2019年4月1日 「オペレーションからイノベーション」へ
4月に入りました。今朝の通勤電車には「新人」が初々しい顔をして乗り込んできます。船出ですね。
そして、元号が変わりましたね。『令和(れいわ)』でした。
万葉集からの編集で、「日本古来の本来の良さを以って、将来につなげよう」という想いをそこから感じました。
ニュースをみながら、「新元号」というのは、国民全体に『心機一転』を促す、誘う大きなパワーを持っているように感じました。
過去のことを棚卸しして、これまでの延長線上にではなく、何かの節目で「切り替える」というのはとても意味のあることです。
さて、とっても残念ながら先週に、前職・パイオニア社が上場廃止になりました。「倒産」もそうなのですが殆どが「人災」です。
本夜は、パイオニア社を事例にあげながら、多くの会社・地域が「心機一転、将来をどう切り拓くか」「どう切り替えるか」ということと絡めて綴ろうと思います。
その中心となる「負」や「行き詰まり」を乗り越えるための原因やヒントが、昨年10月の松岡正剛師匠主宰「未詳倶楽部」の特別ゲストであり「知の怪人」とも呼ばれる「佐藤優」さんの話がありましたのでそれを記します。
佐藤優さんは、日本の外交官でもありました。『知』と連関する「能力とやる気」についてのパートで、4つの分類をされたところから始まりました。
① 能力があり、やる気がある人
② 能力があるけれど、やる気が無い人
③ 能力はないけれど、やる気がある人
④ 能力がなく、やる気が無い人
佐藤さんから、「一番問題のある人は誰だと思いますか?何番でしょうか?」という問いがありました。
皆さんは、どう思われますか?考えてみてください。
その時、自分の中では、前職・パイオニア社のトップを含む役員の顔がすぐに振り分けられました。そして、すぐに分かりました。
多くの人は②「能力があるけれど、やる気が無い人」を選びますがそれは間違いです。 答えは、③「能力はないけれど、やる気がある人」です。
「外交」でこれをやられると取り返しのつかないこと、後始末が大変なコトになりますね。
会社や地域でも同じです。そのような人が権限を持つと、「とてもやっかいな人」になるのです。それが、事業や研究所や会社をも衰退の道に導きます。
問題は、その人たちは、敷かれているレールの上で、もうやることが分かっている過去の「成長」のステージ(鉄道の時代:第141夜、第150夜))では能力を発揮した「オペレーター&マネージャー」なのです。
しかし、成熟から衰退に向かうステージで、「次の柱」や「新しい本流(オルタナティブ・第148夜)」に舵を切る、乗り出す「航海の時代:第156夜」の「価値創造イノベーション&イメジメント」にはまったく不向きなのでした。
そう、それは違う能力なのです。いまは「航海の時代(イノベーション)」なのに、「鉄道の時代(オペレーション)」の能力では太刀打ちできません。
「過去の能力(オペレーション)で以って将来も切り拓けるだろう」と重要部門のリーダーに選出される。そして、その能力でやる気を発揮してしまうことが・・・。
それが失われた15年でした。
振り返ると、「パイオニア」という会社は、節目節目で「とびきりの外部からの知」を取り入れていました。①「とびきりの能力があり、やる気がある人」を迎え入れる。それで成長・成功してきた会社です。松本望創始者もそれを実践する器量の大きい方でした。
さて、行き詰まりを打破する方策について第45夜、第147夜に綴りました。
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「行き詰まりの打破や、新たな成長を目指して、企業再生に取り組む切り口は3つあります。
①リストラクチャリング
「構造」の見直しを意味しますが、企業を縦串で見た時に必要のない部門を削除するものです。
②リエンジニアリング
「機能」の見直しを意味しますが、企業を横串で見た時に必要のない仕事を削除するものです。
③リオリエンテーション
「進むべき方向」の見直しを意味します。
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①②がDeleteに向かうのに対して、③は「我々はどの方向にむかうべきか」
を問うものです。
2000年以降、自分や自分の部署は、③リオリエンテーションの「新しいパイオニア」の準備と実際の提案をしてきましたが、パイオニア社が選択したのは、①リストラクチャリング、②リエンジニアリングでした。そのため、自分は早期退職という卒業に向かいました。
さてさて、上記の体験の中で「イノベーション&イメジメント」を磨く努力と新提案、そして、創造型人財開発・育成を重ねてきたことで、その後の自分の進路や使命に大きな影響を与えました。
『人間万事塞翁が馬』ですね。
・第13夜: 倒産
・第75夜: 価値創造とは何か?
・第172夜: なぜ、倒産?
それは、自分の中の反面教師として、今の仕事の土台になっています。何事も無駄はないのですね。
パイオニア社は、上場廃止にはなりましたが、前夜・前々夜に綴った「時代を先取りした大きな新物語」を構想・実践できれば、『復活』はありえます。
社員の「悲しい顔」を笑顔にしましょう。
誰が、それを「価値創造イノベーション&ナビゲーション」できるかにかかっています。結局「人・構想」です。
さてさて、現在、多くの会社や地域が同じような場面に遭遇しています。その現場にいます。
先ず、大企業が率先しましょう。やはり、影響力が大きいのを実感しています。
そのためにも、「③能力はないけれど、やる気がある人」ではなく、「①能力があり、やる気があり、大きい物語を構想できる人」をリーダーに選ぶコトが必要です。
本日の新元号『令和』を契機として、私たちの将来(会社・地域・日本)を隆々とするために、ご一緒に「リオリエンテーション」に向かいましょう。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ