2019年2月23日 「どうやって我々は本当の意味で、『近代』を脱していくか」
落合さんに最初にお会いしたのは、2017年5月でした。その時は、「Computational Diversity(計算機的多様性)」を語られてしました。
そして、前夜(第210夜)にご紹介した『日本再興戦略』(落合陽一著)の第3章に「人工知能と呼ばれているものの本質」があります。
本夜・次夜は、この「人工知能の本質」と「Computational Diversity(計算機的多様性)」の二つを絡めながら、「価値創造の知」につながる内容を綴っていこうと想います。
それでは「「人工知能と呼ばれているものの本質」を本文から加筆引用します。
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—これまでのインターネットは統一された「マス」だったのですが、今後、インターネットは個人化していきます。
その個別最適化のための関数の名称が、総じて「人工知能と呼ばれているもの」である、というのが僕の現状把握です。
「オープンソース」と「パーソナライゼーション技術」によって、我々一人ひとりの能力はインターネットという環境知能によって向上し、例えば一人ひとりが旧来のウェブサービスに匹敵するサービスをつくることも可能になっていくはずです。
そういった意味で、次のキーワードは、
「どうやって我々は本当の意味で、『近代』を脱していくか」
ということだと思います。それは人が働くことによってもたらされるボトルネックを解放していくことです。
みなさんは、「今は現代であって、近代でなないだろう」と言うかもしれませんが、法律の仕組みや教育プロセスなど、今の社会の統治法を決める仕組みは、過去150年間くらい変わっていません。
現代とは、マスが拡大しすぎて、人間の想像の限界を超えてしまった制御しづらい近代のことだと思っています。
これが現代化するには、「人間の再定義」(人間:生物学的な人間と機能的な人間・認知的計算機としての人間と社会的な人間を合わせた言葉として使用)と「コンピュテーショナルな考え方」が必要なのです。
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みなさんは、上記の「人工知能の本質」について、どのように感じられたのでしょうか?
昨年3月に、この「価値創造の知」連載の第124夜に、“『価値創造とイノベーションのあいだ』⑪「次元」の変化に適応する”を綴りました。
下に、その一部を抜粋しますが、その内容と上記を交差させることで共通点がみつかり、化合物ができるのではないでしょうか。
第124夜:世の中の「次元が変わる」から経営危機が訪れる(新価値創造研究所)
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—世の中の「次元が変わる」から経営危機が訪れるのです。
少しおさらいしてみましょう。
1880-90年代に栄えてきた企業が21世紀に入ってのきなみ凋落している姿は枚挙にいとまがありません。地方も銀行も同様ですね。
2000年の前と後では、経営環境が大きく変わり、思いもよらぬ競合相手も出てきました。それはリーマンショックの前からです。
市場や業界の境界が消滅しました。
本質は、「第115夜:インターネット的」に綴りました。「インターネット的」という3つの軸(リンク、シェア、フラット)が「世界と世間」(第80夜)を変えてゆきました。
さらに、『脳業』(第109夜)にシフトしています。その「世界と世間」が変わっているのに、それを用意しない、適応していない企業/地域が多くあるということです。
—前職の業界で言えば、もう従来の「製造業」のままでは隆々とした将来を描くのは難しい時代になっていました。
そしてそれは、多くの業界に及んでいます。
はっきりと『次元』が変わっていることを認識することです。
質的変化、次元変化が起きた時に、迅速にそれを察知して、それを乗り超える「WillとSkill」(第52夜、第63夜)を持って、企業革新していくことが『持続性』の条件です。
持続性には、「新顧客価値の創造」「イノベーション」「企業革新」が企業の能力として求められるのです。—
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「人工知能の本質」が次元が変わることの大きな原因の一つなのです。
トップとメンバーに求められるのは、「次元の変化」を内包した第122夜「想像力⇒創造力⇒構想力」です。
第93夜では、
・モノづくり⇒コトづくり⇒つながりづくり
・ハードウェア⇒ソフトウェア⇒ハートウェア
第109夜では、
・農業⇒工業⇒情業⇒脳業
・AIoT、Industory4.0
を図解等でご案内してきました。(第124夜)
さて、そのような時代のキーワードは何でしょうか?
それを、落合陽一さんは、「Computational Diversity(計算機的多様性)」と語っていました。
次夜は、「Computational Diversity(計算機的多様性)」と「価値創造」の関係を綴っていく予定です。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ