橋本元司の「価値創造の知・第210夜」:「落合陽一: 日本再興戦略」⑥

2019年2月22日 「始まったばかり」

先月1月25日の落合陽一さんの『質量への憧憬』オープニングレセプションを拝見してから、そこにある風景から感じられるイメージを第205~209夜に綴ってきました。
それは、「デジタル側から見える質量への憧憬(ノスタルジア)」と「日本の方法」です。

そこには、
①「ワビサビ」
②「負の想像力」
③「余白の美意識」
④「農業→工業→脳業」
⑤「オモテナシトピア」
という「日本の方法」が明滅しています。

「デジタル」を「1・0」の世界で観るのではなくて、「心」や「想像」「創造」「日本の方法」というフィルターを通すことで、新しい世界を拓けるのではないかと確信しました。
本夜は、オープニングレセプションで感じたことと、『日本再興戦略』(落合陽一著)を結合するとどのような世界と世間が観えてくるのか、ということから綴っていこうと想います。

本文「はじめに」に、格別の問題意識と想いが凝縮されていますので、その一部を引用します。
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—このまま高度経済成長モデルに拘泥し、「欧米」という幻想を追い続けていては、日本は再興できません。
しかし、意識改革を行い、正しい戦略に則って動けば、日本を再興することは難しくありません。
我々はいつの時代もそれを行ってきたのです。明治にも昭和にも。そして、平成の次の元号の変化にも合わせてやりきらないといけないことでしょう。

僕の座右の名は
「変わり続けることを変えず、作り続けることをやめない」
ですが、最近気に入っているフレーズがあります。
「指数関数的成長にとって、全ての点は、いつでも始まったばかりだ」

人口減少は人類史上稀有な大チャンスです。テクノロジーを活用し、西洋的人間観を更新し、我々が刷り込まれた知識をポジティブに更新し、みなで更新していけば、日本の未来はきっと明るく、そして特筆的なグランドデザインとなるでしょう。
東洋の自然観はデジタル時代に新たな自然を構築するはずです。

我々の世代の次の一手で、日本のこの長きにわたる停滞は終わり、戦況は好転する。僕はそう確信しています。
バックグラウンドとビジョンを拡張し、世界に貢献する。
日本にとって、そして世界にとって、今ここが「始まったばかり」なのです。 落合陽一

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上記のエッセンスをまとめると、、
・工業時代の高度成長経済モデルから脱皮すること。(第111夜、第146夜)
・人口減少は人類史上稀有な大チャンスであること。(第42夜、第99夜、第146夜)
・東洋の自然観はデジタル時代に新たな自然を構築すること。(第180~188夜、第177~179夜)
・バックグラウンドとビジョンを拡張し、世界に貢献すること。(第57夜、第77夜、第147夜)

それらは、この「価値創造の知」連載で綴ってきたことと交差し、重複します。
(関係のコラムをアップしました)

さて、本分「はじめに」を読んだだけで、この本の『別格』がわかりますね。
是非、「日本再興」「価値創造の知」に関心のある、志のある方達がご覧ください。
それが、「始まり」です。

次夜も「日本の変革・再興」のために、「日本再興戦略」を取り上げます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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