橋本元司の「価値創造の知・第233夜」:松下幸之助のことば「物をつくる前に人をつくる」⑤

2019年7月3日 『新しいコアをリボーンする』

中小企業をご支援するときには、「次の一手」を検討する前段において、関係者全員でそれを実行に移すための「思考の土台、構想」を共有することを大切にしています。
急がば回れで、その認識があるか否かでその後の取り組みや成長が大きく変わることを経験しています。
そのようなステージにレベルが上がったときは、全社員が燃える集団に変わってきているのですが、経営者の方達がそこで心から気づくことを「松下幸之助のことば」からお伝えします。

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『物をつくる前に人をつくる』

私は、ずっと以前でしたが、当時の年若き社員に、得意先から
「松下電器は何をつくるところか」
と尋ねられたならば、
「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気製品をつくっております」と、
こういうことを申せと言ったことがあります。

その当時、私は事業は人にあり、人をまず養成しなければならない、人間として成長しない人を持つ事業は成功する物ではない、ということを感じており、ついそういう言葉が出たわけですが、そういう空気は当時の社員に浸透し、それが技術、資力、信用の貧弱さにもかかわらず、どこよりも会社を力強く進展させる大きな原動力となったと思うのです。
出典「松下幸之助一日一話」
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このようなトップをいただく社員の方達は幸せ者ですね。
社員を歯車の一部品として扱われたら、成長の芽が摘まれてしまいます。

それは、「子どもの成長の芽を摘む親、伸ばす親」と同じ構図です。
・すべての子どもには大きな可能性があり、伸びる力を持っている、秘めている
・そのことを信じて、適切に接することで成長の芽を引き出していく
・そして、日々発芽のチャンスを用意・卒意する

それが前提です。そのようなマインドの有無で将来が変わってきます。
社員も全く一緒なのです。

先週、前職・パイオニア社のリストラ(950人)が発表されました。多くの後輩からメールが届きました。
才能があるのに、持っている能力の三分の一、五分の一、あるいはそれ以下の能力しか発揮できない状況が続いていました。多くの仲間が卒業しました。

ビジネスの成長の最大の軸足は、「継続力」です。
その本質は『継続とはコア(核)をキープする』ということであります。
そのコアがキープできないことで、右肩下がりに陥り、リストラにつながります。

必要なのは、『新しいコアをリボーンする』こと。
ここを創り上げることで、社会への「新しい価値、使命、貢献の道筋」が観えてきます。
その舞台をつくり、社員をオンステージにあげることが経営者に与えられた役割です。

そのことで、人は能力をフル活用して輝きを取り戻します。

特に、「舞台をつくる人」への人づくり、活躍のステージづくりが前もって重要です。
それがあれば、多くの社員は「舞台に上り、能力を発揮」するのです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

松下幸之助⑤