2019年8月21日 「Reborn」「Reorientation」
前夜(第250夜)に、「①De(破)と②Re(離)」まで検討して「③Co(合)」を実行しない、あきらめる事案について綴りました。
「①De(破)と②Re(離)」を頭では理解するけれど、次の一歩、次の一手という将来現実に後ずさりしてしまうのです。
それは、頭ではわかっていても「心」の後押しがないことが主な原因です。
自分(橋本)の前職・パイオニア社での実例を紹介します。
1.「①De(破)」のステージ
36~37歳の時に、このままの延長線上の経営の方針・やり方に危機感を抱き、その理由と変化点を経営会議で発表しました。
それは、「De(破)」のステージでした。それまでの常識・モノサシを疑い、行き詰まりの本質と将来の新しい可能性を検討した内容でした。
それまで有効だった「性能、機能という手段」から、離れる、あるいは否定するステージです。
「それらが有効でなくなったときに、いったいどうしたらいいのだろう」と。
そうなると、一生懸命/一所賢明(第38夜)に考えますよね。
有効だった「性能、機能という手段」に執着しなくなると、観える風景が変わってきます。この執着しないことによる切り替えができることが重要です。
これが「深い知」(第85夜)のプロセスです。
2.「②Re(離)」のステージ
やはりパイオニア社の経営の悪化が顕在化してきました。39歳の時に、「次のパイオニア構想(=NECTAR)」をまとめました。
「NECTAR」とは、New Century Target(21世紀に向けた目標)の頭文字を編集した本気の企画です。
それは、これまでの事業と全く違うものではなくて、手段には執着しないで、新しい文化/目的/スタイルに「Reborn」「Reorientation」した内容です。
「Re(離)」のステージです。再び復活するという意味です。それは、従来の良きところを今の時代に合わせてRebornすること。
「性能、機能という手段」を金科玉条(=人が絶対的なよりどころとして守るべき規則や法律のこと)にしていた役員、関係者から反発を受けることはわかっていました。
一介の課長だったのですが、上司を通さず、秘書室にアポイントを入れて、会長、社長のそれぞれにプレゼンテーションをしたのですが撃沈しました。会社人としては、危うい立場ですね。
最後に、新社長になると噂されていた専務に、その構想をお伝えしたときに、Goサインが出ました。
3.「③Co(合)」のステージ
その将来構想を経営会議で発表して、社長直轄の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」のリーダーになりました。
一人だけで検討していたものが、コアの3人となり、上記プロジェクト発足により、社内横断で異能な人材を集めて9人となりました。
そして、連続的にヒット商品を生み出し、3年で100万人のユーザーに商品が届きました。
「Co(合)」のステージです。力を共に合わせて協力する、強くなること。
社内的には、共感する異能な人材を巻き込むこと。社外的には、サントリーさんはじめ、次々に異業種コラボレーションを行いました。
当時、本格的な異業種コラボレーションはなかったのです。新しい文化、新しいスタイルが次々に生まれました。
勿論、反対・反発・邪魔する役員も多くいましたが、たくさんの社員の方たちが応援してくれました。
さて、自分(橋本)が体験した『De(破)・Re(離)・Co(合)』のステップをみていただきました。
自分が「③Co(合)」に踏み出すためには、「①De(破)と②Re(離)」が必要でした。「心の在り方・覚悟」が重要なのです。
ここからが本題です。
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・「①De(破)」(深い知): 自分で対象の問題の「核心」を把える
・「②Re(離)」(高い知): 高いゴールを構想して「確信」する
・「③Co(合)」(広い知): 一歩を踏み出し、社内外を「革新」する
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そう、「核心」→「確信」→「革新」の順なのです。
必要なのは、
A.「心からやりたい」という本気の自分を信じる力
B.「隆々とした会社/地域」を構想する力
C.実現に向けて、巻き込む力、伝える力、やり抜く力
の3本柱です。
詳細は、『第76夜 価値創造の秘訣』に7つの力をまとめていますので関心のある方はご覧ください。
「革新(イノベーション)」の必要性が叫ばれていますが、その前に、
A.「心からやりたい」という本気の自分を信じる力
B.「隆々とした会社/地域」を構想する力
という「核心・確信」を持つ土台をしっかりとつくることがポイントです。
それは、「革新」のステージでぶれないためです。
「SDGs」に取り組み、しっかり仕上げるには、「核心」→「確信」→「革新」が必要です。
是非、多くの会社と地域がインパクトのある「サスティナビリティ&サバイバビリティ」を実現されることを楽しみにしています。
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