橋本元司の「価値創造の知・第240夜」:松下幸之助のことば「道は無限にある」⑫

2019年7月14日 未来は既にここにある。全ての人に均等に配分されていないだけだ

第229夜「道」、第230夜「熱意が道をきりひらく」をとりあげました。
そして、本夜はそれらに連なる「道は無限にある」を引用します。

いまメディアで話題になっている「年金問題」は、60歳定年でそこから10年くらいの70歳までに人生を終えるという前提の制度設計のようですが、これから、人生100年時代が通常になると、従来の年金制度が崩壊するというのは明らかですね。
多くの人が100歳まで生きるとなると、人生設計や社会常識の在り方も変えていかなければなりません。

さて、第171夜、第174夜に、「林住(りんじゅう)期」(五木寛之著)を取り上げました。
“古代インドでは、人生を四つの時期に分けて考えたといいます。
「学生(がくしょう)期」、「家住(かじゅう)期」、そして、「林住(りんじゅう)期」と「遊行(ゆぎょう)期」。
三つ目の「林住期」とは、社会人として務めを終えたあと、すべての人が迎える、もっとも輝かしい「第三の人生」のことである”
“アスリートにたとえれば、「学生期」に基礎体力をつくり、「家住期」に技術を磨き経験を積む。
そして試合にのぞむ。その本番こそが「林住期」だ。人生のやり直しでも、生活革命でも、再出発でもない。生まれてこのかた、ずっとそのために助走してきたのである”

人生を100年に当てはめた時に、前半生が「学生(がくしょう)期(~25歳)」、「家住(かじゅう)期(~50歳)」の50年、それに続く25年が「林住(りんじゅう)期(~75歳)」そして、最後の25年が「遊行(ゆぎょう)期」の計100年。
パイオニア社を早期に卒業して、この本に出逢った時に、「アッ、自分は林住期を生きている、そして、与えられた使命がある」と思い、俄然やる気が出てきました。(第174夜)
それもあって、いま、企業の第一線で経営革新に活躍してきた熱いメンバーが集まって「チーム創発」が立ち上がって活動を始めました。もうすぐホームページもお目見え予定です。

さてさて、人生100年ということは、その100年を自分で設計して生きることです。30歳の人であれば、残りの70年間の全てを自ら設計して、自分でナビゲーションしながら生きていくということです。人生の自由度が大幅に増えました。それを前向きに把えられるように環境を変えなければなりません。
学校で教える内容も変わってきますね。人生100年設計で、志、夢をもち、自分の能力を最大限活かす生き方を学ぶのです。大学や大学入試の在り方も変える必要があると思いませんか?勿論、企業や労働組合もです。
将来の多様なカリキュラムや仕事のメニューが不足しているのも一因で「公務員志望」が増えてしまうのです。

ここで、上記と関係する松下幸之助のことば「道は無限にある」を引用します。

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「道は無限にある」

お互い人間というものは、常にみずから新しいものを呼び起こしつつ、なすべきことをなしていくという態度を忘れてはならないと思います。
お互いが、日々の生活、仕事の上において、そういう心構えを持ち続けている限り、一年前と今日の姿にはおのずとそこに変化が生まれてくるでしょうし、また一年先、五年先にはさらに新たな生活の姿、仕事の進め方が生まれ、個人にしろ事業にしろ、そこに大きな進歩向上がみられるでしょう。

大切なことは、そういうことを強く感じて、熱意を持って事に当たるという姿勢だと思います。そうすればまさに、
“道は無限にある”
という感じがします。

出典「道は無限にある」
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上記の心構え、熱意が「道」を切り拓くのです。

「道は無限にある」ということでは、第15夜に綴った、「シナリオプランニング:危機意識、不確かな時代を読み解く方法」を参考にしていただければ幸甚です。
2004年49歳の時に、パイオニア社の10年後の将来を検討する時に、「シナリオプランニング」を使って10年後の世界を明示しました。
この「不確かな時代」、将来を見通せない時代なのですが、本来と将来の大切な2軸を選出することで、4つの世界を浮き上がらせてきました。
行き詰っている会社/地域は、制約に縛られて視野が狭くなっています。その視野、視座を拡げて差し上げて、そこから可能性のある世界を選択して、「経営革新」「次の一手」に踏み出すご支援をしています。

様々な業種からの依頼がありましたが、3本の矢(第57夜)と上記の「先が観える」匠の技は万能です。多くの会社の将来をご支援してきました。

そう、将来世界は確実に、現在の中に点滅、明滅しているのです。

“未来は既にここにある。全ての人に均等に配分されていないだけだ”
The Future is already here.It’s just not evenly distributed.
(SF作家 ウィリアム・ギブソン。 ツィッター創業者: ジャック・ドーシーの座右の名)

上記の言葉をセミナーや新事業創出プロジェクトでよくご紹介します。

この様な能力や心構えの習得も、「学生(がくしょう)期(~25歳)」、「家住(かじゅう)期(~50歳)」の方達に贈与したいと思っています。
それも自分の重要なMissionだと思っています。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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松下幸之助ことば⑫