2019年3月27日 「体性」「知性」「心性」の魅力
現代バレーのトップカテゴリーではデータ分析が当たり前になっています。アナリストと呼ばれる専門家が、データバレーというソフトを駆使して、相手はもちろん自分のチームの分析を行い、戦略・チーム構成を練っています。
日本でも全てのV・プレミアリーグチーム、V・チャレンジリーグ等、アナリストがデータ解析を行っています。それを活用している様子はテレビで放映されています。
もっとドラスティックなのが MLB(メジャーリーグベースボール)です。MLB楽しみ方の新スタイルについて、新価値創造研究所「価値創造講座」で取り上げたのは2年前です。
それは、第36夜・第125夜、第147夜に記してきた「AIの進化」(①センシング②プロダクティング③コンサルティングの一気通貫)と深い関係があり、今の時代を大きく変動している『本質』です。
「MLB」の事例では、、
・球速
・ミットに届くまでの回転数(投手の疲れ等)
・球種、球筋
・守備位置
・フォーム、フォーメーション
・・・
等々、センシングがどんどん発達して、データ蓄積とデータ解析が進み、あたかも自分が司令塔になった気持ちになります。それが「茶の間」にまで届けられて『野球の楽しみ方』が変わりました。
野村元監督の「データ野球」は有名ですが、センシング・イメージングの進化が、それを大幅に前進・進展させました。
将棋にも「AI」分析で勝負のグラデーションが届きます。
現在のビジネスもそれまで「勘」に頼ってきたところを、事業の前段(ビフォー)をセンシングやビッグデータを使って可視化・イメージ化することで
・①センシング ⇒ ②プロダクティング ⇒③インテグレーティング(コンサルティング)
・①PREPARE(用意)⇒ ②PERFORMANCE(料理)⇒ ③PROMOTION(配膳)
という一気通貫ビジネスに変質・変態しています。時代を先取りして、その一気通貫の型をクライアント先に提示して、幾つかの企業・地域をご支援してきました。
その枠組みについては、第36夜・第125夜、第147夜で綴ってきました。
さて、②プロダクティングをメインとする製造業であれば、①~③を一気通貫することで、それまでの製造業から新サービス産業に脱皮することができます。
それは、蛹(サナギ)から蝶への脱皮と同じです。
さてさて、前置きが長くなってしまいました。
ICHIROさんは引退会見で語った珠玉をご紹介します。
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Q.野球の魅力はどんなところか?
A.団体競技なんだけど、個人競技でもあるところ。チームが勝てばそれでいいかというと、そういうわけではない。
個人として結果を残さないと生き残ることはできない。チームとして勝っていればいいわけではない。その厳しさが魅力であることは間違いない。
あとは、同じ瞬間がないということ。メジャーに来てから今に至るまで、全く違うものになった。
「頭を使わなくてもできる野球になりつつあるような、これがどうやって変化していくのか」
次の5年、10年。しばらくはこの流れは止まらないと思う。
『本来は野球というのは』、いや、ダメだな、これを言うと問題になりそうだから。
「頭を使わなきゃできない競技なんですよ、本来は」
でもそうじゃなくなってきているのがどうも気持ち悪くて。
ベースボールの発祥はアメリカだから、その発祥がそうなってきていることに、危機感を持っている人はけっこういると思う。日本の野球がアメリカに追従する必要は全く無い。
『やっぱり日本の野球は頭を使う面白いものであってほしい』
アメリカの流れは変わらないので、せめて日本の野球は大切にしなければならないものを大切にする野球であってほしい。---
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間違っていたら申し訳ないのですが、おそらく加速度的な「データ野球」の変質に危機感を持っているのだと思います。
これから重要なことは、
「人工知能(AI)にできないことは何か」を通して、人間とは何かを深く・高く・広く考えるというアプローチです。
そのためには、「身体の土台」「知の土台」「精神の土台」というものが、AI進化があることで、更に加速される時代になると思います。そのような変化に対応した「型」が求められてきます。
そのベースは、「体性」「知性」「心性」です。
上記については、またどこかの「夜」に綴ろうと思います。
ICHIROさんの革新は、
・ムキムキのキン肉マンではない「日本人の体型」でもMLBを凌駕できること
・「体性」「知性」「心性」に魅力があること
を実践されました。
『やっぱり日本の野球は頭を使う面白いものであってほしい』
「データ解析スポーツ」の流れは止められないと思うのですが、「体性」「知性」「心性」の型と創造に答えがあると洞察します。
ビジネスも同じです。
「AIot」「AIロボット」の流れは変えられません。人でなくてもAI機械ができることは、それに置き換わっていきます。
① AI転換への対応
② AIにできないことの価値創造
その①②を同時に進められる会社・地域・人が、日本の将来に必要です。
『本来と将来』を二つでありながら一つにとらえられることが肝要です。
(参考:第33夜・禅と価値創造③、第82夜・ビジネスで最も大切なコト)
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ