橋本元司の「価値創造の知・第212夜」:「落合陽一: Computational Diversity(計算機的多様性)」⑧

2019年2月24日 21世紀のキーワード

自分が仕事に精いっぱい働いていた20世紀後半は、「ハードウェア」を制した企業が勝っていました。
しかし今は、プリンターも6千円を切る価格で売り出され、通信絡みの「ハードウェア」は無料となっている商品が続出しています。
明らかに、ソフトウェアやエコシステムでコストを下げた人・企業が勝つ時代に突入しています。

ハードはソフトウェアのコピーとして出てきて、しかも「コストゼロ」でコンテンツをカスタマイズします。ここでいうコンテンツが物理世界に出力される「ハードウェア」です。
皆さんがお持ちの「スマホ」を観れば実感されるのではないでしょうか。

さて、本夜は、「21世紀のキーワードはComputational Diversity(計算機的多様性)だ」と考えている落合陽一さんが語った内容(谷口正和師匠主宰・文化経済研究会)の一部を引用して、「価値創造」との関係を綴ろうと思います。
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—そこで21世紀のキーワードはComputational Diversity(計算機的多様性)だと考えています。コンピューターを使ったコストダウンと全体最適的利便性が、僕らにどれだけ多様性のある社会を生み出すことができるのか、ということです。

例えば余剰コストや有休資産。ラクスル㈱は1台もオフセット印刷機を保有していない印刷会社で、全国の印刷会社のオンデマンド印刷やオフセット印刷機の非稼働時間を把握して、印刷会社の余剰印刷工程を安く借り受けることによって、高品質な印刷物を安価に提供しています。

Uberはタクシーサービスで、空いている車で人をピックアップして目的地に連れていく。Airbnbは家を貸す民泊サービス。またラクスルはトラック運送業者の空き時間を活用した荷物配達サービスハコベルを始めました。

このように今後は空いているインフラを余すことなく使い、Computationalにコストを下げ、それによって多様性を高める。こういった発達したインフラを持つ有休資産を活用するようなサービスモデルはあらゆるビジネスモデルで可能です。

空いている漁船、テナント、車椅子、ヘルパーさん、廃校もある。自動運転になったら、われわれは地価の低い廃村を丸ごと老人施設にアップデートしても良いわけで、規格化された老人ホームの空間の中で同じベッドで暮らすよりも、健康的だし、そして絶対に楽しいと思います。

われわれは計算機の上にある自由、そのような世界をどう作っていけるかがキーワードになると思います。減る人口は一人頭の教育コストの向上とエネルギー問題への解決を意味しています。—

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自分の身の回りのモノ(クルマ、住宅、プリンター、・・・)を観ても使われていない時間のほうが多いことに気づきます。

これまでは、『所有』することが価値と思っていたことが、第85夜(『深い知』=「抽象化能力」②)で綴ったように、『使用』すること、或は『在り様』までも考えさせられることが多い時代となりました。

「今後は空いているインフラを余すことなく使い、Computationalにコストを下げ、それによって多様性を高める。こういった発達したインフラを持つ有休資産を活用するようなサービスモデルはあらゆるビジネスモデルで可能です。」

さてさて、それは、どこから生じてきたことなのでしょうか。
それを第84夜(『違い』をつくる実践演習①)に記しています。
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—さて、私たちの生活環境を変えた「インターネット」の特徴を「インターネット的:糸井重里著(第36夜)」では下記3つを上げています。
①リンク
②シェア
③フラット
好むと好まざるとに関わらず、これらがライフスタイルや企業経営・地域経営の中に沁み込んでいることを認識することが重要です。

第4次産業革命、AIoTがそれを加速させます。それは、従来の「スタンドアローン(他に依存せず単独で運営する環境)」の環境とは真逆です。—

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「①リンク、②シェア、③フラット」という特徴を掴んでおくことでいろいろな変化、事象が読み解けます。

整理をしてみますと、「所有」の時代の背景には、「モノの不足」があり、そこでは何馬力、何ワット、何デシベルというように『性能』が重視されていました。
それが満たされてくると、次の充足は『機能』に移りました。生活空間には、使わない機能でいっぱいの機器が溢れていますね。
現在は、「モノからココロ」へと、よりインナーへの欲求に移っています。
それを表現すると

・性能 < 機能 <効能

となります。私たちは『性能』からではなく、『効能』から捉えていく時代を生きています。

そして、

・所有 < 使用 <在り様

是非、その目線で「Computational Diversity(計算機的多様性)」・「AIoT」・「第4次産業革命」をご覧ください。

さて、落合陽一さんとの質疑です。
Q. Computational Diversityの時代になったとき、幸せの形はどんなイメージをされていますか?

A.べき論で語るところ(時代の合理)と、べき論で語らないところ(合理性のない文化的許容度)を分けることがまず条件です。
時代の合理性で「やるべきだ」というテクノロジーは、たくさんあります。例えば自動運転は急務です。
さまざまなところで社会が高齢化し交通事故は多発しているので。でもべき論で語らなくていいものは文化的許容度だと思います。
「ラーメンがうまい」とか。文化的許容度をはっきり分ければ自分が幸せになれるところ。これをしっかり分けていくと個人の幸福度は見分けがつきやすいと思います。
コンピューターと人間を比較する問題ではないと思います。

上記が、皆様の将来に少しでもお役に立てれば幸甚です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
落合陽一88