橋本元司の「価値創造の知・第243夜」:松下幸之助のことば「ガラス張り経営」⑮

2019年7月22日 「オープンイノベーション」

飲食店に行くと、なかなか言葉で表すのは難しいのですが、とて気持ちがよくてまた来店(リピート)したい場があります。
それは、そこに集ってくる人たちの会話やふるまい等が自分にフィットしているのに気づきます。

そう、心地よい雰囲気はそこに集まるお客がつくっているのではないでしょうか。
そこで醸し出される「しつらい、ふるまい、心遣い」(第2夜、第93夜)なのですが、その奥にある“大切な想い”から店員さんたちの自主的、主体的な「気配り」がそれを創っているように思います。

その気配り、雰囲気はすぐに感じ取れます。

同様に、会社の成長経営へのご支援にうかがった時に、そこに集まる社員さん達の雰囲気や会話で何が問題なのか、不足しているのかがすぐに感じ取れます。
多くの会社をみてきたこともあると思いますが、元気のある会社には、自主性・主体性があります。そこには自由度があるのですが、行き詰っている会社の社員さんには自由度が大幅に少ないのです。
そのことは、結果的に『生産性の向上』にも大きな影響を及ぼします。

一人ひとりには、能力を発揮する、引き伸ばす余地、余白(第22夜、第89夜)がいっぱいあるのです。その環境をつくるのが「生産性革新」の源です。
一人ひとりが経営者であり、「自分の自主的な責任において仕事をしていくという好ましい自覚と気風」です。
身近なところでは、「スターバックス」に行くと、それが観られます。

さて、上記のことに繋がる松下幸之助のことばを「ガラス張り経営」より引用します。

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「ガラス張り経営」

私はいわば“ガラス張り経営”とでもいうか、経営なり仕事のありのままの姿を従業員に知ってもらいたいという方針でやってきた。
それによって全員が経営しているのだという意識がごく自然に生まれ、自分の自主的な責任において仕事をしていくという好ましい気風ができてきたように思う。また、人もおのずと育つということになった。

そういことを考えてみると、やはり従業員に対してはその時どきの方針はもちろん、経営の実態についても、できるだけ秘密を少なくして、いいことにせよ、悪いことにせよ、いろいろ知らせていくことが望ましいし、大切なことだと思う。

出典「人事万華鏡」
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オープンにすることで、信頼関係が強固となり、人(社員)はおのずと育っていきます。
中小企業でも、そこまで「オープン経営」「ガラス張り経営」に踏み込むのか、という会社を幾つか見てきました。
『中小企業の星』ですね。
そこに踏み出すことで、結果的に「オープンイノベーション」につながり、顧客に囲まれる会社(第20夜:囲まれる時代)になります。
素敵な舞台があり、そこで役者(社員)はプレーヤーになります。
そして、そこには多くの輝く価値創造社員が輩出し、実践につながります。
日本再興の源です。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば⑮