜」:「落合陽一: 農業→工業→脳業」④

2019年2月20日 ビジネスの「戦いのルール」変更

ビジネスの「戦いのルール」は変わり始めています。
それは、第144~146夜『魅力がなくなるコト』をテーマに綴りました。

特に、第144夜の“「AI」「BI」「CI」って?”については、多くの方達がアクセスされています。
そこでは、「AI」「BI」「CI」と「苗代(なわしろ)的思考(第119夜)」についてお伝えしています。

特に、中心テーマは、「AI」(Artificial Intelligence、人工知能)です。
本夜は、「これからの世界をつくる仲間たちへ」(落合陽一著)で語られたAIのエッセンスを加筆引用しながら、首記の「農業→工業→脳業」と絡めて「価値創造」について綴ろうと想っています。

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「コンピューターと人間の違いを考えよう」

—コンピューターが得意にしているのは「総当たり戦」です。与えられた問題の答えやコンテンツのバリエーションを総当たりで探して、「最適解」をみつける。
「この電話番号を探せ」と命じられたら、分厚い電話帳のページを端から端まで全部サーチして見つけ出すようなものです。いわば単純作業ですが、人間にはできないスピードで淡々とやり続けられるのがコンピュータ。
(今朝のテレ朝newsで、AIで働き方が変わる 待機児童も解消へ[2019/02/19]では、高松市の4人の職員入が園希望者の割り振り作業の選考で約1ヶ月かかっていたものが、AI=人工知能で50秒で完了していました。選考にかかる時間が短縮されることによって、より待機児童対策に時間を充てることができるという内容でした)

—コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。
コンピュータには「これがやりたい」という動機がありません。目的を与えれば人間には太刀打ちできないスピードと精度でそれを処理しますが、それは「やりたくてやっている」わけではないでしょう。

いまのところ、
・「人間社会をどうしたいか」
・「何を実現したいか」
といったようなモチベーションは、常に人間の側にある。

だから、それさえしっかり持ち実装する手法があれば、今はコンピュータを「使う」側にいられるのです。

逆に云えば、何かに対する強いモチベーションのない人間は、コンピュータに「使われる」側にしか立てません。
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全く同感です。
もう一歩話を進めると、
①コンピュータを「使う」側
②コンピュータとの「共存」
③コンピュータに「使われる」側

に整理できますね。

さて、この「価値創造の知」シリーズの第109夜に、首記の「農業⇒工業⇒情業⇒脳業の時代」を綴りました。
AI( Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、Industry4.0(第4次産業革命:製造業のデジタル化・コンピューター化を目指すコンセプト)という『I(アイ)』の入った言葉がメディアを賑わしています。
いったい、これをどのように把えたらいいのでしょうか?

という「問い」から、『3つのC』
・C: Computer=脳(AI)
・C: Communication=神経系(IoT)
・C:Control=手足等(Industry)
をご案内しました。
その「脳業(AI)」と「3C」について、24年前の1995年に前職・パイオニア社内で発表しました。

さてさて、一番のポイントは、そのことで「ビジネスやライフスタイルのルールが大きく変わる」ということです。
産業革命以前は、「農業」環境の時代でした。
産業革命以降は、「機械(工業)」環境の時代でした。
それぞれ、それは目的ではなく、その手段をベースにしていました。ここの認識が重要なのです。
(さらに、第2夜、第20夜、第86夜、第93夜で綴った日本のお家芸である『おもてなし』(ハードウェア・ソフトウェア・ハートウェアの融合)の出来がそれにかかってきます)

そして今、「脳業(AI)」を手段にして、ビジネスやライフスタイルが変わる時代の入口を跨いだところに私たちはいます。

「脳業(AI)」環境に否が応でも包まれるということをしっかり認識することが重要です。

大事なことは、農業も、工業も、脳業もあくまでも「手段」だという認識です。
その環境の中で、『人』、『日本人』として、どのような「目的」「志」「使命」を持つのかということが肝要です。
(目的がない人生、目的がない日本にしたくありませんよね)
そのように上位に立つことで、AIの「使い道」が観えてきます。それがなければ、AIに「使われる」側になってしまうのです。

どちらが、「人」として『幸せ』ですか。

「学校教育」「企業」「地域」「日本」の再興に必要なことは、その認識と変革です。
それは、新価値創造研究所の提唱する、「価値創造の知」の第一法則と第二法則です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
落合陽一01