橋本元司の「価値創造の知・第213夜」:「落合陽一: 高齢化社会で経済成長する方法」⑨

2019年2月25日 その問題(社会)の現実を、より良いものへと「変える」ことが大切

日本はもう高齢化社会ではありません。『高齢社会』です。
皆さんがメディアから植え込まれた『高齢社会』のイメージはどうでしょうか。

・高齢化社会で人口が減少し、若い人の負担が増えていく
・年金制度が破綻する
・60歳定年ではなく、70~80歳まで働く

日本の人口分布は、昭和の時代はピラミッド型でしたが、それが逆ピラミッドになっています。
自分の次女の様な、平成生まれの若い人達から見ると、

「自分たちの未来が抉られている」

と思っても無理のないことでしょう。

落合陽一さんがその辺りをどの様に考えているのかを前夜に引き続いて加筆引用します。
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—(上記のことは)今見れば大きな間違いだと言えるでしょう。最初に言いましたが、われわれが社会でまず止めなくてはいけないことは、人が人の面倒をみること。
これが大前提です。
これはスケールしないしコストパフォーマンスが最悪です。今、われわれが取り組むべきは、人間ではなく機械に人間の面倒をどれだけ見させるか。
「機械に老人ホームの面倒を見られたら怖い」と言われます。でも考えてみてください。ウオシュレットでおじさんの手が下から伸びてきてお尻を拭いてもらったら怖いでしょう。

それがロボットアームにおむつ替えしてもらうのと、人間にしてもらうのとどっちが好きですか。ほぼ100%の人が「ロボットアーム」と答えるでしょう。
このようなことを本気で考えないといけない。それを考えれば明らかにコストは下げられます。ハードウェアコストは下がっていくし、ソフトウェアで安いハードもうまく動くようにできる。

なぜなら少子化というのは一人当たりの教育コストを上げられることです。つまり共有コストをどれだけ一人当たりにかけられるか。
逆に子どもが多い社会にはなかなかそれはかけられない。コンピューターで最適化して全員に教育を与えるのには実はコストはあまりかかりません。
人が少なければコストはかけられます。それはもっとクリエイティブなことにも同じことが言えるのです。—

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→「われわれが社会でまず止めなくてはいけないことは、人が人の面倒をみること」

これまで第205夜~212夜にかけて、特集『落合陽一×価値創造の知』を綴ってきましたが、それを前提とすると上記の考え方には全面賛成です。
そのことが可能な時代(3C:第109夜)になっています。。

ただ、ここで問題が生じます。
それは、それを仕事とする人達がいて反対されます。でも「人手不足」は深刻です。という矛盾です。

それは、「農業」が人手をかけていた時代から、機械化された時に人が必要なくなることと似ています。
多くの「サービス業」に人手不足が問題となっています。これを移民で補填するのは上策とはいえません。

ここでどの様な上手な転換ができるのかということが問われているのです。

最初は手こずりますが、これを「更新」していく知恵が求められます。
参考になるのが、第208夜に、待機児童も解消へ[2019/02/19]です。

高松市の4人の職員が入園希望者の割り振り作業の選考で約1ヶ月かかっていたものが、AI=人工知能で50秒で完了していました。
選考にかかる時間が短縮されることによって、より待機児童対策に時間を充てることができる。
という内容をご紹介しました。

重要なことは、
・「上位目的」
・それを元にして、どこに「時間を充てるか」
にあります。

その様な知恵を更新することが求められる時代です。
それは目の前の課題を「上限のある身体」で熟すのではなく、「価値」を創造する時代です。
その様に、教育も大転換していく必要があります。

繰り返しになりますが、上位目的である

「それは何のために?」

という『問い』が要(かなめ)となります。

上記については、「第156夜・『真の企業再生・創生』とは?」の中で、

・従来の「Know-How」から、「Know-Why」への転換

を綴っていますのでご覧になってください。

“問題(社会)の本質を「知る」だけでは意味はありません。なによりも、その問題(社会)の現実を、より良いものへと「変える」ことが大切なのです”

「知る(把える)」と「変える(変わる)」を繋いで実践することが重要な時代です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
落合陽一77